HCS研究会 2008年5月参加報告記

報告者: 横山ひとみ (大阪大学大学院人間科学研究科)

報告

HCS2008年5月研究会は5月12・13日の2日間にわたり沖縄産業支援センターにて開催されました。本研究会はHI学会、HCS研究会、HIP研究会の合同開催であり、幅広い分野からさまざまな視点で研究報告に示唆を与えあうことができるという意味で有意義であったと思います。

開催地、沖縄。魅力的な場所です。また季節的にも梅雨前という非常によい時期でした。エメラルドグリーンの海、スカイブルーの空、灼熱の太陽が私を迎えてくれました。開催場所は、空港や観光地にアクセスしやすい場所であり非常に便利でした。

さて、1日目、私は研究報告*1をさせていただきました。事前にHPにプログラムが公開されており、私が1番であることを知りました。研究分野も幅広く、また1日目の午前中の1番ということもあり、私の研究報告を聞いてくださる方はどれだけいるのであろうかと不安に思いつつ会場に向かいました。しかし、そんな不安は一掃され研究成果を多くの方と共有でき、また質疑応答では、分析方法や今後の研究の方向性について有意義な議論を行うことができました。研究報告に関してご示唆いただきました多くの方々にこの場を借りてお礼を申し上げます。

発表は、私のような若手の院生からベテランの先生まで、さまざまな研究者がさまざまなテーマの研究発表を行っており、どれも大変興味深く拝聴させていただきました。事前に公開されている研究のテーマだけではどんな内容の研究発表なのか推測できなかったのですが、実際にシミュレーション場面などを研究報告に盛り込んでくださることにより、興味を掻き立てられかつ理解しやすかったです。

1日目の研究報告終了後に、懇親会が催されました。私は今回の発表と懇親会とも初めての参加でした。おいしく沖縄料理をおいしくいただきつつ、周囲の話に耳を傾けていました。その場にいる方々はみんな知り合いなのかと思うくらい和んでいました。研究報告、開催地、開催日時、各々の研究分野について、その他さまざまなことについて話が盛り上がっており、最初はそれなりの声の会話でしたが、だんだんと声も大きくなり、話の輪もそれに伴って大きくなっていっていたように見受けられました。研究報告だけではなくプラスアルファの話ができること、年齢を問わず交流ができることが懇親会の良さであると感じました。

2日目の研究報告は、午前中は1つの会場で行われましたが、午後からは2つの会場に分かれて研究報告がなされました。帰途の関係で、残念ながら午後の報告を拝聴することができませんでしたが、2つの会場に分かれたことでより活発な議論がなされたことと思います。

印象に残った研究としましては、慶応大学の栗林先生の発表*2でした。私は人と人とのコミュニケーションを中心として研究をしているので、植物と人とのコミュニケーションに大変興味を抱きました。植物は人の動作の違いなどの細かい環境刺激を判別することで、電位反応が変わるそうです。その電位反応を反映させる媒体として植木鉢を用い色の変化を生じさせて、植物と人のコミュニケーションを行おうとうする試みについて検討されていました。植物は何も言わず存在し育てたりすることでわれわれ人間を癒してくれる一方で、今回の発表のように植物から積極的にコミュニケーションをとろうとする試みは、植物の利用可能性を大きくしたと言えるのではないでしょうか。今後、実物を身近な場所で体験できればいいなと思いました。また、NTTの飯塚先生*3の研究では、パブリックスペースで自身が作業している内容を見られたくないという身近な問題を、自身と他者のパーソナルスペースと他者の視覚特性の2つの視点を取り入れ、安心して情報を取り扱うことのできる空間デザインへの支援という形で研究報告をされていました。その他の研究発表においても興味深いものが多々見られましたが、個人的には数式のたくさん出てくる発表は自身の理解が追いつかずついていけなかったというのが現状です。

開催日がゴールデンウィーク次週の土日後ということもあり、院生としては比較的ゆとりのある時期であり、充分な準備ができて発表に臨めるという点ではとても助かりました。しかし、開催が平日であったので授業と重ならないか心配しました。運よく授業はなかったのですが、お仕事をされている方々は日程に苦慮させたのではないかと推察します。

最後になりましたが、本研究会開催に携わった全てのスタッフの皆様に、この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。


*1 横山ひとみ・大坊郁夫(2008). 説得場面における社会的スキルの役割―音声提示刺激による実験的研究― 電子情報通信学会技術研究報告, 108, 26, 1-6.
*2 栗林賢・田中浩也(2008). 植物とのコミュニケーションを支援するインタフェースの構築 電子情報通信学会技術研究報告, 108, 26, 25-28.
*3 飯塚重善(2008). 情報利用者と周囲の他者との調和のとれた情報利用環境デザイン支援 電子情報通信学会技術研究報告, 108, 26, 29-33.
Last-modified: 2020-12-04 (金) 06:04:03

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