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論文の書き方と査読の方法
和文論文誌編集委員会
1.まえがき

この小文は、著者の方々には、どのように書けばよいのかということを伝え、査読者の方々には、どのように査読するべきかを伝える目的でまとめたものである。

 

2.テーマを絞り込む

6~8ページで主張できることには限界がある。そのために、テーマを所定のページ数で議論できる程度に絞り込みたい。査読者もこのことを理解して、全て十分に揃った論文でなくてはならないと考えないようにしていただきたい。「サーベイ論文」の場合にはページ数の制限を廃してその代わりに文献が網羅的であることを要求している。

 

3.留意すべきこと
(1)まえがき
 論文の位置付けを明示するために、最も近いと思われる過去の研究を引用し、過去の研究の到達点ではどのような課題があり解決される必要があったのかを述べる必要がある。その課題に対してどのようなアプローチをしたのかということを概略説明し、どういう結果が得られたのかを簡単に説明する。提案する方式が、従来解決されていなかったどういう課題を解決するためのものなのかを主張することが重要である。

(2)方式の説明
 広い範囲の読者が理解できるように、わかりやすく論旨を展開することが必要である。新しい道具(数学や記述法など)を利用する場合には特に気をつけて、読者がフォローできるようにするべきである。難しい数式などが多く出てくる場合には、論文末に付録として数式をまとめることも有効である。必要以上に厳密な証明のためにページ数を消費するのも好ましくない。

(3)実験
 可能な場合には、過去の類似した手法との比較実験があると、提案方式の優位性を主張するのに絶大な効果がある。しかし、比較実験が必ずしも可能でない場合もある。査読者は比較実験に必要以上に完璧さを求めず、提案方式の有効性を、理論実験の両面から総合的に判断する。著者には、「実験結果のどの部分が、どのような事実を示しているのか」が読者に明確に伝わるように記述していただきたい。

(4)むすび
 ここでは得られた結果をまとめる。得られた結果以上の効果を主張することは慎まなくてはならない。また、論文が到達した点と未到達の点を明らかにすることができる。

 

4.特に査読者へ

本学会では「条件付採録」の判定は1回のみ許される。採録に条件を付す場合には、条件が満たされたかどうかが、容易に判断できるような明確な形で条件を示す必要がある。また条件付採録の通知を受けた著者も、本学会の査読プロセスをよく理解した上で採録条件文の意図を誠実に読みとる必要がある。課題が全く取るに足らないものであれば、それを指摘して不採録とすることは可能である。この場合でも、査読者の価値観を押し付けてはならない。原則としては「石を拾うことはあっても玉を捨てることがないように」という思想で査読していただきたい。

 

5.特に「不採録」と判定された著者へ

前節で述べたように、本学会では「条件付採録」の判定が1回のみであるということが定められている。優れた研究であれば、査読結果が「不採録」でも「再投稿」を促されているはずである。もし「再投稿」を促されていたら、「不採録理由」は採録のための条件の一部(あくまで一部である)と考え、是非それを修正するとともに論文中の類似点も修正して再投稿していただきたい。

 

6.むすび
和文論文誌では、年間500件以上の投稿があり、編集委員、査読委員への負荷は多大である。また、著者も修正・再投稿に多くの労力と時間を要している。この小文が、双方の労力の軽減のみならず質の向上にも貢献できれば幸いである。
これはあくまで和文論文誌「情報・システム:D」分冊編集委員会の意見であり、世の中の論文は元より、電子情報通信学会の論文全てに当てはまるものではない。

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