HCS研究会 2009年5月参加報告記

報告者: 勝間田剛(大阪電気通信大学)

報告

今年の4月から大学院生になり,初めての学会参加がこのHCS研究会でした.今まで他大学の方が大勢来られるような場所で発表する機会がまったくなかったので,不安と緊張でいっぱいいっぱいになっていました.しかし,実際に参加した研究会は私のイメージとはまったく違い,なごやかな雰囲気の中,とても有意義なディスカッションが行われていました.

私は,音声に身体動作が引き込まれる現象に着目し,授業中に講義内容に興味のある生徒を映像解析により検出する手法について発表しました*1.初めての学会発表ということでとても緊張していたため,ぎこちない発表になってしまいました.また,質疑応答でも質問者の意向にそぐわない解答を連発してしまいましたが,議長を務めていただいた大阪大学の伊藤京子さんのとても優しいフォローのおかげでなんとか発表を終えることができました.フロアの方々からは,「リアルタイムで検出できますか?」,「たまたま動いていた生徒と授業に関心を持っている生徒の区別はできますか?」などたくさんの質問をいただき,今後研究を進めるうえでとても参考になりました.

他者の発表では,京都大学の野村光江さんの新型インフルエンザの影響により注目されているマスクがコミュニケーションに及ぼす影響を検討した研究*2や,総合研究大学の三輪眞木子さんの科学ミスコミュニケーションの発生のメカニズムを探求した研究*3など様々な対話場面におけるコミュニケーションについての話をたくさん聴くことができました.特に印象に残っている発表は,京都大学の長岡千賀さんの『心理臨床面接におけるカウンセラーの瞬目に関する予備的検討』という研究でした*4.この研究は,心理カウンセリングにおいてカウンセラーの目の瞬きをカウントすることで,カウンセラーが相手の表情などに集中しているか,それとも,どのような話の展開にしようかを考えているか検討するといった内容でした.私は,授業を聞いている学生の授業に対する興味や集中度,理解の深さを映像から測定できないかと考え研究を進めていますが,長岡さんが着目した瞬きの指標も,授業に対する関心度や理解の指標として使えるのではないかと思いました.

研究会終了後は,現地で大東そばやゴーヤチャンプルー,海ぶどうなど沖縄の郷土料理を食べながらオリオンビールを飲み,2日間の疲れを癒しました.研究会では,様々なテーマの研究を聴き,多くの知識を得ることができ,また自分の研究を公の場で聴いていただくことができ,有意義な時間を過ごすことができたと思いました.自分の研究を進め,機会を得ることができれば,ぜひまたHCS研究会に参加したいです.

最後になりましたが,研究会の運営,会場設営などを行っていただいた皆様にこの場を借りて御礼申し上げます.ありがとうございました.


*1 勝間田剛・小川大貴・小森政嗣. 身体動作の引き込みに着目した授業関心度評価手法. 信学技報, 109(27), 107-112. 2009.
*2 野村光江・冨城智子・竹本智子・城由香利・鈴木二三子・方岡愛・冨田ひとみ・池田宏子・吉川左紀子. マスク使用と患者-看護師間コミュニケーション. 信学技報, 109(27), 29-34. 2009.
*3 三輪眞木子・高橋秀明. 科学ミスコミュニケーション発生メカニズムの探求. 信学技報, 109(27), 39-42. 2009.
*4 長岡千賀・小森政嗣. 心理臨床面接におけるカウンセラーの瞬目に関する予備的検討. 信学技報, 109(27), 35-38. 2009.
Last-modified: 2020-12-04 (金) 06:04:01

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