会長のあいさつ

2023年度会長

藤井 俊彰 会長
藤井 俊彰
電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ 2023年度会長

 情報・システムソサイエティ(以下ISS)は,情報処理技術とコンピュータ・通信・人間を融合したシステム化技術に関する基礎から応用までを研究領域としており,会員に研究発表と交流の場を提供し,情報技術分野の持続的な発展と社会問題解決に貢献することを目的とする最大規模のソサイエティです.2023年度は,前年度まで行ってきた論文誌の強化や国際化施策を継続するとともに,afterコロナ時代における新たな研究会の模索や,その知見の総合大会・FITへの展開,企業連携,メンターシップWGなどの新しい施策にも挑戦しながら活動を展開してまいります.

(1) 論文誌
 論文誌は研究の最終成果であり,引き続き質・量ともに充実に努めます.英文論文誌(ED)では,2020年1月から全論文をオープンアクセス化しており,各種指標について2021年と2016年との比較では,アクセス数は約9倍,ScopusのCiteScore値は0.8から1.6へ,インパクトファクタは0.41から0.56へといずれも上昇しており,オープン化の効果が見え始めています.和文論文誌Dでは,質の高い査読の継続,査読期間の短縮化に加え,研専活動との共活性化,学生やジュニア会員からの投稿の活性化についても検討を続けてまいります.

(2) 研究会
 現在,ISSには27の研専(特別研専を含む)があり,各技術分野に特化した研究会を開催し,専門性の高い研究発表,人的ネットワークの形成の場を提供してきています.2022年はハイブリッド開催が7割に増えるなど現地開催・オンライン開催の両方の良さを兼ね備えたafterコロナ時代の研究会の姿が見えてきました.一方で運営コスト増やオンラインと現地のバランスの取り方などの課題も見えてきています.これらの新たな研究会のあり方の模索を始め,大会との連携,企業連携,広報等の各課題に挑戦的に取り組んでまいります.

(3) 総合大会とFIT
 2022年度のFITは完全ハイブリッド開催となり,前回から1割増の559件の申し込みがありました.withコロナ,afterコロナ時代における大会の一つの方向性が示されたのではないかと思います.また,総合大会における学生ポスターセッションも大変盛況であり,引き続きジュニア世代へのサービスを提供し,その研究活動の活性化に努めてまいります.

(4) 国際化
 学会全体として国際化が重要となっていますが,海外会員の減少,本会英文論文誌の投稿数の減少などが見られます.これに対処するため,国内会員と海外会員双方に資するサービスの検討,他学会とのSister Society Agreementの締結,国際会議やワークショップの推進等を実施します.国際会議開催サポート,トップ国際会議対応,MOU対応,連携権利の活用のため,2022年6月より組織を拡充して対応をしているところです.

(5) メンターシップWG
 前年度からメンターシップWGを設立し,学生や若手研究者に対するトップ国際会議や国際ジャーナルへの論文採択を目的としたメンターシップ活動を支援しています.未来企画委員会の下で,これまで行われてきた複数のメンターシップ活動の情報共有や,旅費・参加費の補助などISSとしての具体的な支援事項の調査を行い,2023年度からメンターシッププログラムの支援を開始する予定としています.

 以上のように,ISSでは会員の皆様が会員サービスのメリットを享受し,研究開発や技術開発を円滑に進められるような施策に取り組んでいきます.皆様のご意見をお聞かせいただくとともに,引き続きご支援・ご協力のほど,よろしくお願い申し上げます.

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