5.投稿原稿の取り扱い

 査読では,新規性・有効性・信頼性・了解性の四つの項目が判定される.


  5.1 査読の基準

5.1.1理論実験論文及びシステム開発・ソフトウエア開発論文の場合


(1) 新規性:論文の内容に著者の新規性があること.
(2) 有効性:論文の内容が学術や産業の発展に何らかの意味で役立つものであること.
(3) 信頼性:論文の内容が読者から見て信頼のおけるものであること.
(4) 了解性:論旨の展開が十分理解しやすく、順序立てて明瞭に記述してあること.

 ただし,システム開発・ソフトウェア開発論文では,通常の新規性・有効性・信頼性がある場合はもちろんのこと,下記のような場合も条件を満たすと判定される.

新規性:システム開発・ソフトウェア開発論文では,既存の技術の組合せによる開発であることがあるが,そのような場合は,組合せの理由が新規性の対象となり得る.

有効性:システム開発・ソフトウェア開発論文では,開発した結果が従来と比べて総合的あるいは部分的に優れており,また他のシステムに応用可能であれば,有効性があると判断される.

信頼性:システム開発・ソフトウェア開発論文では,他のシステムに応用可能であるように記述してあれば, それが内容の信頼性につながる.


 なお,システム開発・ソフトウェア開発論文に限らず,論文一般に関して,有効性が高い場合は,新規性はさほど高くなくても採録の対象となる.
 また,新規性が高い場合は,信頼性はさほど高くなくても採録の対象となり,了解性を余り厳しく求めることはしないものとする.


5.1.2 サーベイ論文の場合

(1)

新規性:新しい見地に立ってまとめられていること.新しい系統立てでもよいし,新しい研究の触発でもよい.

(2)

有効性:対象とする範囲について,その分野に必要なものを最新のものまで網羅しており,特定のものに偏っていないこと.

(3)

信頼性:論旨が通っており,またその根拠となる参考文献等が有効で信頼性があり,かつ網羅的であること.

(4)

了解性:論旨の展開が十分理解しやすく、順序立てて明瞭に記述してあること.

 なお,サーベイ論文の場合,有効性と信頼性が最も重要な要件であり,新規性は,体系付けの新しさを要件とするが,必ずしも重視しなくて良い.


  5.2 採否の判定

 複数の査読者(レターは原則1人)の報告をもとに,編集委員会において,次のいずれかに判定する

(1) 採録:5.1の条件を総合的に判断し,会員にとって有益であると認めた場合には採録とする.
(2) 条件付採録:このままでは採録の条件を満たさないが,少しの修正により採録の条件に達すると見込める場合は条件付採録とする.条件付採録の処置は原則として1回とし,5.3で定める再提出論文が採録の条件を満たしていないときは不採録とする.
(3) 不採録:5.1の条件を満足せず,かつ短期間では改善されないと判断されたもの,及び,内容的に大幅な修正を要するものは不採録とする.なお,極めて読みにくいもの,及び,分野が不適切なものは不採録になることがある.

  5.3 条件付採録となった場合の手続き


 条件付採録と判定された場合は,著者には条件付採録通知とともに査読者あるいは編集委員会からの「採録の条件文」が送付される.著者は,当該条件を満足するように原稿を修正するとともに,「条件付採録に対する回答文」を作成し,条件付採録判定通知の日付から60日以内に事務局まで提出するものとする.これを修正原稿と呼ぶ.理由なくして60日を経過した原稿は取り下げとみなし,その後提出された原稿は新規投稿扱いとする.なお,特集号の場合には,修正期間は60日よりも短縮されることがある.
 修正原稿提出の際に論文題名を変更する場合には,条件付採録に対する回答文中にその旨を必ず明記する.また,Copyright Transfer and Article Processing Charge Agreementを再作成し,事務局まで送付すること.送付方法は,スキャンしPDF化したものをメールの添付にて送付,ファックスによる送信,郵送による方法のいずれの手段でも構わない.


5.3.1修正原稿提出方法

 条件付採録判定通知に明記されたURLにアクセスし,次のファイルをアップロードする必要がある. ファイルをアップロード後,5日以上経過しても「回答文受領書」が届かない場合には,事務局へ問い合わせること.

(1) 採録の条件に対する回答文及び条件付採録通知(採録の条件文を含む):(単一ファイル※1
(2) 修正原稿PDFファイル(修正箇所をマーキングしたもの)
(3) 編集用電子ファイル※2

※1
 単一ファイルにするには Adobe Acrobatの機能をご利用下さい.
参考:http://www.adobe.com/jp/

※2 編集用電子ファイルには,以下の(a)〜(c)を収める.(a)〜(c)は,できれば1つのフォルダに保存して圧縮したものが望ましい(1ファイルにつき10MBまで).

(a)

修正原稿PDFファイル(修正箇所にマーキングしていないもの)

(b)

修正原稿や図表等を作成したすべての電子データ(LaTeX,Word,Excel,Power Point,Epsファイル等)

(c)

著者写真(再利用を希望する場合は著者写真再利用申請書

 この時提出頂いた編集用電子ファイルの形式により編集作業を進める. 掲載料はこの時の編集用電子ファイルの形式を基に決定するので,予めご了承頂きたい.

※万一、上記編集用電子ファイルに誤り(例:投稿原稿PDFと元ファイルのLaTeX or Wordファイルが不一致、など)があり、採録後の編集作業にやり直しが発生した場合、当該作業費に相当する費用を追加の掲載料として著者に請求することになるので、原稿のバージョン管理は適切に行って下さい。


  5.4  著者変更


 著者変更は,原則として認めない.ただし,条件付採録となった原稿の修正過程において著者の増減や順序変更が必要になった場合には,修正原稿提出時に理由書の添付をもって申し出ることができる.著者変更を申し出る場合には,条件付採録に対する回答文中にもその旨を必ず明記するとともに,Copyright Transfer and Article Processing Charge Agreementを再作成し,事務局まで送付すること.送付方法は,スキャンしPDF化したものをメールの添付にて送付,ファックスによる送信,郵送による方法のいずれの手段でも構わない.編集委員会が理由書の内容を妥当と判断した場合には,これを認める.採録決定後の著者変更は認めない.


  5.5  投稿の取り下げ


 投稿の取下げは,編集委員会及び査読委員のボランタリーな貢献を無駄にするので,著者は投稿論文を取り下げるべきではない.しかし、やむをえない理由がある場合には取り下げることができる.投稿を取り下げる場合は,次の手順に従わなければならない.

1.著者は,論文採録通知の前に,以下の情報を記載した取下げ申請書を,スキャンしたPDFのメール添付,もしくはファックスにて事務局に提出しなければならない.
(a)受付番号
(b)論文題名
(c)全著者名
(d)取下げ理由
(e)全著者の署名(もしくは連絡著者の署名)及び日付
 ※ 連絡著者のみが署名をする場合は,全著者から取下げに関する了解を得て,その旨を取下げ申請書に記載しなければならない.
2.採録通知後は,原則として取下げが認められない.たとえ取下げが認められた場合でも,著者は掲載料を支払わなければならない.
3.取下げの諾否は当該論文誌の編集委員長が決定する.事務局は著者に諾否通知を送付する.諾否の通知が届かない場合は,著者は事務局に問い合わせなければならない.
4.投稿取下げの成立日は.許諾通知に記載した日付とする.
5.上記の手続きに従わない投稿の取り下げ申請は無効とする.

なお,剽窃あるいは二重投稿といった不正な投稿が発見された場合は,投稿の取下げは認められず、規定に基づき罰則を科せられる.


  5.6  再投稿


  不採録と判定された論文を修正したもの,あるいは条件付採録の判定を受けながら自ら取り下げた論文を修正したものは再投稿できる.前回の査読結果が参照されることを希望する場合は,投稿時に前論文の受付番号を記入すること.


  5.7  再審請求

  不採録となった原稿について,その判定に異議がある著者は,「異議申し立て」と題する書面をもって理由を明記し,編集委員会に再審を請求することができる.

(a)

再審請求は,書面によって提出されたもののみを受理する.提出期限は不採録判定通知の日付から60日以内とする.再審請求にあたっては,不採録となった原稿に対する修正・追加は認めない.

(b)

編集委員会において請求の妥当性を審議し,妥当と認められた場合には,不採録となった原稿について再審査読を行う.

(c)

再審査読の手続きは通常の査読手続きに準ずる.

(d)

同一原稿に関する再審請求は1回限りとする.



  5.8  投稿原稿進捗状況の確認

 

下記URLにて,投稿原稿の進捗状況が確認できる.掲載1か月前には掲載ページ番号も確認できるので利用されたい.

  https://review.ieice.org/




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