インターネットの一言集


セミナーでよく聞かれる質問は、「インターネットとは何ですか? インターネットを一言でいって下さい」、というものです。これは「電話とは何ですか?」と聞いているようなもので、簡単に答えられる質問ではありません。でも、インターネットの持つ様々な側面を捉え、その各々の一面からの切り口を「一言」で表現すれば、少しは理解の助けになるかもしれません。

ここでは、インターネットセミナーの講義の中で、時にはジョークを交えて使われているそのような一言をいくつか集めてみました。これらの言葉は、公式的な解釈を示すものではありません。あくまで、我々の私的な見解ですが、みなさまのインターネット理解の一助になれば幸いです。


インターネットはツールである。
英語やパソコンと同じ。使えることに意味はない。それを使って何をするかが問題である。また、ツールであるから、使って見なければ解らない。言葉だけでは説明できない。
インターネットはコミュニティ・メディアである。
電話はパーソナル・メディア、テレビはマス・メディア。インターネットの基本は同好の士のコミュニティである。電子ニュースがその典型。今後はコミュニティ・メディアとしての非営利利用と、商用利用との2極で拡大する。
インターネットは民主主義である。
アドレスとドメイン名の管理がその典型。自分のことは自分で責任を持って管理する。使うための設定は自分で行う。
インターネットは未成熟である。
電話機にはプッシュホンかダイヤルパルスかの設定しかない。インターネットは、まだ、素人に親切ではない、そこまで成熟してない。でも、マーケットは進む。成熟するまで待ちますか?
インターネットは相互主義である。
自分の知っていることは広く知らせる。他人の知識をありがたく拝借する。コントリビュート&リターンの精神。商用利用が広がると、ちょっと変わって来るかもしれない。
インターネットはカオスである。
情報発信の責任者は発信者自身にあり、ネットワークは関与しない。無政府状態という非難もあるし、確かにとんでもないことをする者もいる。が、その誰でも平等に参加できる形が人々の要求を捉えたともいえる。
インターネットは平等主義である。
インターネットのユーザはみんな同じレベル。アメリカの情報ハイウェイの目的の一つは、初等・中等教育のレベル向上、そして、教育の機会均等と人種問題の解決を図ることにあるとも言われている。
インターネットはマルチメディアである。
ネットワークも端末も、現在は静止画が快適に通る程度。将来は動画や音声がリアルタイムで通る。いずれ、WWWでテレビを見るか、テレビでWWWを見るか。
インターネットはインタラクティブである。
マルチメディアという言葉が嫌いです。「メディア」が複数(マルチ)あればいいというものではありません。人間と機械/コミュニティ/ネットワークのインタラクティビティが問題で、両者の相互理解のために「マルチ」メディアが有効である、というように解釈しています。21世紀はインタラクティブ・マルチメディアの時代になるでしょう。(これはアラン・ケイの一言の引用です)


さて、最後の一言。

インターネットはカルチャーである?
ウォークマンがカルチャーになったという意味でいうと、電話もカルチャである。電話以来、通信でカルチャーになったものはない、社会のインフラ、日常生活の一部になったものはない。ファクスと移動電話くらいだが、どちらも電話上のアプリ・延長ともいえる。さて、将来は、インターネットがカルチャーになる?


25 June 1995
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