光通信システム研究専門委員会の主旨説明 (2012年度)

委員長の挨拶

OCS委員長 石田 修

2012年、光通信システム(OCS)研究専門委員会は、創設25周年を迎えました。

 節目の年に委員長を拝命するにあたり、過去に学び、いまを感じ、新たな四半世紀に挑む契機とすべく、5月18日に記念シンポジウムを開催しました。OCS分野におけるこの四半世紀の技術開発と産業化の営みを振り返り、厳しさを増す国際競争への危機感を共有し、組織の壁を越えて集まる研専活動の目的を再確認するとともに、新たな四半世紀へと踏み出すためです。

 OCSの起源は1987(昭和62)年です。通信方式(CS)から「光」と「無線」通信が独立、OCSとRCS、二つの時限研専が新設されました。その活動目的が同年5月号の信学誌会告に次の様に記されています。

「本時限研究専門員会は研究者,技術者,利用者相互の交流,啓発の場を設け,情報化社会の基盤として重要な役割を果たしている光伝送システムのより一層の発展を促進することを目的として設立するものであります.」

同年12月に第1回OCSシンポジウムを開催、翌1988(昭和63)年5月には常設研専となり第1回研究会を開催しました。時代は、1.6 Gb/s が実用化(1987)され、エルビウム光ファイバ増幅器の有効性が世界に先駆けて実証(OFC1989)されようとしていました。

 それから四半世紀。諸先輩方のご尽力により、日本の光通信システムの技術は大きく飛躍しました。1990年代にはWDM伝送、2000年代には波長あたり40 Gb/sを実現。実用システムの伝送容量は1.6 Gb/s/fiber から1.6 Tb/s/fiber へと3桁も進化し、2010年代には、100 Gb/s ディジタルコヒーレント送受信技術による8 Tb/s/fiber システムが登場します。この間、12月のOCSシンポジウムは、浜松・伊東・箱根・三島と場所を変えながらも恒例化し、今では毎年200人近くが集うまでに成長、昨年12月に一足早く第25回の記念シンポジウムを迎えました。また、1997年からは7月開催の2種研究会も恒例化し、組織の壁を越えた40G産業化に向けた検討や、100G変復調技術を啓蒙する場として引き継がれています。研究分野の拡大により、1999年には光ファイバ応用技術(OFT)研究専門委員会が独立。2010年からは、光通信インフラの飛躍的な高度化を議論する時限研究専門委員会(EXAT)の活動も始まっています。

 しかし、日本の光通信システム研究開発を取り巻く環境は、技術・産業・学会すべての面で厳しさを増しています。技術では米国を起源とするインターネットやイーサネットの技術が台頭。通信よりもプラットフォームやアプリケーションのサービスプロバイダが幅を利かせ、通信装置やASIC/FPGA産業では、欧米や中国の専業ベンダがグローバル展開で競争力を増しています。一方、国内の学会活動は、信学会の会員数が減少基調に転じ、OCS技報の売上も近年では減少の一途を辿っています。

 今年のOCS研究専門委員会は、こうした発展の歴史と厳しさを増す環境への危機感を皆様と共有しつつ、25年前のOCS設立の原点に立ち戻り、下記「OCSミッション」と3つの「重点課題」を掲げ、あらたな四半世紀に踏み出します。

OCSミッション

  • 光通信システム技術者コミュニティを活性化し
  • 技術革新と産業化を促進することで
  • 未来の豊かな社会の実現に貢献する

3つの重点課題

  • 次なるパラダイムシフト技術のインキュベーション
  • 関連研究会との連携・シナジーの発揮
  • 組織の壁を越えた、中堅・若手の育成・技術継承

 光通信システム技術に関わる多くの皆さんが、研究会・総合大会・ソサイエティ大会・OCSシンポジウムなどに投稿/参加し、積極的/建設的な議論を通して、技術革新と産業化の促進、さらには未来の豊かな社会の実現に貢献できるようにしていきたいと思います。今年も、皆さんひとりひとりのOCS活動へのご理解/ご支援/ご参画を、何卒、よろしくお願いします。

2012年6月
光通信システム研究専門委員会委員長 石田 修
 

当研究会の取り扱う主な研究分野

研究分野トピックス
光通信方式光変復調方式,多値光変復調,コヒーレント光通信,光増幅・中継技術,
非線形・偏波問題,アナログ光伝送,空間・可視光伝送,量子通信
光通信機器光中継装置,光クロスコネクト(OXC),光分岐挿入多重 (OADM),光送受信機・光端局装置,
光通信用ディジタル信号処理,誤り訂正,光多重・分離装置,光通信計測
光ファイバ伝送路光ファイバケーブル・コード,通信用光ファイバ,光線路保守監視・試験技術,
接続・配線技術,光ファイバ測定技術,光コネクタ,ホーリーファイバ,機能性光ファイバ
デバイスのシステム応用分散補償デバイス,光信号処理,合分波器,光ファイバ型デバイス,発光・受光素子,
光スイッチ素子,光測定器,光通信用LSI
光通信網・規格コア・メトロシステム,海底伝送システム,光アクセスシステム・次世代PON,
イーサネット,光伝達網 (OTN),高速インタフェース,伝送監視制御,光伝送システム設計・ツール

このうち、光ファイバ伝送路については、光通信システムに使用する伝送路に関する研究分野の議論を主に行っています。

 

過去の主旨説明


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最終更新: 2012-06-19 (火) 23:38:39 (1949d)