第29回 回路とシステムワークショップ奨励賞受賞者ならびに受賞理由


A分科会

講演者
氏家 隆之(京都大学)
題目
近似的予測戦略に基づく畳み込みニューラルネットワークプロセッサの低電力化
受賞理由
CNNの計算における実質的な畳み込み演算回路を減らすために、近似的予測に基づく“Lazy Conv Pool”を提案している。また、近似演算手法として“Sign Connect”を提案している。両手法を回路実装し、シミュレーションにより評価した結果、通常のCNNに比べて消費エネルギーを大きく削減可能であることを明らかにしている。研究内容が面白く、発表もわかりやすかったため質問が多かったが、質問に対し適切に答えていた。

A分科会

講演者
駒脇 拓弥(京都工芸繊維大学)
題目
65nm FDSOIプロセスにおけるランダムテレグラフノイズの測定と評価
受賞理由
集積回路素子の微細化により、ランダムテレグラフノイズ(RTN)による信頼性の問題が顕在化してきていることから、従来のバルク構造とFDSOI構造におけるRTN の影響の比較を行っている。比較の結果、測定環境やバルク構造をFDSOI構造に変えることで、RTN の影響を抑えることができることを報告している。発表において、網羅的な測定結果をわかりやすくプレゼンし、測定結果をモデルに照らし合わせ興味深い考察をおこなっていた。また、質疑応答も優れていた。

B分科会

講演者
高橋 智博(東京理科大学)
題目
スパース正則化と一般化主成分分析に基づく適応画像修復
受賞理由
自然画像の平坦構造に着目した効果的な画像修復法を提案し、その内容も行列のランク最小化や一般化主成分分析にもとづいており高度であった。発表も明瞭であり、高度な話を聴講者にわかりやすく伝えていた。質疑応答においても的確な返答を行い、多くの聴講者が納得するものであった。今後の発展についても、課題を把握しており、大きく期待できる。

C分科会

講演者
鶴岡 秀樹(東京農工大学)
題目
フォトカプラに用いられるフォトダイオードアレイのグリッド分割を用いた設計手法
受賞理由
本講演では組み合わせ問題として興味深い問題を扱っており、またグラフ論的な観察・解析に基づいた効果的な手法が提案されている。提案手法は実験的にも従来手法よりもシンプルかつ高品質な解を生成することが確認されており、優れた研究であると言える。また発表において、問題定義および提案手法がともに分かりやすく説明されていたことに加え、発表後の質疑応答においても的確に質問に回答していた。