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研究賞2014年被表彰者

委員による厳正な審査の結果、2014年の優秀研究賞・学生研究賞はそれぞれ以下のように決定しました(2015年1月15日公表)。なお、規程に基づき、優秀研究賞は共著者を含む全員、学生研究賞は筆頭著者である学生が表彰の対象となります。

優秀研究賞 (Best Paper Award)

受賞者
  • 福田賢一郎・濱崎雅弘・福原知宏(産総研)・藤井亮嗣・堀田美晴(董仙会)・西村拓一(産総研)
タイトル
介護現場における申し送り情報の分析 〜 業務改善に向けて 〜
概要
介護の現場では被介護者の家族からの依頼や従業員の気付きなどを共有する「申し送り」がサービス品質向上に不可欠となっている.我々は,従来はノート等が利用されていた申し送りをモバイル端末で入力する申し送り業務支援システムを開発している.本発表では我々のシステムが導入された介護施設の申し送りデータを試験的にテキストマイニングした結果と分析結果の現場へのフィードバックによって実際に業務改善に繋がった事例を報告する.
選奨理由
    • テキストマイニングの新しい応用を考えて現場に適用できる知識として提案していると ころに価値がある。
    • NLC研究会においてこういう分析系の発表が増えてほしい。
    • 実際の現場での有効性が示せている点が良い。
    • 介護現場の申し送りは,介護の専門家が記述しており,家族からの要望や従業員の気づきが含まれる貴重なテキストである。このようなテキストは,介護現場との信頼関係を築かなければ扱うことが困難であることから,テキストの収集にも苦労したことが伺える。申し送りを対象としたテキストマイニングの研究は,現場で役立つことを重視しており,今後のテキストマイニングを広めていく上で重要な取り組みである。
    • 実際の介護現場へのシステム導入およびテキストマイニングによる解決事例などが網羅されており,今後の重要な実例になるとともに非常にNLCらしい実践的な言語処理についての内容である。

学生研究賞 (Best Student Paper Award)

受賞者
  • 斎藤翔太(東大)
タイトル

Twitterを用いた災害情報の早期発見

概要
近年普及しているTwitterにおいて,ユーザーによって投稿されている即時的な情報により,実世界の出来事を即時に知ることができるようになり,特に災害対応などで注目されている.しかし,現在,災害対応においては,人手で検索し災害の情報を得ていることも多い.また,出来事の自動検出手法は数多く考案されているが,その災害のなすコンテキストの情報がわからないことが多い.本研究では,災害の情報を,その災害のなすコンテキストを示す情報とともに,早期に発見する方法を提案する.注目に値する災害は,複数の語によって表される話題になり,それらに言及するツイートは表現が異なるという仮説を立てた.この仮説に基づき,語の共起のなすグラフのコミュニティとして話題を検出し,その話題に言及しているツイート同士の表現の違いを指標化した独立ソース度という指標を考案し,それをもとに検出することを提案する.Twitterのデータを用いて2014年1月17日に発生した火災を対象に実験し,妥当な火災がメディアの報道より前に検出できたことを示した.
選奨理由
    • 研究は多いものの真の応用が難しいtwitterのデータにおいて,災害の初動という現実的な目的のための課題を技術的に解いた点が評価できる。
    • 感情表現に関する時系列データ分析という難しい課題を選択したことが評価できる。ヘビーユーザの方が攻撃的というのはなるほどと思った。
    • ソーシャルメディアからの災害情報抽出の大きな問題点として、「ソーシャルメディアを用いなくても得られる情報ばかりが抽出されてしまう」というものがあげられるが,本研究は,ソーシャルメディアからしか取得できない手法提案しており,高い有用性があるといえる。

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最終更新時間:2015年01月15日 09時05分05秒