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アナログ回路 |
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analog circuits |
ディジタル信号処理が主流である現在においても, アナログ回路は自然界とのインタフェースや高速信号処理などにおいて重要な位置を占めている.また, 多種多様な機能をコンパクトに実現するためにもアナログ回路は欠かすことはできない.アナログ回路の設計手法は極めて多岐にわたり, 統一的に論じることは困難である.しかし, アナログ回路設計の基本は, その主たる構成素子であるトランジスタの等価回路を必要に応じて使い分けることと, バイポーラトランジスタではエミッタ接地, ベース接地, コレクタ接地の各基本増幅回路, MOSFET ではソース接地, , ゲート接地, ドレーン接地の各基本増幅回路の特徴を熟知することである.これらの基本回路以外に, 差動増幅回路がしばしば集積回路などで用いられる.差動増幅回路は二つの入力電圧の差を信号として用いる.温度変化や経年変化などの影響は, 一般に構造が対称である差動増幅回路では, 電気的な信号の差としては現れにくいため, 問題とならないことが大きな特徴である.この差動増幅回路を用いてさまざまなアナログ回路が集積回路上に実現されており, その好例がアナログ乗算回路である. アナログ回路とディジタル回路が大きく異なる点は, アナログ回路が信号の増幅を行うということである.特に電力増幅を行う場合, トランジスタのバイアス状態によって, 効率が大きく異なることが知られている.また, 信号の増幅帯域幅は回路の構造に大きく依存し, 広い帯域を有する増幅回路を実現する手法が各種提案されている.その中で, 特に負帰還回路技術は, 帯域を拡大するだけでなく, 素子値の偏差に対する増幅利得の安定化, 雑音の低減, 入出力インピーダンスの改善にも有効である.演算増幅器は一種の差動増幅回路であり, 負帰還回路の増幅部として用いられる.演算増幅器を含めトランジスタで構成される回路は温度などの変化に対して影響を受けやすいが, 演算増幅器を用いたアナログ回路は, 理想的には演算増幅器以外の抵抗やキャパシタなどの構成要素で特性が決まるという特徴を有している.演算増幅器を用いれば, 増幅回路はもとより各種アナログ回路を容易に実現することができる. 増幅回路以外に重要なアナログ回路として, フィルタや発振回路, 変復調回路, 電源回路があげられる.フィルタは, 不要な信号周波数成分を除去し, 必要な信号周波数成分のみを取り出す回路である.代表的なフィルタとして, インダクタとキャパシタを組み合わせたLCフィルタと, 演算増幅器などの能動素子と抵抗やキャパシタなどの受動素子からなるアクティブフィルタが知られている.また, アクティブフィルタの抵抗の代わりにスイッチとキャパシタを用いて構成するスイッチトキャパシタフィルタがある.このフィルタは特性がキャパシタンスの比で決まるため, 集積回路での実現に適している.発振回路は, 主として基準周波数の発生に用いられる.発振回路の中で, 水晶発振回路は安定性の点において極めて優れ, 時計, その他で幅広く応用されている.また, 発振回路を応用した PLL は, 入力された信号の周波数と自分自身が発生する周波数との間に所望の比を実現する回路であり, 周波数シンセサイザや変調, 復調, テレビの同期信号発生など, さまざまな分野で使われている.変復調回路は, フィルタと共に通信において欠かすことのできない回路である.基本的な変調方式として振幅変調, 周波数変調, 位相変調の3方式があり, それぞれの方式による変調器や復調器は, 上述の乗算器, フィルタ, 発振器, PLL やそれらを組み合わせて構成される.電源回路は, アナログ回路に電力を供給するための回路であり, 入力信号によるアナログ回路の状態の変化に対しても, 回路に常に一定の電源電圧を供給し, しかも高効率であることが望まれる.このような要求に対して, 負帰還回路技術を用いた安定化電源回路やスイッチングレギュレータ回路などが知られている. (藤井・高木) |