ヒューマンコミュニケーション賞

ヒューマンコミュニケーショングループ賞とは

傘下の4つの第1種研究会 (HCS,HIP,MVE,WIT)で発表された論文の中から,優秀なものを選んで表彰する制度です.

ヒューマンコミュニケーショングループ賞規程

第1条
ヒューマンコミュニケーショングループ(以下HCG)にヒューマンコミュニケーション賞(以下HC賞という)を設ける.
第2条
HC賞は,ヒューマンコミュニケーションに関する優れた研究報告の発表者を表彰し,もって,この分野の発展に寄与することを目的とする.
第3条
HC賞は,HCGの第1種研究会に直接申し込まれかつ最近1年間に発表された研究報告を対象に選定する. ただし,最近1年間とは表彰の前年の1月から12月をさすものとする.
第4条
表彰の対象者は,優れた研究報告の著者全員(連名を含む)とし,そのうち少なくとも1名は電子情報通信学会の正会員,学生会員とする. 但し,贈呈式までに会員登録を行った場合には,表彰の対象とする.
第5条
受賞者には賞状ならびに副賞を贈呈する.
第6条
表彰は毎年度1回HCGシンポジウムの当日に行う.
第7条
HC賞を審査するため,第1種研究会にそれぞれHC賞審査委員会をおく. HC賞審査委員会の委員長には第1種研究会委員長を,委員には第1種研究会の推薦した若干名をそれぞれHCG運営委員長が委嘱する.
第8条
第1種研究会のそれぞれのHC賞審査委員会はHC賞の授賞候補を選定し,順位と理由を付してHCG拡大運営委員会に報告する.
第9条
HCG拡大運営委員会は審査委員会の報告にもとづき,審議のうえ,授賞を決定する.
第10条
本規程の改廃はHCG拡大運営委員会において決める.
付則
本規程は2003年9月30日よりこれを施行する.


平成19年度ヒューマンコミュニケーション賞 受賞論文一覧


■ HCS研究会

1. 澤田秀之・中村光宏・林恭守・木谷光来(香川大) (HCS2007-24)

「発話ロボットを用いた聴覚障碍者の発話訓練」

【選考理由等】
聴覚フィードバック学習を用いた発話システムを聴覚障碍者の発話訓練に用いることは社会的・実際的な有効性が期待できる.本研究では,聴覚障 害者を対象としたシステム評価により,その有効性と課題が評価されている.これらのことから本研究は,社会からの要請に応える可能性があるヒ ューマンコミュニケーション研究となることが期待されると考えられ,HC賞に相応しいと判断された.



■ HIP研究会

1. 河地庸介・行場次朗(東北大) (HIP2007-129)

「知覚的に消失した物体の削除が再起させる視覚的アウェアネス」

【選考理由等】
本報告では,運動誘発盲(MIB)によって知覚的に消失した物体を物理的に削除することで視覚的アウェアネスを再起させる現象について報告し,その 時空間特性について検討している.さらに,この再起現象が物理的削除を検出したことによって媒介されていないことも示している.これらの知見は関 連研究者にとって非常に興味深く,また,論文自体もよくまとまっていることから,HC賞に相応しいと判断した.

2. 坂本寛之(北大)・石川悟(北星学園大)・大森隆司(玉川大) (HIP2006-112)

「幼児の注意配分のモデルベース推定の試み」

【選考理由等】
動的な対象(移動する人間)と静的な対象(障害物)に注意を配分し,環境から適切な情報を取得して,自分の行動を決める際のモデルの妥当性を,幼 児の発達段階に応じて調べたデータをもとに検証したもので,発達心理学における研究の新たな切り口を提供したものとして高く評価できる.今後が期 待できる研究である.


■ MVE研究会

1. 高橋康介(JST)・齋木潤(京都大)・渡邊克巳(東京大) (MVE2007-5)

「仮想物体の変形に対する視触覚間同時性知覚の順応」

【選考理由等】
知覚心理学的な見地から異種感覚間の同時性知覚の順応に焦点を当て,視触覚間では視聴覚間と同様に主観的な同時点が10-20ミリ秒移動すること,また聴 覚とは異なり受容器間では順応の転移が起きないことなどを示した点が評価される.また論文のまとめ方,体裁ならびに発表も優れていたことも高く評価で きる.


■ WIT研究会

1. 清田公保(熊本電波高専)・江崎修央(鳥羽商船高専)・伊藤和之・伊藤和幸(国立リハ) (WIT2006-77)

「中途視覚障害者の学習支援を目的としたペン入力学習ノート"PenTalker"の開発」

【選考理由等】
中途の視覚障害者の就学支援を目的としたペン入力方式による学習電子ノートシステムの研究開発報告である.明確な障害当事者のニーズと文字の崩れに対応す るアルゴリズムというシーズのバランスがとれた研究である.点字などを新たに学習することなく,ペンによる文字入力ができるなど有用かつ実践的な研究であ る.どのような文字が入力されやすいかを分析し,それを考慮した提案手法による高い認識精度が得られているなど今後の発展も期待できるため.

2. 渡邉文浩・森本猛・林恭平・葛目幸一(弓削商船) (WIT2006-126)

「歯の接触音を用いた個人特性適応型ユーザインターフェースの開発とECSへの応用」

【選考理由等】
重度な四肢麻痺者のための「歯の接触音を用いたユーザインターフェース」の研究開発報告である.現時点では実際には環境制御装置(ECS)への応用には及ん でいないが,歯の接触音をインタフェースに用いるという独創性,新規性を高く評価する.加えて,小型で負担が小さくコストも抑えられており,今後の発展が 期待できるため.