DEWS2007 HIROSHIMA

Itsukushima Shrine

電子情報通信学会 第18回データ工学ワークショップ論文集

ISSN 1347-4413

2007年6月1日発行

編集:川越 恭二(立命館大),大森 匡(電通大),佐々木秀康(立命館大),前田亮(立命館大),渡辺知恵美(お茶の水大),横田裕介(立命館大),鈴木優(立命館大)

会議日程・場所

日程: 2007 年 2 月 28 日〜 2007 年 3 月 2 日

場所:広島プリンスホテル(広島県広島市)

DEWS2007論文集刊行にあたって

ワークショップ委員長:佐藤 哲司(NTT)

プログラム委員長:川越 恭二(立命館大学)

DEWS(データ工学ワークショップ)は,データ工学に関する様々な研究テーマをトピックとして,若手研究者が中心となって毎年早春に開催されるワークショップです.

第18回データ工学ワークショップ(DEWS2007)は,2007年2月28日から3月2日まで、データ工学分野における重要なテーマから,萌芽的,先進的,先見的なアイデアまで幅広い内容の研究発表が行われました.DEWS2007は、国内外からの交通の便もよく、しかも、宮島・厳島神社と原爆ドームという2つの世界遺産を持つ広島で開催いたしました。特に、会場の元宇品地区にある広島プリンスホテルは、おだやかな瀬戸の海を見渡すことのできる風光明媚な場所にあり、データ工学分野の研究者が集中的に議論を行う環境として適した会場でありました。今回のDEWSの参加者は431名となり、これまでの300名台から大幅に増加し、このような国内での研究会中心の会議としては最大規模となり、DEWSが年間イベントとして認知しさらにデータ工学と境界領域研究分野の研究者の関心も強く引き付けているものと推測できます。

DEWS2007の発表は,論文の内容をじっくり議論できる口頭発表を基本とし、さらに希望によって追加発表が可能なインタラクティブ発表から構成しました。さらに、口頭発表には、持ち時間20分(発表15分+質疑応答:5分)のロングセッションと、持ち時間15分(発表12分+質疑応答3分)の通常セッションの2種類のセッションとして、論文の内容等によって分類しました。インタラクティブ発表では、口頭発表の休憩時間の前後40分を割り当て、特別の部屋でデモやポスターを用いた議論の場を提供いたしました。さらに、DEWS2006と同様に、英語で発表を行う国際セッションも用意しました。国際セッションでは、海外、特に、中国、韓国のデータベース研究者からの招待講演と、希望者による口頭発表より構成したセッションです。

論文の投稿方法はすべて同一とし、アブストラクトによる申し込みの後、8ページ以内の論文の提出によって査読を行いました。もちろん、8ページにこだわらず、4ページ程度のエクステンディッド・アブストラクトの受付も行いました。募集の結果、1月6日に259件の論文投稿がありました。この投稿数はこれまでのDEWS2005の185件、DEWS2006の202件を大幅に上回る数値であり、プログラム委員会の想定数も大きく越える件数でした。なお、投稿論文257件のうち、国際セッションを希望した論文件数は18件、インタラクティブ発表の希望が93件でありました。また、中国、韓国からの招待論文は8件でした。

最近数年間のDEWSでの論文投稿数の増加により査読者の査読負担が大幅に増加し、丁寧で正確な査読が事実上困難な状況にまで直面していると判断しました。このため、今回のDEWSでは査読者数を117名に増加し、当初計画していた査読者一名あたりの査読論文数4件程度近い4.7件に減らすことができました。査読は2段階に分けて行いました。まず、第一段階では、論文1件について2名の査読委員による並行査読を実施しました。査読にあたっては、通常の論文査読とは異なり、学生の育成という観点から、論文をよりよくするための改善項目の指摘などの前向きなコメントを中心に査読委員に依頼を行いました。第一段階の査読結果から上位の論文41件についてさらに査読者1名を割り当て第二段階の査読を行いました。最終的に、査読の結果、251件の論文を採録し、ロングセッションには25件の優れた論文を選ぶことができました。

プログラム編成では、250件と越える論文発表とインタラクティブ発表、さらに、同時に実施される様々なイベントを3日間で効果的に実施するために、平坦な構成ではなくメリハリのあるセッション構成としました。具体的には、多くの参加者が集まる2日目に、ロングセッション、国際セッション、技術報告セッション、以下に説明する招待講演、ミニサーベイを配置しました。初日と最終日には、すべての口頭発表ができるセッションを用意いたしました。

招待講演は,ACM SIGMOD2006で最優秀論文賞を受賞したProf. Panagiotis G. Ipeirotis(New York University, USA)により「Towards a Query Optimizer for Text-Centric Tasks」と題した講演をいただきました。また、電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ フェローとなられました牧之内顕文 教授に「データベースシステムの今昔と将来」と題した講演をいただきました.歴史的な経緯を踏まえての経験豊かな内容は,若手研究者への良い刺激となったことと存じます.また、ご退職記念特別セッション「データベース教育研究と私」という特別のセッションを行いました。このセッションでは、金森吉成先生、植村俊亮先生、増永良文先生からこれまでの研究と教育を振り返っていただき若い研究者に対する期待を述べていただきました。さらに,DEWS2006最優秀論文賞を受賞された研究者から,「大規模データベースシステムに関する研究動向」と題するミニサーベイをしていただきました.この他,日本データベース学会の企画で,牧之内顕文(久留米工業大学教授)による「Digital Human から Digital Clone へ」と題したDBSJ功労賞受賞記念講演もいただきました。企業の方による技術開発状況の解説とデモを行なう技術報告セッションでも多数の参加者が集まり盛況でした.

ワークショップ終了後に口頭発表論文の中からプログラム委員会で審査を行ないDEWS2007最優秀論文賞を1件,DEWS2007優秀論文賞を5件選定しました.これらの論文は、電子情報通信学会和文論文誌および英文論文誌の研究会推薦論文の対象となります.また口頭発表での優秀なプレゼンテーションに関しては,ロングセッションを対象にセッション座長の推薦を基本にDEWS2007優秀プレゼンテーション賞を5件を選定しました.

最後になりますが,今回のワークショップ開催に際しまして,大変多くの方々にご支援・ご協力をいただきました.この場をお借りしまして御礼申し上げます.共同主催である日本データベース学会の会長の増永良文先生をはじめDEWS2007組織委員会の先生方、招待講演を頂いたProf. Ipeirotis先生,ミニサーベイでご講演いただいた皆様に感謝いたします.また,ビデオ撮影に協力いただいたボランティア学生の皆様ご苦労様でした.短期間での論文査読や座長等でご協力をいただいたプログラム委員の皆様,プログラム委員長補佐として多くの支援をいただきました鈴木優先生と横田裕介先生,プログラム委員会幹事の大森匡先生,佐々木秀康先生,渡辺知恵美先生、前田亮先生には,極めてタイトなスケジュールの中で献身的な貢献をしていただきました.深く感謝致します.ローカルアレンジメントと財務担当の北上始先生、上土井陽子先生、田村慶一先生には、大幅に増加した参加者数にもかかわらず周到で緻密な準備とチームワークの良さによりトラブルも支障もなく運営していただきました。心より感謝いたします.

DEW2007では、これまでのDEWSの抱えた課題を解決するために,これまでの良き伝統を守りながらも,新しい取り組みを積極的に導入いたしました。査読体制の強化、査読内容の均質化、全員の口頭発表などの試みを行いました。参加者数の大幅な増加に困惑した面はありますが、参加者あってのDEWSでありますので、参加者の皆様のニーズに応えるDEWSとして、今回のワークショップが成功したのではないかと感じております。準備不足や反省すべき点などありましたが,これも、多くの方々のご協力によることです。心より感謝いたします。今後も、DEWSがデータ工学分野の研究コミュニティの情報交換・技術交流の場のみならず学生を育成する場として益々発展することを祈念します。

DEWS2007 論文集の構成

本論文集は,DEWS2007で採録された口頭発表論文,インタラクティブ発表論文,デモ発表のアブストラクト,ミニサーベイの講演スライドからなります.DEWS2007 開催前の2007年2月24日に,予稿集として論文集を公開しています.本論文集はワークショップ終了後に,著者に任意で論文の拡張を行なって再提出していただいた論文を収録しており,ワークショップ前の論文集を改訂したものとなっております.

本論文集は,DEWS論文集の公開に関するお願いにあげました方針に基づき,電子情報通信学会データ工学研究専門委員会(DE研)が著者から公衆送信権・複写権使用の許諾を受けた形で, 著作権は論文の著者に帰属したまま公開しております.今後,著者が論文の公開を終了される場合があります.

本論文集は,PDFファイル形式で論文ファイルを掲載しており,Adobe Reader(無償) (6.0 以降)などにより閲覧することができます.

論文集

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リンク

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