高信頼制御通信研究会 : Technical Committee on Reliable Communication and Control (RCC), IEICE

研究会の主旨

 ITSやスマートグリッド通信に代表されるように、システム制御における通信の重要性は、これまでなかったほど高まっている。本研究会は、このようなシステム(機械、デバイス、プラント等)内、あるいはシステム間における制御情報の高信頼な通信を対象とし、その基礎理論と応用について、制御と通信の境界・融合領域に属する研究として推進することを目的とする。
 従来の音声通信や画像通信のような人間を対象とした通信では、利用者の満足度の客観的な測定は困難であり、通信層の設計においてできることは、通信層でみた通信品質の向上しかなかった。これに対し、制御通信においては「顧客(=装置)満足度」を数値として測定できる。したがって、顧客満足度を最大化するために通信層が果たすべき役割は何かということを考えることが可能となる。数学モデルで記述できる装置等で構成される制御通信では、制御品質と通信の相互関係の記述が可能であり、制御品質を意識した通信層の設計や、通信品質を考慮した制御系の設計、さらには通信層と上位層(制御)の統合的な最適化も可能である。また,制御通信では、多くの場合、ある時間内に必要な情報を必ず届けるという意味での高信頼性保証が必要不可欠であり、従来の通信であまり重視されてこなかった時間軸の意識が非常に重要になることも、その特筆すべき点である。このように制御通信は、従来の情報通信とは異なる視点を通信に提供可能である。
 学術面では、制御理論と通信理論の融合、通信工学における制御理論や適応制御の応用、制御工学における情報理論、適応信号処理やネットワーク理論の応用、情報処理理論の情報通信工学と制御工学への新展開等を含む幅広い内容を包含しており、基礎・境界ソサイエティにふさわしい内容である。
 応用面においても、制御通信は、交通システム、エネルギーシステムはもとより、医療、ヘルスケア、金融、防災、防衛、建造物、製造、ロボット等、これまで信頼性の観点から通信が十分に浸透しているとは言えない分野への有無線通信の適用を可能し、これまでに無かったようなシステムやサービスを実現するための基幹技術である。これらの分野はいずれも今後大きな成長が見込まれることから,制御通信は産業面からもその重要性がますます高まっている。
 本研究会では、制御通信に求められる、高い信頼性、安全性及び耐久性を実現するための技術に関して、学術と応用の両面から研究を進め、高信頼性制御通信の法制化とその産業化を推進する。