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第24回 光通信システムシンポジウム 開催報告

 12月16日,17日の2日間,年末恒例の光通信システムシンポジウムを東レ総合研修センターにて開催しました.開催当日は気温が下がり寒い日でしたが,宿泊施設と一体化した会場で2日間快適に過ごすことが出来ました.また2日目は天候に恵まれ,写真のような綺麗な富士山を眺めることが出来ました.
 本年度の参加者総数は174名を数え,昨年度をやや上回る多くの方に参加していただけました.宮本委員長による開会の挨拶のあと,シンポジウムを開始いたしました.以下に,各セッションの模様を報告致します.残念ながら今年参加されなかった皆様も,是非来年は御参加下さい.

東レ総合研修センター
東レ総合研修センター
富士山
会場から見た富士山
宮本委員長
宮本委員長の挨拶
講演会場の様子
講演会場の様子

基調講演

 今年の基調講演は,東京大学・総括プロジェクト機構・知的資産経営・総括寄付講座・特任教授の小川紘一先生をお招きして,「ICT分野におけるグローバル化と国際標準化戦略 −日本の新たな勝ちパターン構築に向けて−」と題してご講演いただきました.これまでの日本の製造業への巨額の研究開発投資にも関わらず,製造業の雇用が急減しているというデータに始まり,その分析と今後の展望についてICT産業の具体例を交えて分かりやすくお話しいただきました.小川先生の分析では,現在の光通信産業も同じパターンに当てはまっているとのことでした.大変示唆に富むお話に質疑応答も活発に行われ,もう少し時間が欲しい感じでした.小川先生および活発に議論いただきました参加者の方々に感謝申し上げます.来年も,是非聞いてみたいという基調講演を企画したいと思いますので,どうぞご期待下さい.

2010年OCS表彰式

 基調講演の後に,2010年OCS研究会の表彰式が行われました.2009年9月から2010年8月までに開催した光通信システム研究会に投稿し講演を行った論文を対象とし,特に優秀な論文を発表した著者に論文賞が贈られます.また,30歳未満の発表者のうち,有為と認められる新進の研究者に奨励賞が贈られます.各賞の選考結果は次のとおりでした.

  • 論文賞
    • デジタルコヒーレント伝送システムのための逆伝播型非線形効果補償とその半ブラインド最適化
      谷村崇仁 (富士通研), 星田剛司 (富士通), 小田祥一朗, 田中俊毅 (富士通研), 中島久雄 (富士通), Lei Li, Zhenning Tao (Fujitsu R&D Center), Jens C. Rasmussen (富士通)
  • 奨励賞
    • 準均一マルチコアファイバによるクロストークの低減
      荒川葉子 (フジクラ)
    • 将来光ネットワークのための160Gb/s光16QAMの長距離伝送技術
      小林孝行 (NTT)
    • Brillouin scattering in polymer optical fiber
      水野洋輔 (東工大)

 受賞者には,OCS研究専門委員会の宮本委員長から賞状,ダイヤモンドカットのクリスタルガラス盾,図書カードが贈呈されました. 表彰式の模様はこちらです.

担当委員: 高野

ワークショップ1

 水落隆司氏(三菱電機)の座長のもと,以下の講師の皆様から御発表頂きました.まるでビジネススクールのように,感銘を受ける言葉あふれる御発表ばかりで,聞き逃さないようにメモをとる聴衆で会場はあふれていました.

  • 熊谷和義氏(富士通)「光通信ビジネス,グローバル展開への取り組み」
    熊谷様が今まで御経験された,光通信ビジネスがグローバル展開していった経緯や,その海外ビジネス例を紹介していただきました.イギリス・オーストラリアといった先進国だけでなく,発展途上国であるベトナムへのビジネスのご経験を紹介頂き,グローバル展開に必要なものとはなんだろうかを議論いたしました.技術だけでなく「人」づくりも重要であり,商流を確立するための人脈作り,開発・保守サポートのどの部分を現地化すべきなのかなどの人材マネージメント,についてご説明頂きました.特に,人材マネージメントにおいて,その文化に大きく依存するところがあり,相互理解が必須であることを強調され,実際の経験に基づく考えや視点・アドバイスに非常に感銘を受けました.
  • 重松昌行氏(住友電工)「グローバルに活躍が期待できる人物像 −企業側の見地から−」
    米国で勤務され「シリコンバレー」で体感されてきたことから,そのイノベーションの源泉は何なのか?,を解き明かす御発表でした.はじめに,シリコンバレーの人種・文化・産業に関するデータを御紹介頂きました.半導体産業が翳っても,シリコンバレーに集金力(カリフォルニア州で米国の5割近くの投資が集中!)があるのは,ベンチャーキャピタル・研究機関・スタートアップの組織がしっかりしているからであり,技術・人材・政策の重要性を御説明されました.このような,シリコンバレーを支えるイノベーションの源泉は,Opennessであり,多種多様な人種,様々な技術,他社に対するOpennessな環境づくりが重要であると実感のこもった結論でしめくくられました.
  • 浜本貴一氏(九大)「がんばれニッポン −世界で活躍できる日本へ−」
    先生自身が御留学で実感されたことと近年の留学の実態を説明頂き,国際的に活躍できる人物像を明らかにするという御発表.日本人について,昨年の海外への留学生数は2000年に比べておよそ半減しているが,学生自体は興味がないわけではない.そのプロセスの具体的にイメージできるように指導するのがポイントであると説明されました.
  • 岡村治男氏(グローバルプラン)「グローバル競争に勝つということ −標準化の視点を交えて−」
    グローバルな世界とはなにか,ということから,この競争に今後日本がどのように勝てばよいかという指針を与えてくださるような御発表でした.グローバル世界とは,ルール無用の多様性のジャングルであり,この観点からは日本の文化は極めて異質である.だからといって,日本が欧米文化をそのまま輸入すべきかどうかは考えるべきであり,好業績の組織には日本文化的経営をもっていることもある.むしろ日本の文化を鑑みて,競争から共生へ,富の追求から宇宙船地球号マネージメントへ,といった考え方がこの国にあっているのでは,と御意見を頂き,非常に元気が出る御発表で本WSを締めくくっていただきました.
担当委員: 五十嵐,賀川,関根,田島

懇親会

 懇親会では,130名を超える皆様に御参加頂きました.OCS尾中副委員長(富士通)の御挨拶を皮切りに前OCS委員長の鈴木様(KDDI研究所)の乾杯のご挨拶で和やかに懇親会が開始されました.普段は研究会,学会,若しくはお仕事で御一緒される方々と,光通信の将来など様々な多岐に渉る話題で盛り上がり盛会となり,最後に元OCS委員長・中川先生(山形大)のご挨拶で懇親会を打ち上げました.

ランプセッション

 前田先生(東京理科大)の司会により,和やかな雰囲気で進行されました.最初に光通信の歴史を名著で振り返ったあと,近藤先生(帝京大),荒木様(NEC),並木様(AIST)からの楽しい話題提供に加え,事前のwebアンケートによる,輝かしい(?)未来予測が披露されました.誰の予想が当たっているのか,30年後が楽しみです.

担当委員: 杉崎,植之原,斧原,小楠

招待講演

 招待講演セッションでは,OCS研究会に関連の深い分野における最新研究,技術動向を,第一線でご活躍されている方を講師としてお招きして,4件の招待講演を企画致しました.
 JAXA 山川様からは人工衛星間通信の技術背景と,最新の衛星間光通信システムの研究開発成果について,東工大 川嶋先生からは,遠隔医療用ロボット技術における技術課題と,開発を進められている医療用ロボットを用いた遠隔実験の紹介,日立 花谷様からは,FTTH Council Asia-Pacificでの活動を通した,アクセス関係の市場動向とその戦略について,北里大 吉國先生からは,通信用光デバイス,特に波長可変レーザのOCTなどの医療用途への応用例について,ご講演をいただきました.ご講演者からは,技術的な課題や,市場動向など,各分野でのバックグラウンドから,最新の成果にわたる広範囲の有益な情報を提供いただき,日頃はなかなか聞くことの出来ないと分野でのご講演に興味を持っていただけた参加者の方も多かったのではないかと思います.
 最後に,招待講演を共同で企画いただいた,IEEE Photonics Society Japan Chapter, 超高速フォトニックネットワーク開発推進協議会(PIF), 信学会 フォトニックネットワーク研究専門委員会の関係各位のご協力に感謝いたします.

担当委員: 青木,伊藤,倉掛,吉田

ワークショップ2

 ワークショップ2は,「光通信ネットワークの飛躍的な高度化に向けた技術革新」について,「光通信インフラの飛躍的な高度化に関する時限研究専門委員会(EXAT委員会)」との共催で開催いたしました.盛岡敏夫様(NTT),鈴木正敏様(KDDI研究所)の司会のもと,6名の専門家の方々にご講演頂きました.
 中島和秀様(NTT)には,今年度から開始されたNICT委託研究「革新的光ファイバ技術の研究開発」の概要についてご紹介頂くと共に,今後の光ファイバ研究の方向性を展望して頂きました.小柴正則教授(北海道大学)には,研究が活発化している通信用マルチコアファイバの研究開発動向についてご講演頂きました.松尾昌一郎様(フジクラ)には,マルチコアファイバと送受信機,中継器を接続するための入出力・接続技術についてご講演頂きました.山田誠准教授(大阪府立大学)には,既存の単一コア光増幅技術の現状と課題を整理して頂いた後,マルチコア増幅を実現するための技術課題についてご講演頂きました.福知清様(NEC)には,従来のシングルコア,シングルモードファイバで伝送容量を拡大するための技術課題を整理して頂いた後,マルチコア,マルチモードファイバを併用することにより,さらなる大容量化を実現するための課題についてご講演頂きました.古賀正文教授(大分大学)には,エクサビット級のスループットを実現するためのネットワーク技術についてご講演頂きました.
 全ての講演者の方々のご講演の後,パネル討論を行いました.パネル討論では,参加者からも多くの質問があり,活発な議論が行われました.

担当委員: 森田,中村,松田,丸田

展示会

 例年通り測定器・デバイスなど12社様に御参加頂き,シンポジウムに参加した研究者とのディスカッションが活発に行われておりました.また,昨年に引き続き情報通信研究機構の委託研究成果の展示が行われました.
 御参加頂きました展示社各位,および展示会にお立ち寄り頂きました皆様に感謝いたします.

担当委員: 松尾

企業展示 (アイセイ, ハイテック, 理経) 企業展示 (santec, サンインスツルメント, 日本テクトロニクス) 企業展示 (サイバネットシステム, ワカ製作所/セブンシックス) 企業展示 (アジレント・テクノロジー, 光貿易/テクノプローブ, アイウェーヴ, アンリツ) 国家プロジェクト展示 (λアクセス技術, λユーティリティ技術, ユニバーサルリンク技術)

広報担当: 森
最終更新: 2011-01-04 (火) 21:22:48 (2539d)