ICDについて

委員長ご挨拶「半導体産業への貢献と人材育成に向けて」

集積回路研究専門委員会 委員長

池田 誠(東京大学)

AIや5Gの普及、EVや自動運転、Society5.0への取り組み等、社会全体のデジタル化が急速に進んでおり、半導体の果たすべき役割はますます大きくなっています。COVID-19の世界的パンデミックによる半導体不足は様々な産業に影響を及ぼしており、社会における半導体の重要性を再確認させられています。さらには、地政学的な観点も含めた戦略物資としての経済安全保障的な側面からも大きな投資の対象ともなっています。

さらに、全世界でカーボンニュートラルの動きが活発化し、一方でAIに代表される計算量の飛躍的な増大による電力増大が大きな課題になる中、半導体においても、コスト、性能のみならず、低消費電力化がこれまで以上に重要になってきています。高度デジタル社会と持続可能な社会の両立に向けて、半導体開発も新たな局面を迎え、さらにはMore MooreやMore Than Mooreをはじめとした新たな技術革新の議論が続けられています。

1987年に発足した集積回路研究専門委員会は、半導体集積回路に関する技術を議論する場を提供し、半導体産業の発展と半導体に携わる人材の育成に取り組んできました。議論内容は、アーキテクチャやシステム、デジタル/アナログ回路技術、設計手法、実装技術、評価技術等の多岐にわたっています。

2023年は、ポストコロナの時代を受けて、対面を主とするハイブリッド開催での研究会の実施を行っており2024年度に向けても同様の方針で研究会を実施していきたいと考えております。ICDは、毎年5月に開催しているLSIとシステムのワークショップを、ICDの総力を結集したICD最大のイベントとして、半導体業界全体、エレクトロニクス分野の最新技術動向を見据えた招待講演やパネルセッション、ポスターセッションからなる密度の濃い2日間として開催しており、例年300〜400名の参加者を集めています。2023年は5月9~10日に開催、2024年は5月9日~10日開催予定です。ポスターでの優秀な発表はLSIとシステムのワークショップ優秀ポスター賞として表彰し、さらなる研究の発展を支援しています。

また、12月の学生・若手研究会、7月の夏の合宿と研究発表に加えネットワークを広め深める活動にも積極的に取り組んでいます。

さらに、IEEEの関連分野であるSolid-State Circuits SocietyのJapan/Kansai Chapterのイベントに協賛するほか、IEICE エレクトロンソサエティと韓国の同様の学術団体であるISE(Institute of Semiconductor Engineers)との連携、ベトナムで開催される国際会議ICDVへの協賛等、相乗効果を高める活動に取り組んでいます。2024年の研究会活動は以下を予定しております。

皆様の積極的なご参画をお待ちしております。集積回路研究専門委員会をよろしくお願い申し上げます。