ヒューマンコミュニケーション賞 受賞者一覧 (HCS研究会選出)

第1回: 平成15年度(2003年度)

  1. 三輪敬之・石引力・渡辺隆・篠原淳 (早稲田大)
    影を自己のエージェントに用いた共存在的コミュニケーションシステムの開発
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.103, No.113, 35-40. (2003); HCS2003-12

第2回: 平成16年度(2004年度)

  1. 山田祐士・竹内勇剛 (静岡大)
    多人数同時発話型チャットシステムを用いた発話のダイナミクスと社会的相互作用の検討
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.104, No.445, 33-38. (2004); HCS2004-27

第3回: 平成17年度(2005年度)

  1. 松田昌史・松下光範(NTT)・苗村健(東大)
    分散認知環境における集団課題達成−Lumisight Tableを用いた迷路ゲーム実験−
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.105, No.306, 37-42. (2005); HCS2005-34
    • 選評: 4人集団によるゲーム実験をLumisight Tableを持ちいることによって、条件操作などがうまく組み込まれており、集団内コミュニケーションの研究に有用であることを示している(特に、参加者に応じて与える情報、条件を操作できる点)。今後の応用が検討できる研究である。
  2. 田村和弘 (理研)
    より効果的な歩行者道案内システムの実現に向けて
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.104, No.581, 59-64. (2004); HCS2004-48
    • 選評: 人間の空間認知特性の実験をベースとした分析によって,有用性の高い歩行者道案内システムの検討を行なっている.特に環境情報(ランドマーク)を利用することで地図読みにおける整列効果をなくそうとする試みは興味深く,またその有用性に可能性が見出せる.このような基礎的研究を通して,人間の認知特性と合致したインタフェース設計への指針を得ることは意義深い.

第4回: 平成18年度(2006年度)

  1. 水上陽介(香川大)・内田啓治(エス・シー・エー)・澤田秀之(香川大)
    触覚呈示デバイスを用いたなぞり感覚の呈示
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.106, No.83, 67-72. (2006); HCS2006-13
    • 選評: 形状記憶合金にパルス電流を流して収縮させる触角提示装置を開発し、なぞり感覚を実現した。このシステムは1mm程度の狭い間隔で配置でき(従来は5mmとか1cm)、低消費電力、かつ、金属疲労も無いとのことで実用性の高さが評価できる。
  2. 松田昌史 (NTT)
    顔写真の提示が信頼行動の発現にもたらす影響
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.106, No.268, 17-22. (2006); HCS2006-44
    • 選評: 顔写真提示の有無が、互いの信頼行動の発現にどのような影響をもたらすかを実験的に調査し、ヒューマンコミュニケーションにおける新しい知見を得た。

第5回: 平成19年度(2007年度)

  1. 澤田秀之・中村光宏・林恭守・木谷光来(香川大学)
    発話ロボットを用いた聴覚障碍者のための発話訓練
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.107, No.59, 125-130. (2007); HCS2007-24
    • 選評: 聴覚フィードバック学習を用いた発話システムを、聴覚障碍者の発話訓練に用いることは社会的・実際的な有効性が期待できる。本研究では、聴覚障害者を対象としたシステム評価により、その有効性と課題が評価されている。

第6回: 平成20年度(2008年度)

  1. 武川直樹・峰添実千代・徳永弘子・湯浅将英・瀬下卓弥(東京電気大)・立山和美・笠松千夏(味の素)
    3人のテーブルトークにおける視線,食事動作,発話交替の分析 -会話と食事動作はどう制御されるか?-
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.108, No.187, pp.31-36. (2008); HCS2008-36
    • 選評: 本研究は,食事中のコミュニケーションに焦点を当て,3者の食事中の会話映像 から視点,表情表出,食事動作,発話交替を緻密に分析し,会話への関与と食事への積極性に負の相関関係を見出した.解析対象数がまだ十分とはいえないが,このような食事中のコミュニケーションの特性に関して報告された例は少なく,新規性,今後の発展可能性の面からも評価できる内容である.
      以上の観点から,本発表はHC賞を受賞するに相応しいと判断した.

第7回: 平成21年度(2009年度)

  1. 丹生隆之・千原晋平・石井健一・関谷かや人・屋敷田淳子(NEC)・山崎俊太郎・松橋崇史・玉村雅敏・金子郁容(慶大)
    コミュニケーション創出基盤ActiveAvatar
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.108, No.487, pp.115-120. (2009); HCS2008-77
    • 選評: 現実空間において、偶発的に出会う人々の対面コミュニケーションを創出・促進し、サイバー空間を活用しながら価値創造に繋げるコミュニケーション創出基盤ActiveAvatarを提案している。対人関係発展プロセスの各段階への遷移を支援する機能、プロフィール交換機能、簡易プレゼンテーション機能を提供しており、その有効性をフィールド実験により示している。従来のAvatarの概念を拡張する意義のある取り組みである。

第8回: 平成22年度(2010年度)

  1. 松田昌史(NTTコミュニケーション科学基礎研究所),八重樫海人,大坊郁夫(大阪大学大学院)
    コミュニケーションツールの違いによる3者間会話行動に関する研究(1):葛藤状況における意思決定の偏り
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.109, No.457, pp.79-84. (2011); HCS2009-87

第9回: 平成23年度(2011年度)

  1. 上出寛子(阪大)・小森政嗣(阪電通大)・川村 智(産総研)・長岡千賀(京大)
    社会的スキルと表情表出時の顔面形状の関係
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.111, No.214, pp.7-12. (2011); HCS2011-47
    • 選評: 顔画像の主成分分析によって出力した顔面表情の主成分と、質問紙によって得られた 社会的スキル得点の関係について検討している。コミュニケーション支援において有 用な手法であることが期待できるため、発表賞に推薦する。

第10回:平成24年度(2012年度)

  1. 本間元康(精神研)・栗林大輔・長田佳久(立教大)・栗山健一(精神研)
    アイコンタクトの体積と性格特性
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.111, No.393, pp.11-14. (2012); HCS2011-55
    • 選評:アイコンタクトの量を体積で測定するというのがこれまでの(少なくとも社会心理学的な)先行研究では行われておらず、独自性が高いと感じた。姿勢が固定されるという点は考慮する必要があるが、相互作用場面などへの拡張可能性もあり、今後の研究展開が楽しみである。

第11回:平成25年度(2013年度)

  1. 山口真澄(NTT)
    離れた家族をつなぐコミュニケーションの事例研究 〜電話チャンネルを用いた5年間の記録〜
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.112, No.455, pp.73-78. (2013); HCS2012-91
    • 選評:電話チャンネルというテレビ電話システムのトライアルについて報告している。コミュニケーションに用いられているシステムは、テレビ電話の延長線上にあるものであり、それほど新しいものではないが、5年間のデータの蓄積から得られた知見は大変有意義なものであり、貴重なデータといえる。長期間ならではの行動の変化などが報告されており興味深い。
  2. 久保賢太(JST)・岡ノ谷一夫(東大/JST)・川合伸幸(名大/JST)
    “あくび伝染”時に関する認知的・情動的共感機能の時間的遷移
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.113, No.73, pp.37-41. (2013); HCS2013-7
    • 選評:あくびの伝染というよく知られている現象は「共感」と深く関わると考えられている.他者のあくびの観察時の脳電位活動を解析することで、共感の基礎となる脳活動のプロセスの解明に迫り、認知的な共感が生じた後に情動的な共感が生じるという,質的に異なる共感の時間的関係を解明した点は非常に意義深いと思われる。

第12回:平成26年度(2014年度)

  1. 石井 亮・大塚和弘・熊野史朗・大和淳司(NTT)
    複数人対話での話者交替に関する呼吸動作の分析 〜次話者と発話開始タイミングの予測モデルの構築に向けて〜
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.114, No.189, pp.35-40. (2014); HCS2014-49
    • 選評:本研究は、呼吸動作と発話との関連性を調べたもので、3人以上の複数人対話における次話者や発話開始タイミングの推定を試み、有効性を示した。呼吸動作に着目して次話者推定を行うことは新たな試みとして興味深い。映像遅延がある場合の呼吸分析や状態遷移モデルでの予測モデル構築などの研究面での展開や、遠隔コミュニケーションなど様々な応用面での展開も考えられるため、今後のさらなる発展が期待される研究として価値が高い。
  2. 高橋 翠(東大)
    容貌と性格特性の組み合わせが人物の魅力評定に与える影響 〜知覚者側の要因にも着目して〜
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.113, No.462, pp.125-130. (2014); HCS2013-126
    • 選評:本研究は、人物の顔写真と性格特性の組み合わせが人物の魅力評定に与える影響を調べたものである。多くの先行研究を整理して顔刺激を作成し調査を行っており、交際経験の有無により異性の魅力評定が異なることを示した。研究テーマが明確であり、多くの人が関心を抱くような大変興味深いものであり、交際経験の有無に着眼したことも興味深い。また、調査の計画や結果の分析などが精緻に行われており、研究の質が高い。

第13回:平成27年度(2015年度)

  1. 斎藤博人・徳永弘子・橋本恵理子・武川直樹(東京電機大)
    リアルタイム話速変換を用いた会話における音声ループバックの効果
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.115, No.35, pp.67-72. (2015); HCS2015-9
    • 選評:本研究は、聞き手の能力の欠如(聴覚障害や非母語など)による対話の不都合を解決を最終的なゴールとしている。音声速度を遅くして聞かせるというシンプルな解決策を提示しつつ、話者音声を巧妙にフィードバックすることで発話衝突などのストレスを低減可能であることを実証した。システムの完成度が高く、シンプルな方法で応用範囲も広いと期待されることことから,HC賞受賞にふさわしいと考える。
  2. 有賀玲子・永徳真一郎・佐藤 妙・定方 徹・田中智博(NTT)
    想起特性を考慮した対話的ラベリング手法の基礎検討
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.114, No.440, pp.149-154. (2015); HCS2014-99
    • 選評:本研究では、生活場面において、センサデータ変化の意味をユーザに対話的に問い合わせるインタラクティブセンシングシステムを提案している。その中で、想起に関する被験者実験を実施し、出現頻度が低い事象の方が質問対象状況を想起しやすいという結果を実験的に示した点が興味深く、HC賞受賞にふさわしいと考える。

第14回:平成28年度(2016年度)

  1. Miyuki Yasue・Akiko Nakagami(Nagoya Univ.)・Taku Banno・Keiko Nakagaki・Noritaka Ichinohe(NCNP)・Nobuyuki Kawai(Nagoya Univ.)
    Marmoset models of autism did not discriminate reciprocal/non-reciprocal interactions between third-parties
    電子情報通信学会技術研究報告 Vol.115, No.471, pp.11-15. (2015); HCS2015-83
    • 選評:本研究はラット以上にヒトの近縁種であるマーモセット (霊長類) を対象として、健常な個体と自閉症の個体とで互恵的なヒトを識別できるかどうかを検討した。その結果、前者は互恵的なヒトを識別したが、後者はそれができなかった。バルプロ酸投与マーモセットは自閉症霊長類モデルとして妥当であることが確認され、社会性に関する基礎研究を加速する道を新たに拓いた点において、HC賞を授与するにふさわしいと考える。
Last-modified: 2017-09-17 (日) 14:50:35 (33d)

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