研究会設置の目的
近年,脳機能計測技術の急激な進歩とともに感覚刺激が脳に与える影響を臨床心理学や社会心理学の領域で議論することができるようになり,しだいに脳と心の仕組みが明らかになりつつあります.メディアでも科学的な根拠に基づくものから興味本位のものまで含めて過剰に報道されていて,脳情報の利用について社会の関心度が高まっています.
情報通信分野では,「いつでもどこでも」のユビキタスネットワークの時代を経て,感情や感性を伝達する新たなコミュニケーションのスキームが今後益々求められていくと予想されています.その中で脳情報に係る技術は,感性を伝達するような映像・音響表現等情報通信技術の高度化のみならず,医療・福祉現場でのコミュニケーション手段として,また,言語を超えた意思疎通手段として,安心・安全な社会の形成に貢献するものと期待されます.しかしながら,技術の急速な進歩だけが先行し,安易にビジネス化しようとする傾向もでてまいりました.脳計測技術はこれまでにない非常に有益な科学技術ではありますが,人間の心に踏み込む技術であるため使い方によっては危険なものともなりえます.ビジネスだけが無秩序に乱立すれば今後大きな社会問題となることは必至です.
このような背景のもと本研究会では,感情・感性を司る脳の機能を基本に,感覚情報を伝達する方法論やそれを実現するためのデバイス・システムの創生を目指し,情報通信,エレクトロニクス等のエンジニアリング領域と脳神経生理学,臨床心理学,社会心理学等サイエンスの領域の研究者・技術者が意見交換するとともに,得られた技術を運用するための社会的ルール(倫理規定)を社会者や医療現場の医師等とともに討論する場を提供することを目的とします.

概要