モノリシックマイクロ波集積回路(MMIC)
 monolithic microwave integrated circuits



 能動素子(トランジスタやダイオードなど)と受動素子(伝送線路, 抵抗, 容量, インダクタンスなど)を一体化したマイクロ波回路をマイクロ波集積回路( MIC : microwave integrated circuit )という.モノリシックマイクロ波集積回路( MMIC )とは, 一種類の半導体基板の上に能動素子・受動素子を集積して作った回路, さらに複数の機能をもつ回路を集積・構成した回路のことをいう.現在の MMIC はまだ小規模な集積度にとどまっているが, 将来技術として LSI の研究も盛んである.アルミナなどの誘電体基板上にマイクロ波伝送路を構成し, その上に非常に小さい素子・回路を高い密度で装着した回路は混成マイクロ波集積回路( HMIC : hybrid microwave integrated circuit )と呼ばれる. MMIC と HMIC は, それぞれに特徴を有し, 両者は棲み分けて用いられている.
  MMIC はマイクロ波回路技術と半導体処理技術を融合した技術である. MMIC の設計から製造に至る過程は以下のとおりである.
(1) トランジスタ・ダイオードの設計
(2) CAD による設計
(3) 回路の設計・製造
(4) 個別部品・回路の試験・評価・設計への帰還
(5) 回路の実装
(6) 総合特性の試験・評価
(7) 試験結果の部品・回路・実装設計への帰還
 現在, 100GHz程度までの MMIC が発表されている.現在まだはん用製品としての MMIC の市場は余り大きくはないが, 60GHz程度の周波数までは次のような MMIC が市販されている.
 (1)増幅器, (2)周波数変換回路, (3)発振器, (4)受信モジュール, (5)送信モジュール, (6)局部発振モジュールなどの機能回路
  MMIC は上記に示した利点をもった回路であり, (1)衛星通信, (2)固定マイクロ波通信, (3)移動体通信, (4)放送受信機, (5)無線 LAN など, 種々の送受信機器の中で用いられている.それぞれの応用では MMIC の利点を十分にいかした用い方がされている.
 現在の MMIC はディジタル集積回路, Si 集積回路と比べると, 回路の集積規模はまだ小さい.将来の MMIC 技術として, より高密度な実装(多層化 MMIC ,三次元 MMIC ), 高周波化(ミリ波 MMIC )が行われている.
(赤池・村口)




(C)社団法人 電子情報通信学会 1998