第5回VNV年次大会「活動と注意:社会的行為のミクロとマクロ」(3/4開催)
[日時]
日時:2011年3月4日(金) 13:00-18:00
[場所]
会場:東京電機大学 東京神田キャンパス 7号館6階 7601教室
第5回VNV年次大会テーマ「活動と注意:社会的行為のミクロとマクロ」
日常場面でのコミュニケーションの分析では,「行為」をいかに記述
するかが重要ですが,「行為とは何か」という問題はなかなか難しい
ものです.そこで,今回はこれをよりマクロな「活動」やよりミクロな
「注意」といった概念と関連づけることによって,コミュニケーション
という現象についてさらに理解を深め,認識を共有したいと考えています.
一方で,行為は活動の文脈を参照しながら産出・理解されており,
こうした考えは人工知能研究においては古典的なものでした.また,
近年では,情報技術をさまざまなフィールドで応用する志向性が
高まっており,こうした「現場」を理解する際にも,「活動」という
観点は不可欠なものです.
他方,リハビリテーションへの応用や福祉工学,教育工学などの
分野では,われわれが普段「一つの行為・活動」だと見なしている
「まとまり」の自明性を乗り越え,その下位の構成要素をいかにして
意識化・顕在化するかが重要な課題になります.そのためには,
われわれの行為を支えている「注意」や「知覚」を丹念に解明して
いくことが必要です.また,こうした視点は,ロボットの動作生成や
日常生活場面のセンシングなどにおいても重要なものとなるでしょう.
今回は,福島真人先生(東京大学大学院総合文化研究科,文化人類学),
野中哲士先生(吉備国際大学保健福祉研究所,生態心理学),
細馬宏通先生(滋賀県立大学,会話分析・ジェスチャー研究)の3人の
先生方をお招きし,それぞれの立場からのご講演をお願いしております.
また,これらのご講演の内容を踏まえたうえで,フロアを交えての
ディスカッションにも十分な時間を充てたいと考えております.
■プログラム
13:00-13:10 趣旨説明 高梨克也(VNV委員長)
13:10-14:10 [講演1] 福島真人氏(東京大学大学院 総合文化研究科)
「行為場面から組織へ―直接観察と理論的構成」
特定の場面や状況におけるミクロの観察と,それを超えた組織的文脈の
理解では何が異なるのであろうか.特定の場面の詳細な分析と,より
マクロの組織研究をつなぐにはどのような方策があるかを,筆者が
これまで関わってきた一連のフィールド(医療現場およびラボラトリ)
を取り上げつつ,具体的に論じてみたい.
14:15-15:15 [講演2] 野中哲士氏(吉備国際大学 保健福祉研究所)
「モノを扱う行為における特定性の記述」
J.J. Gibsonは,感覚受容器の外にある環境を探索する動物の活動に
注目し,それをovert attention(行動に現れる注意)と呼んだ.
探索活動に支えられ,行為は多様性を示しつつも,目的を達成する
かたちで周囲とある一定の関係を築く.このように周囲の利用可能な
モノに依存して創発する行為は,周囲と切り離してはその成り立ちを
捉えることが難しい.本発表では,活動としての注意と行為を
その周囲とあわせて記述する可能性について事例をまじえて議論したい.
15:25-16:25 [講演3] 細馬宏通氏(滋賀県立大学 人間文化学部)
「模倣的再現法 - グループホームのカンファレンスにおける身体動作 -」
高齢者用グループホームで行われるカンファレンスでは,介護者が
過去の介護行為や入居者の行為をジェスチャーによって真似る現象が
多発する.この「模倣再現」が相互行為の中でいかに用いられて
いるかを調べた結果,介護者は模倣再現を日誌報告と対比させ,
テキストに表われない表現として強調することがわかった.また
発話連鎖の中で,再現に埋め込まれたことばに表われない空間的
手がかりは他の介護者のジェスチャーに引用,援用され,思考の
中心となっていることがわかった.
16:30-18:00 全体討論