巻頭言

情報システム学科新設

フェロー 都倉 信樹(鳥取環境大学副学長)

 筆者は2001年4月開学した鳥取環境大学に移った。鳥取市郊外の梨畑だった南向きの丘陵地に立地し、春は。ウグイスやヒバリなどの声が聞こえ、四季ときどきでよそおいを変える山並みがみられる。11月下旬には初冠雪の山が左右に遠望される。環境に配慮した種々の工夫の施された新キャンパスは、開学後もほぼ連日見学客が絶えないくらいである。
 本学は鳥取県と鳥取市が半々出資して作られた第3セクタ方式の大学で、4年経過後は独立した私学として自活しなければならない。18才人口の減少、特に中国地方は私立大学は厳しい状況にあり、その中での発足であって、特色を出さねばとても生き残れない。
 その特色はなにかと聞かれれば、日本の大学がほとんど「研究大学」という立場であるが、本学は学生の付加価値を高めるための教育大学というねらいで教育システムや設備を準備しているといえばよいであろう。
 1年入学時から学生研究室(廊下を挟んで南側にあり、教員の研究室とすぐ近くにある)が利用でき、ロッカーが用意されている。レポートの締め切り前にもなると学生が遅くまでパソコンを前に作業している。また、質問にくる学生も多い。大学でパソコン教室を作るのはやめて学生にノートパソコンを買ってもらい、大学内に多数の情報コンセントを配してどこでもパソコンを使えるようにした。コミュニケーション能力を高めるため、文章表現論という日本語での表記能力を高める講義、週3コマ2年間必修のインテンシブイングリッシュ(能力別、30数人以下の少人数クラス)で、英語力。そして、創成科目に相当するプロジェクト研究でグループ活動などを経験させ、プレゼンテーションや議論の仕方などを経験しながら学んでいる。この科目は3学科混成で、文理融合型の教育を目指している。
 なお、環境情報学部単一で、環境政策、環境デザイン、情報システムの3学科をもつ。情報システム学科は当ソサイエティと同じ名称であるが、むしろ、情報関係のアクレディテーションにCS、CE、IS、SEとあるISの意味の情報システム学科である。幸い、当学科のスタッフは教育重視の方針をよく理解し学生の指導に熱心にあたり、また、いろいろの工夫をしてくれる。多様な学生に対応するため、教育内容も独自のものを検討し教材も自作が少なくない。また、ほとんどの科目が複数担当となっており、協力して指導にあたるし、他の先生の講義を学生とともに聞き、また、演習のときは手助けをするということもごく自然に行われている。こうして、教育力の高い大学をめざし、一歩一歩進みつつある。
 研究もこれまでの継続テーマだけでなく、環境に関連したITのテーマに取り組む教員も増えている。現在は大学の立ち上げに多大なエネルギーを要する段階であるが、当ソサイエティのメンバーとしての活動も高めていきたい。
 ISSもIPSJとの関係強化等、新しい発想が見られることは喜ばしいことであり、日本の情報関係の学術・産業の進展に大きく寄与するものとなることを期待している。