The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers


規格調査会の活動について

規格調査会委員長 高木幹雄

 本学会に規格調査会が置かれていることは,会員は余り御存知ないかと思わ れるので,紹介したい.50年史や75年史をひもとくと,IEC(国際電気標準会議) の国際規格原案の審議とJIS原案の作成に関する協力を工業技術院から求めら れ,昭和30年に「電気通信規格調査委員会」(山本勇委員長)が発足し,32年に 「電気通信規格調査会」(丹羽保次郎会長)と改称し,42年に「電子通信規格調 査会」(歴代委員長:高木昇委員長(昭和42〜58年度),柳井久義委員長(昭和59〜 平成7年度))となり,62年に「規格調査会」と改称され,現在に至っている.

 学会の標準化活動は,昭和2年の電信電話用品標準調査委員会までさかのぼ れるが,規格調査会の事業として,専門委員会による国際標準規格の審議,当 調査会標準規格の制定,用語の調査作成等による電子工学及び情報通信に関す る標準化の事業が規程にうたわれている.

 IECのTCに対応する七つの専門委員会(SC3D:電子部品のデータベース, TC46:通信用伝送線,TC49:周波数選択及び制御用圧電及び誘電体デバイス, TC86:光ファイバ,TC93:デザインオートメーション,TC102:移動用及び衛 星通信用装置,TC103:無線通信用送信装置)は,IECの国際標準規格の審議を 行っている.発足当初の標準化には,先端技術に対して学会による支援を必要 としていたが,成熟してきた技術に対しては,工業会への移管が進められ,工 業技術院のIECの審議団体とJIS原案の作成団体を一本化する方針と審議文書配 布や会議開催等の学会負担削減の観点から工業会への移管が進められ,先端技 術であって工業会では取り扱い難い分野や複数の工業会にまたがる分野の専門 委員会が残っている.

 「本学会規格調査会標準規格の制定」の面では,IEEEのように学会規格を作 ろうと規程には記載されているが,実績はなかった.通信関係はITUで標準化 が進められており,標準化に対しても受け身で国際的案が出たものを審議する という体質で,IEEEのような技術者集団が規格を作って発信するという体質の 違いによるものと思われる.この規程を活用して第1号の規格を作成した.IEC では,新規規格提案に対して少なくとも4か国 (ISOは5か国)から専門家の推薦 がないと成立しないというルールがあり,TC49では,我が国から携帯電話等に 多数使用されている先端的なデバイスである表面弾性波デバイス,誘電体デバ イスの新規提案を行っても,寡占状態のため専門家が他国から得られず提案は 採用されなくなり,IECのPAS(Publicly Available Specifications)を利用 することを検討した.このためには然るべき審議団体の規格とする必要があり, 「導波管型誘電体共振器第2部:導波管型誘電体共振器の使用法」を3月に発行 した.取りあえずは,IEC活動を活性化するためではあるが,学会から国際規 格を発信する場としたい.

 用語についても長い伝統があり,16の専門用語集が刊行されたが,昭和59年 より「電子通信用語辞典」としてまとめたものが出版され,この度,改訂版が 宇都宮敏男委員長の下で出版された.

 規格調査会の現状を紹介したが,更に,活性化したいと考えており,会員各 位の御理解と御支援をお願いしたい.


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