EMC zurich 2001の報告
(通信ソサイエティ ニューズレター第26号より転載)

 2001年2月20日から23日にわたって第14回チューリッヒ環境電磁工学国際シンポジウム及び併設の展示会がスイス連邦工科大学(ETH Zurich)で開催された。これは、ヨーロッパで開催される3大EMC国際シンポジウムのひとつで、2年毎に開催されており、最も長い歴史と伝統を誇るものである。
シンポジウムと展示会はETHZのメーンビルの中で例年開催されている。この建物のエントランスホールで登録などが行なわれており、両脇の講義室につづく通路で展示会が開催されていた。エントランスホールを通り抜けるとチューリッヒの市街が一望できる丘の上にあり、絶景の場所にある。

ヨーロッパのEMC国際シンポジウムでは、米国で開催されるIEEEのEMC国際シンポジウムと異なるひとつに、雷放電に関する研究が多く発表されることである。また、ヨーロッパの大学の研究者が非常に多く参加している。このような状況だからか、米国の場合と異なり、モデルを理論展開するような論文が多いように感じられる。

本会議では19のセッションがあり、合計101件の論文が発表された。また、発表者の国籍は25ヶ国に達している。ドイツからの発表が数の上では断然他をリードし26件、次いでイタリアの21件である。日本からは9件であった。

このシンポジウムの論文採択率は約60%である。これは3会場だけでの並列開催であるためと一般講演会期が3日であることによって論分数に上限があるためである。不採択になった論文が必ずしも内容が劣るのものではないと強調されていた。

今回のシンポジウムは、参加者数が前回より少なくなっていることが報告されており、展示会に参加する企業等の数も少なくなっていた。不景気の影がここにも忍び寄ってきている感がした。

(執筆者: 電通大 上 芳夫)