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ネットワーク運用ガイドラインの各省庁への報告と記者発表
基本方針 : 2年前に提言を行った先の内閣官房には学会が約束した内容の結果報告という形で説明を行い、ガイドラインそのものは文部科学省に提供して、有効活用を依頼することとした。なお、提言時に資料を送付した省庁には今回も資料を持参することとした。


■ 1.内閣官房「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部」への報告

日 時 : 1月29日(水) 午前10:00〜11:15
場 所 : 内閣官房会議室
対応者 : 阪本泰男参事官、関啓一郎参事官、小郷直晃主査、
佐藤寛義主査、伊藤正憲氏、後藤教至氏(IT担当室)
電子情報通信学会 : 河内、三島、三木、鎌田、曽根、家田/能津
内 容 : ガイドラインの有用性を高く評価していただけた上に、多忙な中で非常に熱心な討議を1時間以上していただけたことは評価できる。
(5.1を参照)

河野理事から坂本参事官にガイドラインを手渡しました。
ガイドラインの説明模様
河内理事から阪本参事官に
ガイドラインを手渡しました。
ガイドラインの説明模様
(高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)


2.文部科学省 大臣官房 政策課 「情報化推進室」への説明

日 時 : 1月29日(水) 午後1:30〜2:45
場 所 : 文部科学省 本館 1階 会議室
対応者 : 高野茂情報化推進室長、林田宏三係長、他2人
電子情報通信学会 : 羽鳥、河内、三島、鎌田、曽根、冨士原、丸橋、家田/能津
内 容 : 内容について討議の後、同省が大学等に流しているセキュリティポリシ ーの考え方と合わせて有効利用を図るために、情報の伝達を約束してい ただいた。
(5.2を参照)

羽鳥会長から高野情報化推進室長にガイドラインを手渡しました。 ガイドラインの説明模様(文部科学省)
羽鳥会長から高野情報化推進室長に
ガイドラインを手渡しました。
ガイドラインの説明模様
(文部科学省)


3.関係省庁へ資料を持参


文部科学省報告の後で、提言時に説明した下記の省庁に事務局が持参し簡単な報告を行った。

文科省 研究振興局 情報課、 研究振興局 研究助成課
総務省 情報通信政策局 総合政策課
経産省 商務情報政策局 情報政策課


4.記者発表

日 時 : 1月30日(木)午前11:00〜12:20
場 所 : 帝国ホテル 3階 雅の間(みやびのま)
新聞社 : 日刊工業新聞(2人参加)、科学新聞、化学工業日報、電気新聞、
日本私立大学協会教育学術新聞、工業通信
翌日、日経から参加できなかったので資料請求あり、対応した
電子情報通信学会 :河内、三島、三木、曽根、金谷、冨士原、中西、鎌田、中嶋、鶴原
内 容 : 文科省の記者クラブに案内状を回すとともに、かつ従来の科学系・一般 紙ならびにNHKに案内状を送付したが反応が鈍く、社数は少なかった。 しかし、内容的には極めて活発な質疑があり、閉会後も3社が残って質 問が続けられた。
(5.3 を参照)

記者発表模様 ガイドラインを説明する三木氏
記者発表模様
右から 河内理事,中嶋理事,三木氏,
鎌田委員長,三島氏
ガイドラインを説明する三木氏


■ 5.主な質疑の状況

5.1 内閣官房

Q1: 対象は大学だけか?
A1: 大学、小・中・高、一般とそれぞれ問題があるが後に行くほど複雑になる。大学への 対応だけで2年かかった。まず大学で実施し、問題点を洗い出してから次のステップへ移ることを提案している。大学といえども足並みはそろっていないので難しい問題が内包されている。
A1': ガイドラインを作って実施して問題が明確になってから法律を策定するのが順序であ ろう。
Q2: 海外に例はないか?
A2: 米国の主要大学はきちんと対応しWEBに掲載している。これは米国が契約社会であることにもよっている。ここでは米国のガイドラインを大いに参考にしながら、議論を重ねて、日本の法律も念頭に入れて検討をした。
Q3: 内閣官房から各省庁にセキュリティポリシーを策定するよう指示を出した。セキュリティポリシーはかなりできてきたと思うが、運用への具体的基準に行くのが問題。そこを具体化する計画はないのか?
A3: 緊急時への対応は各大学が実施することになるが、付録に考え方の例示を入れた。
A3': 大学毎にレベルアップが必要であるが、このガイドラインをみて直ぐに対応できる大学はかなり進んでいるところである。実際には、末端が機械的に処理できるようにすることが必要である。
C1: IT教育という観点からこのガイドラインは有効である。大学も法人化を控え、大学の中に意識の高い人もかなりいると思う。こういう人に直接訴えることも有効と思う。
C2: メディア教育研究センター(所長:坂本先生?)でe-Learningの検討をしている。こちらとコンタクトすることも意味があると思われる。


5.2 文部科学省 大臣官房 政策課 情報化推進室


Q1: 省庁毎にセキュリティポリシーを策定し、大学にも指示を出している。大学での対応実績は今のところ1割位と思うが、省庁が考えた対応の考え方だけをベースにした指示に大学が対応し難いのかもしれない。
A1: 本ガイドラインはセキュリティポリシーだけにとどまらず、利用者の権利と義務、その他幅広い内容となっている。両者を合わせるとより有効になると考える。
Q2: セキュリティー関連の担当グループ覗くホームページがあるがそこにこのURLを掲載してよいか?
A2: 是非お願いします。
Q3: 明日の記者発表は文科省の記者クラブには連絡したか?
A3: 電話を入れて、案内文書をお届けした。
C1: 情報化推進室として強制はできないが案内をすることは可能。将来関係するところにも連絡をしてみる。
Q4: (会長):記者はできるだけ完成度の高い原稿を求めている、採用を期待するのであれば努力が必要。
A4: 対応を考える。(実行時に対応)


5.3 記者発表での質疑状況

Q1: 大学のネットワーク管理者の現状は?
A1: 管理者は配置されているが、規模の大中小や理系/文系の違いにより実態はまちまち。問題が発生しても義務や権限が不明確であり機能しづらいことがあり、例えば、トラブルが発生しても直ぐに停止できないことが挙げられる。
Q2: 学生や先生は認証機能を使って入るようになっているのか?
A2: 認証そのものはパスワードを使用するシステムになっている。問題は学生が自身のPCを持ち込んでネットワークに接続した場合、そのPCからウイルスの進入が考えられる。 こういったケースに向けて技術的な対応は個々になされてきたが、利用に際しての許容範囲のルール化がもとめられている。
Q3: セキュリティは民間と比べて低いということか?
A3: 技術的には民間より進んでいるといってよいと思う。民間の場合、統括責任者が明確に設定されており制限をつけた使用環境にすることで対応している。大学の場合自由に使用できる環境が要求されるという異質な環境である。その自由さが問題の発生の原因であり、管理の実態は学生、先生、研究室に依存している場合が多い。ファイアウォールはあるが実際には一部でも弱いところがあればそこから入り込まれる。大学の自由環境からこれをコントロールすることは極めて困難な状況。学生一人一人をとってもいろいろなレベルがあり、意識不足の学生も当然いし、そこで問題が発生しても誰の責任かは明確でない。
Q4: 大学は人材が豊富であり、ネットワーク管理者を割り当てることが可能と思われるが小中高では難しい、これに対する手当ては?
A4: ガイドラインの中の提言で十分な予算措置が必要なことは明記した。今回のガイドラインはIT関係の日本の3大学会の会長名で行っており、内閣官房も重要性を認識しているのでそれなりの効果を発揮すると思う。ただし、大学といえども規模の小さい所や文系では人材不足は同じ意味を持つ。そういう観点からガイドラインではネットワーク管理のアウトソーシング(OS)を紹介している。OSをするといっても技術的な管理を委託するだけで基本的なポリシーやOS先との約束事は自身で決めなければならない。その時このガイドラインは有効になる。

青少年の場合、その上に精神的な配慮が必要であり心理学者も入れて別途検討をする必要がある。
今回は、ポテンシャルは高いがまとまり難いことから問題がいろいろ発生する可能性が最も高いということで、大学を最初に検討をするのに適切なところと考えた。
Q5: 米国や韓国の状況は調べたのか?
A5: 韓国は調べてないが、米国は調査し大いに参考にした。米国はもともと契約社会であり、この種の約束事は積極的に採用されている。大学のホームページのコンテンツも日本の10〜100倍という両であり、利用者規程や運用ルールも明確に決められている。法の体系も影響するのでそのまま日本に適用もできないところも事実である。
Q6: 大学における実態調査は行ったのか?
A6: 委員には運用関係者/法律家/倫理教育者が入っており、現実を踏まえて議論しているので、具体的な調査はしていない。ただし、大学関係者は各自日頃からいろいろな問題に遭遇し経験をしている。
Q7: モラルの向上が必要なので、その意味で教育の大切さを主張しているのでは?
A7: モラルが必要なことは明確で、文科省も認識している。教材も出ている。しかし、教材があればいいというものでなく、ちゃんと教育ができているかが大切である。ディジタル化によりコピーが非常に簡単になったことから問題が発生していることの認識が不足している。これは今までのモラルで対応できる話ではない。

昔、自動車が出てきた時代には歩行のためのルールはなかった。自動車事故が増加したことに対応して、幼稚園の時代から信号を見て渡る、歩道を歩くなど小さい時から教育が行われ、免許をもつことが義務付けられてきた。ただし、自動車の台数の増加は徐々であったので新しいモラルも含めていろいろな変革が追随できた。

しかしながら、情報に関しては数量的に言えば洪水のような創造を絶した急速な変化が起こっているし、自動車の時とは本質的に異なる点は人に見えない形で(キーボードへの対応だけで)大きなアクションが実行できるという新しい環境の問題も新たに出現しており、現実的に何も対応しきれていないというのが実情である。
Q8: コンテンツの公開や制限に関してコメントを?
A8:

図書館や研究室では公開を進めているし、国公立では情報公開共例に基づいて動き始めている。しかし、全学で統一的に取り組むのはこれからと考える。

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