電子情報通信学会 第19回データ工学ワークショップ論文集
2008年4月7日発行
ISSN 1347-4413

編集: 原隆浩(阪大)、天笠俊之(筑大)、田島敬史(京大)、寺田 努(阪大)、宮崎 純 (NAIST)、渡辺知恵美(お茶大)、神崎映光(阪大)

会議日程・開催場所

  • 日程:2008年3月9日 ~ 2008年3月11日
  • 場所:宮崎国際会議場 / サンホテルフェニックス(フェニックス・シーガイア・リゾート)

DEWS2008論文集刊行にあたって

ワークショップ委員長:川越恭二(立命大)
プログラム委員長:原隆浩(阪大)

DEWS(データ工学ワークショップ)は、データ工学に関する様々な研究テーマをトピックとして、若手研究者が中心となって毎年早春に開催されるワークショップです。

第19回データ工学ワークショップ(DEWS2008)は、2008年3月9日から11日まで、データ工学分野における重要なテーマから、萌芽的、先進的、先見的なアイデアまで幅広い内容の研究発表が行われました。DEWS2008は、宮崎県の一大南国リゾート施設として知られているフェニックス・シーガイア・リゾートにて開催します。宮崎県は、その温暖な気候が生み出す名産品が非常に魅力的で、マンゴーや地鶏、焼酎をはじめとして、数多くの逸品が全国的に広く知られています。また、会場となる宮崎国際会議場・サンホテルフェニックスは、一ツ葉海岸に面し、青々とした黒松林に囲まれた落ち着いた会議場・リゾートホテルです。今回のDEWSの参加者は、これまでのDEWSで最大の463名となり、国内での研究会中心の会議としては最大規模のものです。これは、DEWSが年間イベントとして認知され、さらにデータ工学分野だけではなく、さまざまな分野の研究者の関心を強く引き付け、境界領域研究の発展に大きく貢献しているものと推測できます。

DEWS2008では、昨今のDEWSの大規模化と研究コミュニティにおけるDEWSの位置付けを考慮して、大きな変革を図りました。具体的には、DEWSの良き伝統である「若手研究者中心の研究集会」という特色を維持しつつ、スケジュールおよび負担的な問題から運営上破綻しつつあった論文査読を廃止いたしました。その代りとして、発表者が該当する研究分野の専門家から適切なコメントをもらえるように、「コメンテータ制度」を新たに導入しました。

DEWS2008の発表は、論文の内容をじっくり聴講できるスライドを用いた一般発表を基本とし、さらにポスター形式で発表者と参加者が直接議論可能なインタラクティブ発表から構成しました。一般発表は、持ち時間15分(発表10分+質疑応答:5分)としました。インタラクティブ発表には、インタラクティブ発表を申し込んだ発表者だけではなく、一般発表者のうちインタラクティブ発表を追加で希望したものも発表可能としました。

論文の投稿方法は、一般発表論文では4ページ以上8ページ以下(6ページ程度を推奨)とし、インタラクティブ発表論文のみの場合は2ページ以上6ページ以下(4ページ程度を推奨)としました。募集の結果、265件の論文投稿(一般発表のみ190件、インタラクティブ発表のみ9件、同時投稿66件)がありました。この投稿数は、これまでのDEWS2006の202件、DEWS2007の257件を超える件数でした。アブストラクトによる申し込みの後、提出された265件の論文に対して、論文の体裁等を確認するための閲読を行い、これらすべての発表を認めました。

プログラム編成では、260件を越える一般発表とインタラクティブ発表、さらに、同時に実施される様々なイベントを3日間で効果的に実施するために、セッション構成を工夫しました。具体的には、初日にはインタラクティブセッション、2日目には技術報告セッション、DBSJ功労賞受賞記念講演およびインタラクティブセッション、3日にはチュートリアルを配置しました。

DEWS2008ではチュートリアルとして、DEWS2007最優秀論文賞を受賞された櫻井保志氏(NTT)から、「ストリームマイニング:アルゴリズムと研究動向」と題するご講演をいただきました。この他、酒井博敬氏による「私の概念モデリング遍歴」と題したDBSJ功労賞受賞記念講演をいただきました。企業の方による技術開発状況の解説とデモを行なう技術報告セッションでも多数の参加者が集まり盛況でした。

一般発表は、基本的に分野が近い6件以下の論文を1つのセッションとし、計43の一般発表セッションを構成しました。各セッションには、そのセッションの研究分野の専門家3名をコメンテータとして配置しました。その結果、発表後の質疑応答時における議論が活発になり、発表者は多くの有益で的確なコメントを頂けたものと考えます。なお、コメンテータは、これまでのDEWSのプログラム委員経験者を中心に、データ工学分野の著名な研究者として選定された総勢81名の方々です。

また、DEWS2008では新たな試みとして、インタラクティブ発表のセッションを懇親会と同時開催としました。その結果、3月9日と10日の両日、インタラクティブセッションに400名近くの非常に多くの皆様にお集まりいただき、盛況に開催することができました。多くの発表者および参加者の皆様から、活発な議論を行うことができ有益なインタラクティブセッションだったという、肯定的な意見を頂きました。

ワークショップ終了後に、一般発表論文の中からコメンテータからの推薦に基づき、プログラム委員会で審査を行ない、DEWS2008最優秀論文賞を1件、DEWS2008優秀論文賞を4件選定しました。これらの論文は、電子情報通信学会和文論文誌および英文論文誌の研究会推薦論文の対象となります。またインタラクティブ発表での優秀なプレゼンテーションに関しては、DEWS2008参加者および評価委員の推薦をもとに、インタラクティブ発表評価委員会で審査を行い、DEWS2008最優秀インタラクティブ賞を1件、DEWS2008優秀インタラクティブ賞を2件選定しました。

最後になりますが、今回のワークショップ開催に際しまして、大変多くの方々にご支援・ご協力をいただきました。この場をお借りしまして御礼申し上げます。共同主催である日本データベース学会の会長の増永良文先生をはじめDEWS2008組織委員会の先生方、チュートリアルでご講演いただいた櫻井保志氏に感謝いたします。また、ビデオ撮影に協力いただいたボランティア学生の皆様ご苦労様でした。年度末のお忙しい時期にも関わらず、総勢81名のコメンテータの皆様にお集まりいただき、非常に有益なコメントやご議論をいただき、セッションを盛り上げていただいたことに感謝申し上げます。プログラム委員長補佐として多くの支援をいただきました神崎映光先生に感謝致します。プログラム委員会幹事の天笠俊之先生、田島敬史先生、寺田努先生、宮崎純先生、渡辺知恵美先生には、極めてタイトなスケジュールの中で献身的な貢献をしていただきました。深く感謝致します。ローカルアレンジメントと財務担当の有次正義先生、糸川剛先生、中村聡史先生には、このような大規模な会議を支障なく円滑に運営していただきました。心より感謝いたします。

DEW2008では、これまでのDEWSの抱えた課題を解決するために、これまでの良き伝統を守りながらも、新しい取り組みを積極的に導入いたしました。特にコメンテータ制度の導入と、インタラクティブセッションと懇親会の同時開催は、多くの参加者の皆様に高く評価いただけたのではないかと感じております。また、多くの皆様にご参加いただき、DEWS2008が盛況に開催されましたことを大変嬉しく思います。これも、多くの方々のご協力によるものと心より感謝申し上げます。今後も、DEWSがデータ工学分野の研究コミュニティの情報交換・技術交流の場のみならず学生を育成する場として益々発展することを祈念します。

DEWS2008論文集の構成

本論文集は、DEWS2008で採録された口頭発表論文、インタラクティブ発表論文からなります。DEWS2008開催前の2008年2月28日に、予稿集として論文集を公開しています。本論文集はワークショップ終了後に、著者に任意で論文の拡張を行なって再提出していただいた論文を収録しており、ワークショップ前の論文集を改訂したものとなっております。

本論文集は、DEWS論文集の公開に関するお願いにあげました方針に基づき、電子情報通信学会データ工学研究専門委員会(DE研)が著者から公衆送信権・複写権使用の許諾を受けた形で、著作権は論文の著者に帰属したまま公開しております。今後、著者が論文の公開を終了される場合があります。

本論文集は、PDFファイル形式で論文ファイルを掲載しており、Adobe Reader(無償)などにより閲覧できます。

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