■萩原将文 氏 (慶應義塾大学理工学部情報工学科・教授) 13:30〜14:30
「ことばがわかる人工頭脳 ――こころがわかる人工頭脳をめざして――」
コンピュータやエンジンなどに代表されるように機械が中心であった20世紀に対して、21世紀は自然や環境など、人間により近い部分に迫る研究や産業が重要となるであろう。
情報処理の観点からは、人間が持つような柔軟な処理方式の開発は極めて重要である。人間の知的活動においては、視覚や聴覚からの情報に基づきそれらを言語化し、論理的あるいは直観的に思考・判断する場合が多い。そのためには画像のようなパターン情報と、言語に代表されるシンボル情報の2種類の情報の扱いがポイントとなる。
本講演では、人工頭脳構築をめざしこれらの情報を扱う研究例について紹介し、さらに今後の展望についても考察したい。
■乾 敏郎 氏 (京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻 教授)
「身体化による認知機構」
われわれは、外部環境(物体環境、社会環境)に対する人間のダイナミックで予測的なインタラクションに着目し、そのメカニズムの解明を目指している。同時に、対象のダイナミックなメンタルモデルを形成する過程やメンタルシミュレーションのメカニズムも解明しようとしている。外界とのインタラクションの中でもっとも基礎となるのが、物をつかみ、操作する機能すなわち到達把持運動である。
われわれは、さまざまな条件で到達把持運動の実験を行い,運動精度予測制御仮説をたて,計算論的モデルを考案した.このモデルは基本的に予測制御モデルであり,視覚や自己受容感覚などの情報を統合しながら正確な到達把持運動を実現するものである.またfMRI実験により運動予測機構や視覚・自己受容感覚などの信号フィードバックとの誤差検出が脳のどの部分で行われているかを明らかにした.予測をするには対象の内部モデルが必要である。その内部モデルを使用することにより、メンタルシミュレーションやパントマイムも実現できる。
本講演では、以上述べた研究の概要を紹介し、これらの機能と言語コミュニケーションの基盤メカニズムがどのように関連しているかを考察する。
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