The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers


移動通信の変遷

電子情報通信学会誌Vol.82 No.2 pp.102-107

羽鳥光俊

羽鳥光俊:東京大学大学院工学系研究科 
Growth and Prospect of Mobile Telecommunications.By Mitsutoshi HATORI, Member (Graduate School of Engineering, University of Tokyo, Tokyo, 113-8656 Japan).

ABSTRACT

セル方式の自動車・携帯電話,コードレス電話,PHS,無線呼出等の移動通信が目覚ましい発展と普及を遂げた.なかんずく,自動車・携帯電話の発展と普及は爆発的といえる勢いがある.29.0%,PHS も入れると 33.9% という,だれもが予想しなかった普及率となり,引き続き大きな伸び率を示している.
 インターネットへの無線アクセス,ホストコンピュータへの無線リモートアクセス等の無線データ通信の需要も顕在化しつつある.
 ITU-R,TG 8/1 で次世代の移動通信,IMT-2000 の標準化が行われている.移動通信の周波数がひっ迫しつつある我が国は,予定どおり 2000 年ごろまでの標準化ができることを強く望み,寄与を行っている.
キーワード:移動通信,IMT-2000

1. はじめに

 自動車電話として開発されたセル方式(Cellular System)の移動通信サービスは,端末機器の小型化の進展に伴い携帯電話として大きく発展した.大きな需要にこたえるため,小ゾーンセクタ方式やディジタル方式等,電波の利用効率の良い方式が実用化され,800 MHz 帯に加え 1.5 GHz 帯の電波も割り当てられ大きく発展した.NTT DoCoMo グループに加え,新移動通信会社が登場し,激しい競争が行われたことも大きな発展を加速したところである.
 セル方式の自動車・携帯電話サービスの発展と平行し,無線呼出(ページャ,ポケベル)サービス,コードレス電話サービス,簡易型携帯電話(PHS]Personal Handy Phone System)サービスも大発展した.これらは,固有のニーズに支えられてはいるが,自動車・携帯電話サービスとの競争に苦しいところもあり,販売戦略や経営形態が見直されつつあるところもある.
 セル方式の移動通信や PHS は,主として電話として用いられているが,インターネットアクセス,ホストコンピュータへのリモートアクセス等のモバイルコンピュティング,パーソナルディジタルアシスタント等,移動データ通信が,近々,大きな割合を占めるようになると予想される.
 次世代の移動通信,IMT-2000(International Mobile Telecommunications-2000)の標準化が ITU-R(国際電気通信連合無線セクタ)TG 8/1(Task Group 8/1)で進められている.1998 年6月,W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式を日本方式として提案したところである.
 移動通信需要の増大による周波数のひっ迫は,各国とも厳しいが,我が国は特に厳しいところがあり,IMT-2000 の早期標準化と実用化を希望し,活動しているところである.

2. 移動通信の変遷

 2.1 セル方式

 1979 年,世界に先駆けてセル方式自動車電話(アナログ方式)サービスが電電公社により開始された.1985 年,電気通信制度の改革により電電公社が民営化され NTT となり,新通信事業者の参入が可能となった.同じ 1985 年ショルダホン型自動車・携帯電話の販売が開始され,1987 年更に小型の携帯電話の販売が開始され,自動車電話の時代から携帯電話の時代へ移行し始めた.1988 年,自動車・携帯電話サービス分野への新事業者の参入が開始し,競争の時代,急速な普及の時代へと入った.ちなみに 1988 年の NTT の自動車・携帯電話の加入者数は 20 万であった.1990 年,小ゾーンセクタ方式が導入され電波の有効利用による収容加入者増が図られた.そして 1992 年,NTT の自動車・携帯電話部門と無線呼出部門が NTT より分社され,NTT DoCoMo となり,競争環境が一段と整うこととなった.
 1994 年,一地域4社体制となり,競争の一層の深度化,アナログ方式(第1世代)からディジタル方式(第2世代)へ進歩し,ディジタル系事業者が参入し,端末機の売切り制も導入され,事業者間の激しい競争の本格化と,それによる加入者数の飛躍的増,トラヒック増による大設備投資(鉄,自動車を抜き,電力に次いで2位)の時代に入った.
 近年,携帯電話端末機の小型化,省電力化の一層の進展が図られ,高性能電池が用いられるようになり,端末機は大きく進歩した.
 1995 年,PHS 事業者が参入し,ますます競争に激しさが増した.
 1998 年9月末現在の自動車・携帯電話 3,654.3 万加入,PHS 626.7 万加入,計 4,281 万加入である.これは,全国普及率で 33.9%(自動車・携帯電話 29.0%,PHS 5.0%)である.前年同月比で 29.1% という,1 年前に比べれば小さくなったが極めて大きな伸び率である.
 第1世代のアナログ自動車・携帯電話方式が,世界的に電電公社方式(日本方式),AMP(Advanced Mobile Phone Service,アメリカ方式),NMT(Nordic Mobile Telecommunication)と TACS(Total Area Coverage System)(ヨーロッパ諸国の方式)等複数の方式が用いられ,第2世代のディジタル自動車・携帯電話方式も,Digital AMPS(アメリカ方式),PDC(Personal Digital Cellular,日本方式),GSM(Group Special Mobile,ヨーロッパ方式),IS-95(更にもう一つのアメリカの CDMA 方式)等複数の方式が用いられることになった反省を踏まえ,次世代,第3世代の移動通信,IMT-2000 は,世界中どこに行っても使えるように,唯一の世界標準をつくりたいとする理念のもとに,ITU-R,TG 8/1 において標準化作業が進められている.
 アメリカにおいては,このIMT-2000 用周波数帯の約半分が,PCS(Personal Communication Services)用にオークション方式により事業者に渡されている.方式は複数(7方式)あり市場原理による競争が行われようとしている.
 前述のように,日本では極めて大きな普及率,伸び率を示しており,現在使用中の 800 MHz 帯,1.5 GHz 帯の周波数がひっ迫しつつあり,IMT-2000 の,予定どおり 2000 年ごろまでの標準化が強く期待されている.

図 1 携帯電話の加入者数の推移

 2.2 コードレス,簡易型携帯電話

 1980 年,コードレス電話(アナログ)サービスが開始された.コードレス電話は,当初,1 台ごとに免許の必要な無線機であったが,1987 年,特定小電力無線機器という新しい電波規制の登場と合わせて,1 台ごとの免許ではなく製造メーカーごとの機器認定という規制の緩和により,爆発的に普及し始めることとなった.これは 1985 年の電気通信制度の改革による電話端末機の売切り制(コードレスを含む.自動車・携帯電話は 1994 年)の導入とそれに伴う家電製品メーカーの電話端末市場への参入が可能となった時期とほぼ同時期であった.
 1995 年,ディジタル方式の PHS(簡易型携帯電話)サービスが開始された.PHS はアナログ方式のコードレス電話機能に加え,親機を介さなくても子機間で通話できるインタホン機能,親機を介さず直接公衆網に接続できる簡易携帯電話機能を持っている.この簡易携帯電話機能が注目され,PHS 事業会社が設立され,セル方式の自動車・携帯事業会社と競争することになった.
 PHS はメタルケーブルを使わないアクセス網,ワイヤレスローカルループとしても注目され,発展途上国におけるアクセス網や,新規参入通信事業者のアクセス網としての利用が期待される.
 PHS と類似のものとして,ヨーロッパの DECT(Digital Europian Codeless Telephone)や CT-2(発信用コードレス電話)がある.
 PHS サービスは,1995 年,1996 年と順調に加入者を増やしたが,1997 年に伸びが止まり,1998 年には加入者数が減少し始めることとなった.
 PHS はゾーン(セル)を小さくして電波の繰返し使用を高めることによる電波の有効利用が図られる優れた方式である.PHS のゾーン半径はセル方式の自動車・携帯電話のゾーン半径に比べ約 10 分の1であり,面積で 100 分の1であるから,電波の繰返し使用による有効利用は 100 倍である.電波の有効利用が図れることから,ビットレートを 32 kbit/s と高めに設定でき,電話音声の符号化ひずみがセル方式より少ない,インターネット等のデータ通信のアクセスに使うときセル方式より高速である等の特長がある.また,送信電力は 100 分の1でよいから,電池の消耗はそれだけ少ない.PHS は基地局アンテナ数がセル方式に比べ 100 倍となる.簡易な交換方式をとっていることにより,自動車や列車で高速走行中はゾーン間の切換(ハンドオーバ)をあきらめている.またハンドオーバ時,再発呼方式をとることによる瞬断が生じる等の弱点がある.
 PHS はセル方式に比べ長所も弱点もある.PHS 加入者の減少,PHS 事業会社の経営的困難は,その弱点に起因するものと考えられるが,長所を生かした使い方が期待される.また,コードレス機能やインタホン機能を重視した使い方,事業者コードレス等での活躍を期待したい.

図 2 PHS の加入者数の推移

2.3 無線呼出

 無線呼出サービスは,ポケットベル(ポケベル)の愛称で,1968 年,電電公社により開始された.
 1985 年の電気通信制度の改革により,新しい通信事業者(NCC]New Common Carrier)が参入した際,多数の無線呼出事業者が参入し,NTT(のち NTT DoCoMo)との競争が行われ,無線呼出の爆発的普及がもたらされた.
 無線呼出の加入者数は,1995 年7月の 1,000 万加入を突破後,1996 年6月の 1,077 万をピークに減少傾向にあり,1998 年9月末現在 525 万加入であり,これは対前年同期比で 41.6% の減少である.
 自動車・携帯電話や PHS にユーザが移ったと考えられる.
 特長を生かした使い方,自動車・携帯電話や PHS と組み合わせたサービス等が期待される.

 2.4 移動データ通信

 インターネットの爆発的普及に伴い,インターネット,なかんずく E-mail サーバに,ポータブルパソコンから無線でアクセスする需要が増大している.ポータブルパソコンと自動車・携帯電話や PHS をケーブルや PCMCIA(Personal Computer Memory Card International Association)カードで接続する使い方が普及しつつある.ケーブルを使わないで IrDA(Infrared Data Acquisition,光無線)で接続する方法,ポータブルパソコンと移動データ通信機を一体化した機器等が本格的に普及することになるであろう.
 E-mail アクセスのほかにも,無線でホストコンピュータにリモートアクセスして使う,いわゆるモバイルコンピューティングも普及しつつある.
 また,ポータブルパソコンにより更に小型なコンピュータ,いわゆるパーソナルディジタルアシスタント(PDA)と移動データ通信機とを接続,ないしは一体化した機器も普及することになるであろう.
 IMT-2000 では,2 Mbit/s 程度の高速な移動データ通信もサポートされることになっている.より高度なインターネットアクセスやモバイルコンピューティングが可能となり,種々のマルチメディア無線通信や ITS(Intelligent Transport Systems)に用いられることになろう.
 移動データ通信は,世界に先駆けて日本で実用化された.1989 年に日本シティーメディアにより始められたテレターミナル方式という無線パケット通信がそれである.メサージュと称するヒット商品も開発されたが,先進的であったための苦しみを味わうこととなり,累積赤字の解消に苦しみ,1998 年 NTT DoCoMo に引き取られることに至ったのは残念であった.
 アナログセルラがほぼ全土をカバーしている北米では,その無線チャネルと設備を共用してデータ網に乗り入れるデータ専用の通信システム CDPD(Cellular Digital Packet Data)が実用化されている.回線交換方式の日本の PDC,ヨーロッパの GSM と共に,将来のデータ通信の需要を見越して,パケットサービスを統合する検討を行っている.

3.IMT-2000

3.1 IMT-2000 の位置付け

 第1世代のアナログ移動通信(NTT 方式,AMPS,ヨーロッパの各種方式等)も,第2世代のディジタル移動通信(Digital AMPS,PDC,GSM,IS-95,PCS,PHS,DECT)も世界的な統一標準方式を決めることができなかった.その反省を踏まえ,世界統一の標準規格,各国ネットワークのローミングにより,世界中どこでも使える移動通信の標準化が,1985 年,ITU-R(国際電気通信連合無線セクタ)TG 8/1(Task Group 8/1)(旧 ITU CCIR SG 8 IWG 8/13,1989 年 TG 8/1 と名称変更)において,2000 年の導入(その後標準化が遅れ,標準化が 2000 年,導入が 2001 年で再合意された)を目標に標準化作業が始められた.当初 FPLMTS(Future Public Land Mobile Telecommunication Systems)フェーズ1と呼ばれ,近年,IMT-2000 と呼ばれる標準化である.ネットワークにかかわる側面は,ITU-T(国際電気通信連合電気通信セクタ)において UPT(Universal Personal Telecommunication)として標準化作業が行われている.
 IMT-2000 では,自動車・携帯電話に加えて,2 Mbit/s(2,000 kbit/s)の移動データ通信がサポートされるべきものとされた(IMT-2000 の 2000 は 2000 年と 2,000 kbit/s の掛詞となっている).そして,更に 2010 年ごろには 10 Mbit/s の移動データ通信がサポートされる FPLMTS フェーズ2の標準化が合意されている.
 WARC-92(1992 年世界無線通信主官庁会議)(その後主官庁の A がとれ WRC(世界無線会議)と名前を変えた)において FPLMTS(IMT-2000)用周波数が特定(1,885〜2,025 MHz 及び 2,110〜2,200 MHz)され(近々行われる WRC-2000 において,IMT-2000 用の周波数の追加が審議される予定であると聞く),それに基づく具体的審議が行われている.

 3.2 開発,標準化状況概観

 我が国の,FPLMTS,IMT-2000 に関する ITU-R TG 8/1 への寄与は,郵政省電気通信技術審議会の議を経て行われている.1993 年以来,(財)電波産業会(ARIB]Association of Radio Industries and Businesses)(旧電波システム開発センター(RCR))の IMT-2000 委員会(旧 FPLMTS 委員会)において,上記審議会の議に資する実質的作業と広報活動等が行われている.
 UPT に関する我が国の寄与も,郵政省電気通信技術審議会の議を経て行われている.(財)電信電話技術委員会(TTC]Telecommunication Technology Committee)において,上記審議会の議に資する実質的作業が行われている.
 電気通信技術審議会に,1997 年,次世代移動通信方式委員会が設けられ IMT-2000 の円滑な導入及び普及を図るための技術的条件等について審議が行われている.
 上述の IMT-2000 委員会の活動を紹介する.ITU-R,TG 8/1 へ電気通信技術審議会を経て寄与すること,並びに,国内外に開かれた標準作りと活動の報告を行える組織として,委員数に制限のある郵政省の内ではなく,外すなわち電波産業会に設けられた.この国内のみならず国外にも開かれた組織は国内外特に国外から高く評価されている.
 標準化部会,技術開発部会,衛星システム部会,実験部会の4部会でスタートした後,1994 年,ITU-R へ日本案として提案する無線インタフェースの選択と評価を行う無線方式検討会が設けられた.同検討会には,分科会1(TDMA)に 16 構成員,分科会2(CDMA)に 20 構成員,内 FDD WG に 19 構成員,TDD WG に4構成員が参加し,日本案への絞り込みの審議が行われ,W-CDMA(Wideband Code Division Multiple Access)方式に絞られた.
 米国では TIA(Telecommunication Industries Association,米国電気通信工業会(無線通信工業会))と T 1(Telecommunication 1)委員会の JTC(Joint Technical Committee)で PCS(Personal Communication Services)の標準化の合同作業が行われた.近年クアルコム社の cdma 2000 方式ならびに UWC-136(Universal Wireless Consortium-136)が ITU-R へ米国案として提案されるに至った.
 欧州では,ETSI(欧州電気通信標準化機構)の SMG5(移動通信グループ5)で UMTS(Universal Mobile Telecommunication Systems)の標準化作業が行われた.近年,エリクソン社等の製造メーカーがネットワークが GSM,エアインタフェースが W-CDMA 方式の UTRA(UMTS Terrestrial Radio Access Harmonized Wideband CDMA)を ITU-R に提案することに合意した.
 日米欧の地域標準化団体間で,また主官庁レベルでも,標準化案の事前交渉,ハーモナイゼーションが活発に行われた.
 韓国,中国,マレーシア,香港をはじめとするアジア諸国との意見交換も行われた.
 1998 年6月末日までに ITU-R,TG 8/1 に標準化案の提案が求められることとなり,日本(NTT DoCoMo が中心となり)は,ヨーロッパ諸国とハーモナイゼーションの交渉を行い,エアインタフェースは日本提案の W-CDMA,ネットワークはヨーロッパ案 UTRA の GSM の発展形によるとの基本的合意が,ITU-R,TG 8/1 に提案する時点で得られていた.
 一方,cdma 2000 を提案するアメリカとのハーモナイゼーション交渉は順調に進まず,1998 年4月,ARIB の IMT-2000 委員会における日本方式案 W-CDMA に対する知的所有権の申し出の求めに対し,クアルコム社は,CDMA 移動通信にかかわる基本特許を W-CDMA に対して公開しないという,いわゆる第3選択(無料公開の選択を第1選択,適切な特許料による無差別な公開を第2選択という)の申し出があり,合意に到達しないまま,ARIB の IMT-2000 委員会,郵政省の電気通信技術審議会での審議の上,W-CDMA が日本提案として,ITU-R,TG 8/1 に提案されることとなった.
 ITU-R,TG 8/1 は各提案に対する評価レポートを 1998 年9月末日までに求めた.6 月以降のハーモナイゼーションの成果も踏まえ,評価レポートが提出された.
 ITU-R,TG 8/1 は,1998 年 12 月末日までに知的所有権にかかわる申し出を求めている.クアルコム社より,CDMA 移動通信にかかわる特許は W-CDMA に対して非公開,第3選択とする旨の申し出が出され,それを受けて,エリクソン社より,エリクソン社の CDMA 移動通信にかかわる特許を cdma 2000 に対して非公開,第3選択とする旨の申し出が出されている.
 第3選択の申し出のあった方式は,ITU-R の標準として審議されないとされている.日本の W-CDMA も,アメリカの cdma 2000 も ITU-R で審議されないこととなる.12 月末日までに第3選択撤回の合意に到達できるように現時点で考えられないが,12 月末日以降も ITU-R の場で審議されるよう,最善の努力が望まれる.
 ARIB,ETSI,T 1,TTA(Telecommunication Technology Association,韓国の電気通信標準化団体),TTC の協力のもとに3GPP(3rd Generation Partnership Project)活動が推進されつつある.
ANSI,ARIB,ETSI,TTA,TTC との間でも3GPP と同様の3GPP2活動が推進されつつある.
 W-CDMA,UTRA,cdma 2000 をはじめとする ITU-R,TG 8/1 に提案された方式の詳細は,後続の論文を参照されたい.

4.む す び

 ITU-R,TG 8/1 における IMT-2000 の標準化は,W-CDMA,UTRA,cdma 2000 をはじめとする諸提案のハーモナイゼーション,コンバージェンスを至急行うことが重要である.
 チップレートの値,同期方式とするか非同期方式とするか,制御信号方式ネットワーク方式等,方式並びに方式パラメータのハーモナイゼーション,コンバージェンスを行うことにより,特許の非公開,第3選択問題を解決し,適正な価格による公開,第2選択の協議に入るべきと考える.
 また,知的所有権は尊重すべきものであるが,標準化にあたって足かせとなることも少なくない.標準化にかかわる知的所有権の明解,合理的な処理を工学的に研究したい.


はとり みつとし
羽 鳥 光 俊(正員)
昭 38 東大・工・電気卒.昭 43 同大学院博士課程了.工博.同年同大学講師,昭 44 同大学助教授,昭 61 同大学教授.通信方式,放送方式,信号処理の研究に従事.昭 44,55,61,平9年度論文賞,平7年度業績賞,平3年度テレビジョン学会論文賞,昭 63 年度同会業績賞,平 2,7 年度郵政大臣表彰各受賞.電通技審無線通信委員会委員長,同次世代移動通信方式委員会委員長,電波産業会 IMT-2000 委員会委員長,映像情報メディア学会会長


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