ではなぜ日本では新学会をインフラストラクチャから始めるのでしょうか. これには色々な理由があるでしょうが,一つには大きくなった組織では小回り が利かないと思われがちなのかもしれません.新しい分野が形成されつつある 場合は大きな既存学会に頼るより,自分達の自由になる新組織を作りたいわけ です.つまり小さいことは動きが俊敏になり,良いことです.
それでは米国の学会ではどうでしょうか.多分既存インフラストラクチャの 中でも新しい取組みをやりやすいということと既存インフラストラクチャで動 くメリットが大きく明確だからだと思います.意識的にこのようにしたのだと も思います.国際的なワークショップが毎月何十件もありますが,これが小さ な活動の拠点であり,これをソサイエティがサポートしています.
電子情報通信学会では第一種や第二種研究会などが新しい活動のサポートを 行い,良く機能しています.しかし,もう少し初期の段階で,どうすれば気軽 に小規模な研究会を電子情報通信学会内部に作れるかを考えますと次の2点が 課題だと思います.第1は簡単に研究会を発足するサポート体制を作り,その ガイダンスを十分に行うこと,第2は電子情報通信学会内部で活動する場合の 便宜を分かりやすくすることです.もちろん学会ないしソサイエティでその予 算的裏付けと仕組みを定める必要はあります.
幸い,電子情報通信学会では4年前から Web 上にホームページを設け,更 に本年からオンラインジャーナルのサービスを始めました.上記の小規模研究 会の課題の幾つかはインターネットを活用することで解決していけると思いま す.どのように活用すべきかの知恵を皆様方と一緒に考え,実行し,できるだ け新しい分野が電子情報通信学会の内部で育成できるような仕組みにしたいと 考えています.皆さんも新規学会を作るのではなく積極的に本学会を活用して 下さい.規模を大きくすることが学会の発展と学会員への良いサービスにつな がることになると確信しております.