2014年度

2014年度研究奨励賞受賞者について

大阪府立大学で開催されました第7回研究会(若手奨励企画)の若手選奨(研究奨励賞)における審査の結果,以下の3名の講演者への授賞が決定しました.

(研究奨励賞は,講演原稿の著者のうち講演者のみ(個人)が対象となります.講演者を除く,他の連名著者は対象ではありませんので,ご注意ください.)

研究奨励賞受賞者一覧

  • 田中 宏季 (奈良先端科学技術大学院大学)
    「ソーシャルスキルトレーニングの自動化」
  • 谷川 晃大 (高知大学)
    「プレゼンテーション・リハーサルを対象としたプレゼンテーション再構成手法にもとづくピアレビュー支援の検討」
  • 吉良 元 (北陸先端科学技術大学院大学)
    「レスポンスマーカを用いたICT活用授業におけるリクエスト対応支援システムの開発」

(順序は,研究会当日の発表プログラム順)

各受賞者の講演概要と当日の様子

prize2014_01

「ソーシャルスキルトレーニングの自動化」
○田中 宏季・サクリアニ サクティ・グラム ニュービッグ・戸田 智基(奈良先端大)・根來 秀樹(奈良教)・岩坂 英巳(奈良教大)・中村 哲(奈良先端大)

ソーシャルスキルトレーニングは自閉症等のコミュニケーション障害を有する人々の社会的な不安を減らし、適切なスキルを身につけるトレーニング手法として確立されている.我々は,「自動ソーシャルスキルトレーナ」と題して,ソーシャルスキルトレーニングの過程を人間とコンピュータのインタラクションによって自動化する研究を進めている.システムは,音声および言語情報を認識し,ユーザにフィードバックを行う.システムの設計は,従来のソーシャルスキルトレーニングの枠組みに沿っており,課題設定,モデリング,ロールプレイ,フィードバック,正の強化,宿題を含んでいる.システムとユーザが対話を行う評価実験によって,ソーシャルスキルと音声言語情報および自閉症傾向との関連性が確認された.また異なる評価実験により,50分間システムを使用するトレーニングを行った際,有意にソーシャルスキルの改善が見られた.

受賞者からの声

今回,このような名誉ある賞を頂き大変光栄に思います. 常日頃から熱心にご指導頂く中村哲教授,戸田智基准教授,サクリアニサクティ助教授、グラムニュービッグ助教授に感謝致します. また,共同研究者である奈良教育大学の岩坂英巳先生,根來秀樹先生に感謝致します.本研究にご理解,ご協力頂いている児童と保護者の皆様にも感謝申し上げます.

prize2014_02

「プレゼンテーション・リハーサルを対象としたプレゼンテーション再構成手法にもとづくピアレビュー支援の検討」
○谷川 晃大・岡本 竜(高知大)・柏原 昭博(電通大)

プレゼンテーション・リハーサルを対象としたピアレビュー支援では,レビューの質的な向上のため,発表内容を再現しピアに確認させることが重要である.一般に発表内容は,主にスライドコンテンツと口頭説明を通じて伝達される.しかし,従来の再現手法では,スライド情報のみを用いることが多く,レビューのための十分な再現性の確保が難しい.そこで本研究では,双方の情報を利用したプレゼンテーションの再現方法および,それを用いたピアレビュー支援についての検討を行った.

受賞者からの声

この度は研究奨励賞にご選出いただき,大変光栄に存じます.本研究では,プレゼンテーション・リハーサルを対象とした知識洗練化の支援として,スライドと口頭説明によって伝達される発表者の知識に着目して研究を行っております.現実的な支援システムの完成に向けては,まだまだ多くの課題があると感じており,今後も研究の発展のために努力する所存です.修士としての研究活動は残りあとわずかですが,よりよい成果を残せるよう,受賞を励みに精進いたします.

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「レスポンスマーカを用いたICT活用授業におけるリクエスト対応支援システムの開発」
○吉良 元・長谷川 忍(北陸先端大)

本研究では,小学校におけるICT活用授業において,児童から教師へ寄せられるリクエストへの対応を支援することを目的としたシステムの提案とプロトタイプの開発を行った.ここでのリクエストとは,授業中に児童が疑問を持ち質問を行うとき,教師に確認して欲しい事項があるときなどに,教師を呼ぶ要請のことである.ICT活用授業において発生するリクエストには,授業の学習内容によるものに加えて,ICT機器を使うことにより発生するものがある.リクエストへの対応が不慣れな教師であれば,この対応に時間をかけてしまい,授業が中断する場合がある.本研究では,児童がリクエストを出す際のツールとして,レスポンスマーカを提案する.これは,画面上に表示される長方形状のオブジェクトで,児童が自由に操作できるものである.これをマウスで操作することで,児童から教師にリクエストを出すことができる.これにより,教師による児童の学習状況の把握を容易にする.本研究では,レスポンスマーカのプロトタイプを製作し,学生による小規模の評価実験を行った.実験結果から,現段階での実用には課題が残るものの,レスポンスマーカを授業で用いる際に一定の効果が期待できることを確認した.

受賞者からの声

この度は,素晴らしい賞を授けてくださいまして,誠にありがとうございます.本研究は,これから発展するであろうICTを用いた教育の実施をサポートすることを目的に行っております.まだまだ研究は途上ですので,頂いた賞を励みに,より良い成果を出せるよう精進してまいります.最後に,日頃から研究を支えてくださる長谷川忍先生および研究室の仲間に深く感謝いたします.

(○…講演者[受賞者])

選奨規定に関わる審査対象件数および受賞件数の公表

  • 審査対象の講演件数:11件(当日の全講演件数:12件)
  • 受賞講演件数:3件(約27%)

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