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第24回 回路とシステムワークショップ
プログラム

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著者索引:   HERE

会場受付時間

2011年7月31日(日)17:30〜19:00
2011年8月1日(月)8:30〜
2011年8月2日(火)8:30〜


セッション表

表内のセッション名はそのセッション情報にリンクしています.

2011年8月1日(月) [会場: 淡路夢舞台国際会議場]

405室311A室311B室301A室301B室

A1-1  発振回路の設計と解析
9:15-10:30




D1-1  最適化とその応用
9:30-10:30

A1-2  [特別セッション]カオスダイナミクスとその応用
10:45-12:10


Bd1-2  システム実現技術
10:45-12:05

C1-2  [招待講演]スーパーコンピュータのシステム検証
10:45-12:00

D1-2  ヒューリスティックス
11:00-12:00

特別招待講演: 「水と気候変動と地球環境問題」 沖 大幹(東京大学)
13:30-14:30 [会場: 国際会議場 地下1階「イベントホール」]

A1-3  [招待講演]次世代スーパーコンピュータ
14:45-15:55

Ba1-3  AD/DA, PLL
14:45-16:00

Bd1-3  画像処理I
14:40-16:00

C1-3  プロセッサ設計
14:45-16:00

D1-3  [招待講演]匿名性とプライバシの数理的な定式化と法律への適用
15:00-16:00

A1-4  学習と最適化
16:15-17:30

Ba1-4  アンプ
16:25-17:30

Bd1-4  [招待講演]次世代映像符号化
16:15-17:30

C1-4  DFMと耐故障設計
16:15-17:30

D1-4  [招待講演]スーパーコン:高校生・高専生のスパコンコンテスト
16:15-17:15

表彰式・懇親会
18:00-20:00 [会場: ウェスティンホテル淡路 1階「ステラ」]
ナイトセッション
20:30-23:00 [会場: 国際会議場 1階「レセプションホールA」]


2011年8月2日(火) [会場: 淡路夢舞台国際会議場]

405室311A室311B室301A室301B室

A2-1  デバイスモデリング
9:30-10:30

Ba2-1  ミックストシグナル
9:15-10:30

Bd2-1  基礎信号処理
9:10-10:30

C2-1  低消費電力設計
9:15-10:30

D2-1  アルゴリズム
9:30-10:30

A2-2  回路の数値解析
10:45-12:00

Ba2-2  低電圧・低消費電力回路
10:45-11:55

Bd2-2  [招待講演]学生向け信号処理チュートリアル
10:45-12:00

C2-2  物理設計
10:45-12:00

D2-2  グラフ理論とソフトウェア開発
10:45-12:15

A2-3  非線形回路解析
13:30-14:45

Ba2-3  [招待講演]スイッチング電源システムの基礎と応用
13:30-14:45

Bd2-3  画像処理II
13:25-14:45

C2-3  システム設計
13:30-14:20

Bd2_2-3  音声処理I
13:30-14:30

A2-4  [特別セッション]結合力学系のダイナミクスと応用
15:00-16:45

Ba2-4  電源
15:00-16:15

Bd2-4  画像処理III
15:00-16:00


Bd2_2-4  音声処理II
15:00-16:00




論文一覧


(発表者を○,◎印で示し,◎印は本ワークショップ「奨励賞」の対象者を示す.)

2011年8月1日(月)

セッション A1-1 発振回路の設計と解析
日時: 2011年8月1日(月) 9:15-10:30
部屋: 405室
座長: 関屋 大雄 (千葉大学 大学院融合科学研究科)

A1-1-1 (時間: 9:15 - 9:40)
題名デジタル演算回路での3変数シリコンニューロンの設計
著者 ◎小林 航 (東京大学大学院工学系研究科), 河野 崇, 合原 一幸 (東京大学生産技術研究所)
Pagepp. 1 - 5
Keyword シリコンニューロン, 分岐解析
Abstractデジタル演算回路でニューロンモデルを実装することは、ニューラルネットワークの並列計算を可能にし、また生体とのハイブリッドシステムとしても応用される可能性がある。しかし、ニューロンモデルをデジタル演算回路で実装するには単純化したモデルでなくてはならない一方で、神経系の挙動を再現するためにはニューロンの豊富な特性を記述することが必要である。そこで本研究では、単純で計算負荷の少ないモデルであると同時に豊富な発火パターンを再現できるものを数理的手法に基づいて設計した。本モデルはパラメータを適切に設定することでバースト発火やカオス的な挙動をしHindmarsh-Roseモデルと同等のダイナミクスを再現できる。

A1-1-2 (時間: 9:40 - 10:05)
題名不感時間を有する区分定数スパイキング発振器のスパイク間隔分布とその制御
著者 ◎青木 崇浩 (長岡技術科学大学大学院 工学研究科 電気電子情報工学専攻), 坪根 正 (長岡技術科学大学 電気系)
Pagepp. 6 - 11
Keyword スパイキング発振器, スパイク間隔分布, 不感時間, カオス
Abstract本稿は,区分的に定数なベクトル場を持つカオススパイキング発振器が呈するスパイク間隔(ISI)分布について議論を行う.この発振器はカオスダイナミクスに支配される多様なスパイク列を呈し,この様なスパイク列についての考察は基礎的な非線形問題として興味深いだけではなく工学的にも重要である.まず,系の振る舞いを明らかにするために1次元リターンマップを導出し,その不変測度からISIの確率密度関数が厳密に得られることを示す.次に,状態に依存した不感時間を導入してISIを制御する手法を提案する.この制御法の有効性は簡素な実装回路実験によって確認される.

A1-1-3 (時間: 10:05 - 10:30)
題名大規模多角形発振器ネットワークで観測される同期現象とフラストレーションに関する研究
著者 ○上手 洋子, 西尾 芳文 (徳島大学)
Pagepp. 12 - 15
Keyword 多角形発振器ネットワーク, フラストレーション
Abstract本研究では,奇数個の多角形ネットワークと偶数 個の多角形ネットワークを一辺を介して結合した場 合の同期現象について調査を行う.まず,奇数個の 多角形ネットワークとして三角形型van der Pol ネッ トワークを偶数個の多角形ネットワークに結合する. 偶数個の数を4 から100 まで変化させたときの位相 差およびフラストレーションについて調査を行う.


セッション A1-2 [特別セッション]カオスダイナミクスとその応用
日時: 2011年8月1日(月) 10:45-12:10
部屋: 405室
座長: 茂呂 征一郎 (福井大学 大学院工学研究科 電気・電子工学専攻)

A1-2-1 (時間: 10:45 - 11:30)
題名(招待) カオスダイナミクスの応用 −情報処理システムとA/D変換を例に−
著者 ○堀尾 喜彦 (東京電機大学)
Pagepp. 16 - 21
Keyword カオス, 複雑計算, β変換
Abstractまず,カオスダイナミクスの情報処理システムへの応用の可能性に付いて議論する. 特に,高次元のアナログ物理カオスダイナミクスを用い,さらに,脳の意識・無意識過程にヒントを得た複雑系計算装置の構成法とその応用について解説する. これは,プログラム内蔵型で逐次的にアルゴリズムを実行するノイマン型デジタル計算機とは原理的に異なる新しい計算システムの一つの例である. 次に,実数密度でカオス力学系に内包された不動点や系が持つフラクタル構造などを大容量アナログメモリとして活用する方法について述べる. さらに,β展開に関する一次元力学系理論の,最新のA/D変換技術への応用を紹介する.

A1-2-2 (時間: 11:30 - 11:50)
題名連立ボルテラフィルタによるカオス暗号のパラメータ設定基準に関する検討
著者 ◎渡邉 大貴, 吉田 大希, 中山 有洋, 佐藤 泰智, 川西 義明 (明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻), 鎌田 弘之 (明治大学理工学部)
Pagepp. 22 - 27
Keyword カオス, ボルテラフィルタ, ストリーム暗号, 暗号鍵, パラメータ
Abstract安全な通信を実現する方法として,軌道不安定性を持ち処理のリアルタイム性に優れているカオスストリーム暗号は有効な手法の1つである. 著者らは以前より非線形写像とボルテラフィルタを併用するカオス暗号システムを提案してきた.ボルテラフィルタは設定が多様であり多くの暗号鍵が利用できる半面、暗号鍵として不適切なパラメータもあることから、脆弱性を伴うリスクがある. 本研究では,従来の非線形写像に代わりボルテラフィルタのみを連立させて使用する方式を提案する.暗号鍵の多様性と秘密性を高めながら処理速度の向上を図るため内部構造を合理化し,パラメータを新しく設定したシステムの提案を行う.そして,従来のシステムと本研究で提案するシステムの特性を比較,検証し評価する.

A1-2-3 (時間: 11:50 - 12:10)
題名パラメータを時変化したカオスストリーム暗号化の高速化に関する研究
著者 ◎佐藤 泰智, 中山 有洋, 吉田 大希, 渡辺 大貴, 川西 義明 (明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻,博士前期課程), 鎌田 弘之 (明治大学理工学部電気電子生命学科)
Pagepp. 28 - 33
Keyword カオス, ストリーム暗号, リアプノフ指数
Abstractカオスストリーム暗号の有用性を向上させる上で,暗号強度の改善が重要な課題となっている.本研究では,カオスストリーム暗号に組み込まれているVolterra Filter内の乗算の一部をビットシフトによる演算に変更すると共に,ビットをシフトさせるパラメータを時変整数列化させたカオスシステムを提案し,このシステムによる暗号の特性が改善されたことを確認した.


セッション A1-3 [招待講演]次世代スーパーコンピュータ
日時: 2011年8月1日(月) 14:45-15:55
部屋: 405室
座長: 渡邉 貴之 (静岡県立大学 経営情報学部 経営情報学科)

A1-3-1 (時間: 14:45 - 15:20)
題名(招待) 京速コンピュータ「京」のアーキテクチャと開発の現状
著者 ○庄司 文由, 宇野 篤也, 黒川 原佳, 横川 三津夫, 渡辺 貞 (理化学研究所/次世代スーパーコンピュータ開発実施本部(兼)計算科学研究機構)
Pagepp. 34 - 39
Keyword HPC, スーパーコンピュータ
Abstract理化学研究所では、文部科学省が推進する「革新的ハイパフォーマンスコンピューティングインフラ(HPCI)の構築」の一環として、世界最高レベルの演算性能を持つスーパーコンピュータ(愛称「京(けい)」)の開発を進めている。 本稿では、完成時において世界最高レベルの演算性能を持ち、ナノサイエンスやライフサイエンスを初めとする幅広い分野での利活用が期待されている京速コンピュータ「京」のアーキテクチャと開発状況について報告する。

A1-3-2 (時間: 15:20 - 15:55)
題名(招待) 京速コンピュータ「京」に向けたアプリケーションの高性能化
著者 ○南 一生, 長谷川 幸弘, 黒田 明義, 井上 俊介, 寺井 優晃 (独立行政法人 理化学研究所)
Pagepp. 40 - 45
Keyword 並列処理, スーパーコンピュータ, 性能チューニング
Abstract現在理化学研究所において、2012年の完成を目指し京速コンピャータ「京」が開発されている。本システムは、極微細な量子の世界から膨大な数の銀河を内包する宇宙まで、広大なスケールの中に存在する様々な自然現象を解明し社会に貢献する革新的な手段として、その実現が期待されている国産技術の汎用スーパーコンピュータシステムである。本システムは、8万個のCPU(ノード)、64万個のプロセッサコアから構成される超並列計算機であり、各プロセッサコアには、高速計算のための多くの新しい機構が導入されている。理化学研究所は「京」の開発プロジェクトを進めつつ、多様な応用分野のアプリケーションについて、スーパーコンピュータの性能を十分に生かしきるために、ある共通化した手法を用いてアプリケーションプログラムを高性能する研究開発を実施している。本稿では、その概要について報告する。


セッション A1-4 学習と最適化
日時: 2011年8月1日(月) 16:15-17:30
部屋: 405室
座長: 上手 洋子 (徳島大学工学部)

A1-4-1 (時間: 16:15 - 16:40)
題名決定論的PSOの粒子再加速による性能改善についての考察
著者 ◎進藤 卓也 (日本工業大学大学院工学研究科電気工学専攻), 神野 健哉 (日本工業大学工学部電気電子工学科)
Pagepp. 46 - 51
Keyword 粒子群最適化法
AbstractPSOでは,そのパラメータが解の探索能力に大き く影響する.パラメータがPSOの動作に及ぼす 影響を解析するため決定論的なシステムを対象として パラメータが解の探索能力に及ぼす影響に関して解析を行う. 特にシステムの固有値に着目し,粒子の動特性と解の探索 能力を考察する.さらに,粒子速度の減衰による解 探索の停滞を改善する,粒子の再加速法を提案する. 決定論的PSO の粒子を再加速することで解探索の続 行が可能となり,解探索性能が向上することを確認 する.

A1-4-2 (時間: 16:40 - 17:05)
題名鈍感な差分進化による複数最適解探索へのアプローチ
著者 ◎半田 斎, 斎藤 利通 (法政大学)
Pagepp. 52 - 55
Keyword 差分進化, 最適化, 群知能

A1-4-3 (時間: 17:05 - 17:30)
題名センシングと符号化とデータ統合の数理
著者 ○村山 立人 (NTTコミュニケーション科学基礎研究所), Peter Davis (テレコグニックス)
Pagepp. 56 - 60
Keyword センシング, データ統合, 符号化


セッション Ba1-3 AD/DA, PLL
日時: 2011年8月1日(月) 14:45-16:00
部屋: 311A室
座長: 原田 知規 (山形大学)

Ba1-3-1 (時間: 14:45 - 15:10)
題名Finite Aperture Time Effects in Sampling Circuit
著者 Asad A. Abidi (University of California, Los Angeles), ◎新井 美保, 新津 葵一, 小林 春夫 (群馬大学)
Pagepp. 61 - 66
Keyword サンプリング回路
Abstract本論文では信号波形取得のためのサンプリング回路での非理想要因である有限アパーチャ時間の影響について考察した。信号がより高周波化すると有限アパーチャ時間の影響は顕著になる。そこで有限アパーチャ時間によるサンプリング帯域低下の明示式を導出し、その妥当性についてMOSサンプリング回路でのSPICEシミュレーションによる検証を行った。実際のMOSサンプリング回路ではNMOSスイッチのゲートの立下り時間がアパーチャ時間になるのではなく、NMOSスイッチが大きく変化するゲート電圧近辺の変化時間が実効的なアパーチャ時間になる。この実効的なアパーチャ時間を用いて導出した式を計算した結果とSPICEシミュレーション結果は一致することが確認できた。

Ba1-3-2 (時間: 15:10 - 15:35)
題名入力依存する時変窓付A/Dコンバータ
著者 ◎小蕎 考史, 斎藤 利通 (法政大学)
Pagepp. 67 - 71
Keyword A/Dコンバータ, サークルマップ

Ba1-3-3 (時間: 15:35 - 16:00)
題名セルフディザΔΣ型分数分周PLLの検討
著者 ◎加藤 勇児 (青山学院大学大学院), 松谷 康之 (青山学院大学)
Pagepp. 72 - 75
Keyword PLL, 分数分周, ディザリング, リミットサイクル発振, ΔΣモジュレータ
Abstract分数分周PLLの中でも低スプリアスであるΔΣ型分数分周PLLは盛んに研究がされている.ΔΣ型分数分周PLL内のΔΣモジュレータは固定値が入力された際にリミットサイクル発振が生じることが知られており,これを抑制する手法としてディザが用いられている.このため,ΔΣ型分数分周PLLにはディザ発生回路が必要となる. このことから,リミットサイクル発振がΔΣ型分数分周PLLに対して及ぼす影響の検討を行い,PLL出力におけるスプリアスが増大することを確認した.また,ディザ発生回路を小型化したΔΣ型分数分周PLLを提案し,提案回路によってスプリアスの増大が抑制されることを確認した.


セッション Ba1-4 アンプ
日時: 2011年8月1日(月) 16:25-17:30
部屋: 311A室
座長: 松谷 康之 (青山学院大学)

Ba1-4-1 (時間: 16:25 - 16:50)
題名多段接続時間差増幅回路における段数の最適化設計理論に関する研究
著者 ◎針谷 尚裕, 櫻井 正人, 新津 葵一, 山口 隆弘, 小林 春夫 (群馬大学)
Pagepp. 76 - 81
Keyword 時間差増幅回路, CMOS集積回路, 時間分解能型回路, 高速化回路技術
Abstract本研究では、時間分解能に優れた微細CMOSプロセスにおけるキーコンポーネントである時間差増幅回路の設計理論に関する報告を行う。時間差増幅回路においては、仕様のゲインと動作周波数を得るために、多段接続にすることが有効であると報告されている。しかし、多段接続にすることは占有面積や消費電力の増大を招く。このことから、設計仕様から多段接続時間差増幅回路の段数を決定する必要があるが、その方法論に関する報告はなされていない。本研究においては、時間差増幅回路の段数と動作周波数、占有面積の関係を明らかにし、その最適化設計理論を確立することを目的とする。

Ba1-4-2 (時間: 16:50 - 17:15)
題名弱反転領域動作するMOSFETにより構成された線形トランスコンダクタの一構成法
著者 ◎石尾 隆太郎, 大淵 武史, 松元 藤彦 (防衛大学校応用物理学科)
Pagepp. 82 - 86
Keyword Analog Integrated Circuit, Transconductor, Weak-Inversion Region, Lowpoer Circuit
Abstractトランスコンダクタは電圧電流変換回路であり、乗算器、フィルタ等のアナログ集積回路の基本構成単位である。医療用電子機器に使用されるトランスコンダクタの一部には、高い線形性と低いトランスコンダクタをもつことが求められる。トランスコンダクタンスは電圧電流増幅率であり、その大きさはバイアス電流に依存する。本稿では、バイアス電流が小さい弱反転領域で動作するMOSFETにより構成された線形トランスコンダクタの一構成法を提案する。弱反転領域で動作するMOSFETのドレイン電流は指数関数で表わされる。中間圧電端子を1個有するSINH回路を元にして、中間圧電端子を2個に増やし、それらに減衰させた入力信号を加えることにより、高い線形性をもつトランスコンダクタを実現する。

Ba1-4-3 (時間: 17:15 - 17:40)
題名サブスレショルド領域で動作するPWM駆動アナログ差動増幅回路
著者 ○原田 知親, 大滝 竜矢, 森 隆司, 奥山 澄雄, 松下 浩一 (山形大学大学院理工学研究科)
Pagepp. 87 - 92
Keyword サブスレショルド動作, PWM, アナログ増幅器
Abstract本研究では、従来の極低電圧動作アナログ増幅回路の性能を引き継ぎながら、かつアナログ情報をPWM信号に変換し一部ディジタル的な情報処理を付加する。そして、構成するMOSFET すべてサブスレショルド電流を利用して動作させ、太陽電池やコイン電池1 個などで生成される、限られた低い電源電圧または電力で数年駆動可能な、PWM駆動アナログ差動増幅回路を設計・評価することを目的とする。


セッション Bd1-2 システム実現技術
日時: 2011年8月1日(月) 10:45-12:05
部屋: 311B室
座長: 木村 誠聡 (神奈川工科大学)

Bd1-2-1 (時間: 10:45 - 11:05)
題名脚部トルク補償に基づく二足歩行ロボットの制御
著者 ◎鈴木 宏武 (明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻), 鎌田 弘之 (明治大学理工学部)
Pagepp. 93 - 97
Keyword ZMP, PSO, Biped Walking Robot
AbstractCPG制御やZMP制御等の制御方法はヒューマノイドロボットにおける歩行制御において有効な手法である。しかし問題点としてサーボモータの角度値による制御を用いることが多いためトルク不足になることがある。そこで二足歩行型ロボットに多く用いられるZMPの概念を用いて脚部トルクによりZMPを操作することを考える。これにより重心の状態を安定させ、不足したトルクを補うことを検討する。設計ゲインはより堅牢な歩行できるよう外部からのある程度の衝撃にも耐えられるように設計ゲインを粒子群最適法により求めている。これにより容易により適切な設計ゲインを求めることが可能となる。最後に求められた設計ゲインを使い、実機を用いて動作の検証を行う。

Bd1-2-2 (時間: 11:05 - 11:25)
題名ルートi演算の保持による基数8固定小数点FFT論理回路の丸め誤差低減手法
著者 ○高野 光司, 片山 泰尚 (日本アイ・ビー・エム株式会社 東京基礎研究所)
Pagepp. 98 - 103
Keyword Radix-8 fixed-point FFT, Rounding-error
Abstract本論文では、基数8の固定小数点FFTを構成するバタフライ演算における ルートi演算を保持することによって、FFT論理回路の丸め誤差を低減する手法に関して述べる。基数8のFFT のバタフライ演算にはルートiの回転が複数回含まれるため、回路実装の際には複素乗算が必要となり多くの回路量が必要となる。また、ルートiは無理数であるため計算誤差が発生する。本論文では、このルートiの演算を意図的に保持し、実行の順序を変更することによって回路量を減らすとともに、計算誤差も低減させる。実際に回路を実装し評価した結果より、本手法によって回路の使用効率を下げずに丸め誤差を減少させ回路の動作速度を向上させることが可能となる。

Bd1-2-3 (時間: 11:25 - 11:45)
題名Ant Colony Optimization による有限語長FIRフィルタの設計
著者 ◎堤 俊太郎, 陶山 健仁 (東京電機大学工学部電気電子工学科)
Pagepp. 104 - 109
Keyword FIRフィルタ, Ant Colony Optimization, 整数計画問題
Abstract本研究では,ACO(Ant Colony Optimization)を用いた有限語長FIRフィルタ設計を提案する.FIRフィルタの高速動作には論理回路による実現が有効である.しかし論理回路実現ではフィルタ係数の語長が有限桁に制限されるため,その設計問題は整数計画問題となる.この問題は,同程度の評価関数値をもつ解が多数存在することや,多くの応用において高次数の設計が求められることから,厳密解法での設計は困難である.そこで本研究では,近年,整数計画問題に対するヒューリスティック解法として注目されているACOを用いた設計法を提案する.設計例により,提案法が実用的な時間で設計可能であり,単純丸めによる設計と比較して誤差を低減できることを示す.

Bd1-2-4 (時間: 11:45 - 12:05)
題名近似線形位相IIRフィルタのFPGA実装とその回路規模削減およびディジタル通信システムへの応用
著者 ◎佐々木 和也, 市毛 弘一 (横浜国立大学大学院)
Pagepp. 110 - 115
Keyword FPGA, IIR, SPT
Abstractディジタル通信システムにおいて,ディジタルフィルタは受信側ではダウンコンバージョン,デシメーションによる周波数選択,エイリアシングの除去などに用い高精度である必要があり計算速度や回路規模にも大きく影響する.一般的には直線位相特性を実現するFIRフィルタが用いられるが,優れた特性を実現するフィルタは次数が高く,回路規模が大きくなる.低次数,小規模化に適したIIRフィルタを用いた場合は,位相の非線形性により波形が歪むことが懸念される.本稿では,状態空間法を用いて近似線形位相IIRフィルタを設計しSPT項を用い最適化した上でFPGA上に実装してその特性と動作を確認した.さらにディジタル通信システムに適用し効果を検証した.


セッション Bd1-3 画像処理I
日時: 2011年8月1日(月) 14:40-16:00
部屋: 311B室
座長: 黒崎 正行 (九州工業大学大学院情報工学研究院電子情報工学研究系)

Bd1-3-1 (時間: 14:40 - 15:00)
題名相関検出器に基づく画像の離散ウェーブレット領域における情報埋込法
著者 ○中本 昌由, 藤井 淳広 (広島大学), 棟安 実治 (関西大学), 大野 修一 (広島大学)
Pagepp. 116 - 121
Keyword 電子透かし, 離散ウェーブレット, 情報埋め込み, 相関検出器
Abstract本論文では画像の離散ウェーブレット領域においてビットパターンを埋め込み,相関の絶対値によってビット判定を行う方法を提案する.ここでは,従来のように相関値の符号ではなく,透かしの絶対値によってビットを判定する.すなわち,ビットが 1 の場合は相関値が 0 から遠く(絶対値を大きく)なるように透かしを埋込み,ビットが 0 の場合は無相関になるように(相関の絶対値が小さくなるように)透かし信号を埋込む.計算機シミュレーションでは,Lenna および Mandrill に対して情報埋め込みを行い,従来法に比べて埋め込み情報量が大きく増大することを示す.

Bd1-3-2 (時間: 15:00 - 15:20)
題名携帯端末による情報検出のためのデータ埋め込み・検出法の改良
著者 工藤 天志, 棟安 実治, ◎玉置 公寿, 花田 良子 (関西大学)
Pagepp. 122 - 127
Keyword データ埋め込み, レンズ歪み補正, 黄金分割法, 印刷画像, 電子透かし
Abstract近年,携帯端末のカメラ機能を利用して,広告などに印刷されたQRコードを撮影することで,ユーザーをWebサイトなどへ導くサービスが普及している.しかし,QRコードは非常に印象が強いため,雑誌や広告などの意匠を損なう恐れがある.そのため,画像そのものに情報を埋め込むデータ埋め込み技術が注目され,携帯端末を意識した手法が提案されている. 本稿では,この手法で十分検討されていない,埋め込み符号の構成,埋め込みゲインならびにレンズ歪み補正に関して検討を行い,画質と情報検出率を改善する手法について提案する.また実験結果から,これらの改善法が有効であることを示す.

Bd1-3-3 (時間: 15:20 - 15:40)
題名携帯電話のための掌紋認証アルゴリズムの検討
著者 ◎青山 章一郎, 伊藤 康一, 青木 孝文 (東北大学 大学院情報科学研究科), 太田 陽基 ((株) KDDI研究所)
Pagepp. 128 - 133
Keyword 掌紋, 手のひら, バイオメトリクス, 非接触, 携帯電話
Abstract近年,携帯電話の普及と発達に伴って,ネットワークを介した様々なサービスを携帯電話で受けられるようになってきた.そのため,携帯電話におけるセキュリティ技術,特に個人認証技術がきわめて重要である.これに対して,本稿では,受容性・利便性の高さから,掌紋を用いた個人認証に着目する.携帯電話を用いた非接触型の掌紋認証では,様々な環境下で撮影を行うことや,指の開閉などにより取得した画像が非線形に歪むことが問題となる.本稿では,これらの問題を解決した,新しい携帯電話向けの掌紋認証アルゴリズムを提案する.実際に携帯端末を用いて撮影した手のひら画像を用いた性能評価実験を通して,提案アルゴリズムの有用性を示す.

Bd1-3-4 (時間: 15:40 - 16:00)
題名SOMを導入した形状抽出・認識手法による道路標識認識の検討
著者 ◎小山 将人, 鷲見 育亮 (鳥取環境大学), 植田 拓也 ((株)ギャラクシー), 薮木 登 (津山工業高等専門学校), 築谷 隆雄 (松江工業高等専門学校)
Pagepp. 134 - 139
Keyword SOM, 道路標識, 認識, 輪郭, 欠損
Abstract本論文では、画像中の道路標識の輪郭にある程度欠損が存在する場合でも、標識の輪郭と内部の数字や文字などの対象を認識・抽出できる手法について検討を行っている。そして、SOMを用いた認識手法(SOM's- SREM)を用いることで、輪郭内部の対象をも認識・抽出して、道路標識を識別できる手法を開発した。実験では、本認識手法を用いることによって、道路標識を識別でき、かつ道路標識の輪郭に有る程度欠損が有る場合でも道路標識認識が可能な手法が実現できたことを確認した。


セッション Bd1-4 [招待講演]次世代映像符号化
日時: 2011年8月1日(月) 16:15-17:30
部屋: 311B室
座長: 久保田 彰 (中央大学理工学部電気電子情報通信工学科)

Bd1-4-1 (時間: 16:15 - 17:30)
題名(招待) 次世代映像符号化規格HEVCの標準化動向
著者 ○関口 俊一 (三菱電機)
Pagepp. 140 - 145
Keyword HEVC, Video Coding, MPEG, ITU-T
AbstractISO/MPEGとITU-T SG16/Q.6が共同で進めている次世代映像符号化標準化プロジェクト"HEVC"(High Efficiency Video Coding)の最新動向を紹介する。HEVCは今後5〜10年のスパンでの進展が見込まれる高品質映像アプリケーションを視野に入れており、現行標準としては最高性能を誇るAVC/H.264の2倍の圧縮性能を目標に、2013年初頭の標準化完了を目指して活動が進められている。本稿では、2011年3月会合までの状況に基づき、HEVCを構成する主要技術と今後の展望について概観する。


セッション C1-2 [招待講演]スーパーコンピュータのシステム検証
日時: 2011年8月1日(月) 10:45-12:00
部屋: 301A室
座長: 浜口 清治 (大阪大学)

C1-2-1 (時間: 10:45 - 12:00)
題名(招待) 大規模インタコネクトシステム検証における現状と課題 −京速コンピュータ「京」のネットワーク検証
著者 吉川 隆英 (富士通研究所), 平本 覚 (富士通CIT), 徳江 貴志 (富士通セミコンダクター), 二ノ宮 大輔, 松井 宣幸, 伊藤 成記, 服部 智 (富士通), 小林 達樹, 稲垣 慶和 (富士通コンピュータテクノロジーズ), 杉山 晃隆 (富士通ITプロダクツ)
Keyword ネットワーク, 試験, 検証, 評価, 障害検出
Abstract京速コンピュータ「京」は約8万ノードを独自のインタコネクトチップで繋げている。 この様な大規模コンピュータシステムを試験・検証・評価するには、大規模環境下で はじめて発生するような問題を、小〜中規模の環境でいかに再現させるかが課題となってくる。そこで、本発表では、この京速コンピュータのインタコネクトチップ検証に着目し、 シミュレータを使った小規模な1〜数ノードの検証および 試作機を使った中規模な数〜数百ノードの検証 の手法概要及びそこで見つかった障害の傾向を述べ、次いで 量産、フィールド展開で見えてきた検証の課題(流出してしまった障害・検出できなかった故障)の概要を報告する。


セッション C1-3 プロセッサ設計
日時: 2011年8月1日(月) 14:45-16:00
部屋: 301A室
座長: 田中 輝明 (三菱電機)

C1-3-1 (時間: 14:45 - 15:10)
題名インライン展開を考慮した低電力量命令セット拡張手法
著者 ◎二宮 祥, 坂主 圭史, 武内 良典, 今井 正治 (大阪大学 大学院情報科学研究科 集積システム設計学講座)
Pagepp. 146 - 151
Keyword 命令セット拡張, インライン展開, ASIP, 低電力量
Abstract組込みシステムアプリケーションが消費する電力量を削減するためには, 各々のアプリケーションに適した,ASIPの命令セット拡張が必要である. アプリケーションの低電力量化にはASIPの命令セット拡張が有効な手段の一つであるが, 従来の命令セット拡張手法はアプリケーションのソフトウェアの最適化アプローチ であるインライン展開までを考慮していない. 本稿では,インライン展開を考慮し, アプリケーションの消費電力量を削減する命令セット拡張手法を提案する. 実験では2つのアプリケーションに対し,従来手法を組み合わせた逐次的手法では 消費電力量が最大29\%,提案手法では消費電力量が最大31\%削減され, 命令セット拡張を行う際,インライン展開を考慮することによってさらなる低電力量化が 可能であることが分かった.

C1-3-2 (時間: 15:10 - 15:35)
題名非同期式AVRプロセッサの設計
著者 ◎熊谷 諒平, 飯塚 成, 松浦 光児, 齋藤 寛 (会津大学)
Pagepp. 152 - 157
Keyword AVR, 非同期式回路, 束データ方式
Abstractローエンドプロセッサが使われるような組み込みシステムでは,低消費電力,あるいは低消費エネルギーが最も重要な設計要求である.本稿では,Atmel社のAVRプロセッサを束データ方式による非同期式回路として設計し,消費電力や消費エネルギーの面における非同期式回路の優位性を示す為に同期式AVRプロセッサと比較を行う.

C1-3-3 (時間: 15:35 - 16:00)
題名動的再構成可能プロセッサにおける回路自動生成の一手法
著者 ◎荒木 統行 (近畿大学大学院 総合理工学研究科), 神戸 尚志 (近畿大学 理工学部電気電子工学科)
Pagepp. 158 - 163
Keyword 動的再構成可能プロセッサ, ンフィギュレーション自動生成, ループ変換, BachC言語
AbstractシステムLSIは大規模/複雑化に加え、柔軟性が求められ、リコンフィギャラブルシステムが注目されている。 本文では、 リコンフィギャラブルシステムにおける重要課題であるループ変換とコンポーネントに対する機能の割り付けと相互配線に着目したコンフィギュレーションの自動生成手法について考 える。


セッション C1-4 DFMと耐故障設計
日時: 2011年8月1日(月) 16:15-17:30
部屋: 301A室
座長: 中武 繁寿 (北九州市立大学 国際環境工学部 情報メディア工学科)

C1-4-1 (時間: 16:15 - 17:05)
題名(招待) DFMの最新動向−半導体歩留り向上のためのレイアウト技術−
著者 ○梶原 誠生, 小林 幸子, 小谷 敏也, 野嶋 茂樹, 姜 帥現 ((株)東芝 デバイスプロセス開発センター)
Pagepp. 164 - 169
Keyword リソグラフィ, DFM, 歩留り, レイアウト修正
Abstract半導体デバイスは微細化が進み設計ルールは22nm世代に突入。リソグラフィ工程ではシリコンウェーハに微細なパターンを転写するが、光学露光の限界に迫ると様々な補正処理を実施してもプロセスばらつきで正確なパターニングの維持が非常に困難となる。特に、歩留り悪化の原因となる箇所(ホットスポット)を改善するため、設計レイアウトを製造容易なパターンに修正するDFM(Design For Manufacturing)技術が必須となる。開発した手法では、露光シミュレーションを実施してホットスポットの発生を高精度に予測し、さらにレイアウト解析によりホットスポット箇所ごとに最適な修正を実現している。本発表ではこれら設計と製造を連携させた取り組みに関して紹介する。

C1-4-2 (時間: 17:05 - 17:30)
題名スタンダードセルベースASICにおける多重化フリップフロップのソフトエラー耐性の評価
著者 ◎増田 政基, 岡田 翔伍, 山本 亮輔 (京都工芸繊維大学工芸科学研究科), 古田 潤 (京都大学情報学研究科), 小林 和淑 (京都工芸繊維大学工芸科学研究科/JST, CREST), 小野寺 秀俊 (京都大学情報学研究科/JST, CREST)
Pagepp. 170 - 175
Keyword 集積回路, ソフトエラー, 冗長化フリップフロップ, MCU
Abstract集積回路の微細化にともない,サーバ系CPUなどでソフトエラー対策は必須となっている。本稿では,0.18 μmプロセスにて冗長化FFのBCDMR FFの評価を行なう。1 μs以下のSETパルスによるエラーを除去するための遅延素子を挿入すると,レイアウト面積・消費電力ともにD-FFの6倍以上となった。MCUによる冗長化FFのエラー耐性についても評価を行った。0.18 μmプロセスでは無視できる程度のエラー率であるが、65 nmにスケーリングすることで、そのエラー耐性がMCUによりエラー耐性を持たないD-FFの数十分の一と大きく低下することを明らかにした。微細化プロセスにおいては冗長化FFの回路構造のみならず、レイアウト構造もエラー耐性に大きく影響する。


セッション D1-1 最適化とその応用
日時: 2011年8月1日(月) 9:30-10:30
部屋: 301B室
座長: 山口 真之介 (九州工業大学 情報工学部)

D1-1-1 (時間: 9:30 - 10:00)
題名確率的拘束を有する確率ハイブリッドシステムのモデル予測制御
著者 ◎小林 孝一, 間藤 光一朗, 平石 邦彦 (北陸先端科学技術大学院大学)
Pagepp. 176 - 181
Keyword 確率ハイブリッドシステム, モデル予測制御
Abstract確率ハイブリッドシステム(SHS)は通信ネットワークや遺伝子ネットワークのモデルとして知られており,解析や制御問題を考えることは重要である.本論文では,決定性の連続ダイナミクスをもつ SHS に対し,確率的拘束付きモデル予測制御問題の解法を提案する.本論文で考える確率的拘束とは,与えられている危険連続状態に到達する確率がある値以下という拘束である.提案する解法では,オフラインで危険連続状態に到達する連続状態,連続入力を列挙し,確率的拘束を満足する拘束条件を求める.オンラインでは,得られる拘束を課した混合整数二次計画問題を解くことで,最適制御入力を生成する.提案手法は,確率的拘束をもつ制御の解法として有用である.

D1-1-2 (時間: 10:00 - 10:30)
題名自律分散型スマートグリッドにおける電力自給率向上のための最適電力ルーティング手法
著者 ◎加藤 晋也, 谷口 一徹, 榊原 一紀, 福井 正博 (立命館大学)
Pagepp. 182 - 187
Keyword 自律分散型スマートグリッド, 電力ルーティング
Abstract自律分散型スマートグリッドとは, 太陽光パネルと蓄電設備を持つ複数の需要家から構成されるコミュニティ内で電力融通を行い, 発電された再生可能エネルギーの有効活用を目的とした電力ネットワークである. 再生可能エネルギーの有効活用を実現するためには, 送電時の電力損失などを考慮した電力ルーティングの最適化が重要である. 本研究では, 自律分散型スマートグリッドにおける電力ルーティング最適化手法について提案する. 提案手法により, コミュニティ内で発電された再生可能エネルギーがコミュニティ内で無駄なく使用され, そのコミュニティ全体の電力自給率向上にもつながる. 本研究では, あらかじめ与えられた各需要家の発電パターンや消費パターンから電力自給率が最大となる電力ルーティング手法について提案する.


セッション D1-2 ヒューリスティックス
日時: 2011年8月1日(月) 11:00-12:00
部屋: 301B室
座長: 大澤 新吾 (群馬大学 大学院 情報工学専攻)

D1-2-1 (時間: 11:00 - 11:30)
題名カンファレンスプログラム編成のための局所探索法の改良
著者 上原 康史 (広島大学大学院工学研究科), ○田岡 智志, 渡邉 敏正 (広島大学大学院工学研究院)
Pagepp. 188 - 193
Keyword 組合せ最適化問題, 発見的解法, 自動編成
Abstractカンファレンスとは学術的な研究発表会や国際会議などの総称であり,実施まで に多くのプロセスを経る.その際,数十件から数千件の投稿論文を扱うため,セッ ションの編成にも多くの労力と時間がかかる.セッション編成は,組合せ的な制 約条件(同じ時間帯での著者・座長の重複の禁止等)を満たしつつ評価値を最適 化する組合せ最適化問題の一種であり, NP-困難であることが知られている. 筆者らは,組合せ最適化問題に対する発見的解法として知られている局所探索 法(Local Search)に着目した解法を提案した. 本稿では, その解法の改良およびアニーリング法(Simulated Annealing)を用いた解法を提案し,計算機実験によりそれらの有用性を示す.

D1-2-2 (時間: 11:30 - 12:00)
題名確率的頂点容量を持つフローネットワークのコスト付き頂点容量割り当て問題の発見的解法
著者 大和 秀彰 (広島大学大学院工学研究科), ○田岡 智志, 渡邉 敏正 (広島大学大学院工学研究院)
Pagepp. 194 - 199
Keyword 組合せ最適化問題, 発見的解法
Abstract確率フローネットワークの頂点容量割り当て問題を次のように定義する: 2つの頂点sとtが指定された辺の容量が無限大で頂点の容量が有限の整数 値を取る確率フローネットワークG,整数値dおよび0 < ρ < 1なる実数ρ が与えられたとき,Gを頑丈にするために各頂点に容量の最大値を割り当 て,かつ頂点容量の総和を最小化する.ただし,Gが頑丈とはs, t間のフ ローの値をd以上にできる確率がρ以上となることである.さらに,コス ト付き頂点容量割り当て問題は,各頂点にその容量を1増やすのにかかる コストが与えられたとき,コスト総和を最小化する頂点容量割り当て問題 である.本稿では,1 つの頂点が故障した場合(最大容量が0 になる)にお けるコスト付き頂点容量割り当て問題に対する発見的解法を提案し,計算 機実験によりその性能を示す.


セッション D1-3 [招待講演]匿名性とプライバシの数理的な定式化と法律への適用
日時: 2011年8月1日(月) 15:00-16:00
部屋: 301B室
座長: 河辺 義信 (愛知工業大学 情報科学部)

D1-3-1 (時間: 15:00 - 16:00)
題名(招待) 匿名性とプライバシの数理的な定式化と法律への適用
著者 ○真野 健 (NTT)
Pagepp. 200 - 205
Keyword 匿名性, プライバシ, 数理的技法, 法律
Abstract匿名性・プライバシの数理的な技法と,その学際的応用について解説する.まず,匿名性・プライバシ定式化とその検証の方法論について紹介する.知識論理と呼ばれる論理体系を利用して数理的に定式化することにより,匿名性とプライバシの双対性が明らかとなる.またそれを,法的な文脈で利用することについて紹介する.数理的に定式化したプライバシと,法的概念としてのプライバシとの比較によって見出される同定可能性の問題と,その解決について述べる.


セッション D1-4 [招待講演]スーパーコン:高校生・高専生のスパコンコンテスト
日時: 2011年8月1日(月) 16:15-17:15
部屋: 301B室
座長: 相田 慎 (豊橋技術科学大学工学研究科 情報・知能工学系)

D1-4-1 (時間: 16:15 - 17:15)
題名(招待) スーパーコン:高校生・高専生のスパコンコンテスト
著者 ○渡辺 治 (東京工業大学)
Pagepp. 206 - 211
Keyword スパコン, 高校生・高専生, プログラミング・コンテスト
Abstractスーパーコンは高校生・高専生を対象とした,スパコンを使ったプログラミングコンテストです.このスーパーコンについて,その概要,特色,最近の課題などを紹介します.


セッション SP 特別招待講演
日時: 2011年8月1日(月) 13:30-14:30
部屋: 国際会議場 地下1階「イベントホール」
座長: 山田 晃久 (シャープ株式会社)

SP-1 (時間: 13:30 - 14:30)
題名(招待) 水と気候変動と地球環境問題
著者 沖 大幹 (東京大学)


2011年8月2日(火)

セッション A2-1 デバイスモデリング
日時: 2011年8月2日(火) 9:30-10:30
部屋: 405室
座長: 黒川 敦 (弘前大学)

A2-1-1 (時間: 9:30 - 10:00)
題名設計段階での電流密度解析によりパワートランジスタ電流集中起因の破壊箇所を推定する方法
著者 ○大谷 一幸 (三洋LSIデザイン・システムソフト株式会社), 山崎 俊裕, 島田 利一 (三洋半導体株式会社)
Pagepp. 212 - 217
Keyword パワートランジスタ, 伝熱解析, 電流密度解析
Abstractユーザの外部端子の条件外接続によっては,パワートランジスタに大電流が流れる条件がある.パワートランジスタのレイアウトに起因して,電流値が一定値を超えると,電流起因の発熱によってパワートランジスタの配線が破壊される.これを回避するために,一般的方法として電流集中が予想されるレイアウト箇所を,経験則に基づき大きくすることが多い.しかし,対策が充分でない場合は,試作段階で破壊し再設計しなければならなくなる.逆に対策が過剰の場合,破壊はしないがチップ面積が大きくなりチップコストの増大を招く.対策が不足しても過剰であっても,コストアップの要因となるため,最適な形状のレイアウト設計が必要である.本論文では,パワートランジスタのレイアウト設計段階で,電流集中起因の破壊を推定する方法を提案する.伝熱解析を行わず,配線とトランジスタの簡易モデルを用いた電流解析のみで破壊箇所を推定できるので,解析時間と設計コストを抑えることができる.設計段階で使用するにはリーズナブルな方法である.

A2-1-2 (時間: 10:00 - 10:30)
題名無線給電システム用小型受電デバイスの検討
著者 ◎篠田 博史, 寺田 崇秀, 原 和規, 山本 敬亮 (株式会社日立製作所 中央研究所)
Pagepp. 218 - 223
Keyword 無線給電, 受電デバイス, カプラ, 整流回路, 表面波
Abstract無線給電システムを実現する一方式である表面波伝送は,設置自由度が高く,広範囲な給電可能領域が得られるという特長がある。本報告では,本方式を用いた移動体への連続給電で重要な受電デバイスの小型軽量化を検討した。受電回路との一体化が可能で,2つの結合素子間の容量を利用し共振周波数を低減できるマルチモード平面カプラを提案し,試作したカプラと受電回路を用いて無線給電による移動体の連続動作を確認した。


セッション A2-2 回路の数値解析
日時: 2011年8月2日(火) 10:45-12:00
部屋: 405室
座長: 丹治 裕一 (香川大学)

A2-2-1 (時間: 10:45 - 11:10)
題名SPICEを用いたデバイス基板の遠赤外線加熱工程の温度予測手法
著者 ○中林 啓司, 小篠 隆宏 (ケイレックス・テクノロジー株式会社)
Pagepp. 224 - 229
Keyword SPICE, infrared heating process
Abstractデバイス基板製造の加熱工程では遠赤外線ヒーター型の加熱炉が使われる. 我々は加熱炉内の熱輻射を主体する熱現象を熱等価回路としてモデル化し、SPICEを用いて解析することにより被加熱物の温度分布を予測する熱シミュレーション手法を提案する. 従来の熱伝導方程式を数値計算で直接解く手法との比較評価を行い、提案手法が有効且つ計算効率をもつことを明らかにした.

A2-2-2 (時間: 11:10 - 11:35)
題名Transient Analysis and Pulse Behavior of Parallel-Coupled Stepped-Impedance-Resonator Bandpass Filters
著者 ○Kazuhito Murakami (Computing Center, Kinki University)
Pagepp. 230 - 235
Keyword Transient analysis, Bandpass filters, Stepped impedance resonator
AbstractThis paper presents the modified central difference method incorporating systematic analysis model. The transient pulse behavior of multi-section coupled stepped impedance resonators is represented. For the parallel-coupled stepped-impedance-resonator BPF and its equivalent circuit, the mechanism of the circuit operation is analyzed, and represented by dynamic expression. The numerical results of both the time and frequency domain responses for the coupled double stepped-impedance-resonator BPF is given to verify this simulation method.

A2-2-3 (時間: 11:35 - 12:00)
題名DC Analysis of Piecewise-Linear Circuits Using Separable Programming
著者 ◎Hiroyuki Kato, Kiyotaka Yamamura (Chuo University)
Pagepp. 236 - 241
Keyword nonlinear circuit, circuit simulation, DC analysis, mathematical programming
Abstract可分計画法は1963年にC. E. Millerにより提案されたある種の制約条件付き非線形計画問題に対する近似解法で,可分計画問題を線形計画問題(に近い問題)に近似的に定式化し,これをシンプレックス法(の修正版)で解く方法である.この方法に対しては1960年代に多くの研究が行われ,可分計画法のプログラムは大抵の科学計算用サブルーチン・パッケージの一部になっていたが,近年ではほとんど使われていない. 本論文では,可分計画法のアイデアを用いた区分的線形回路の新しい直流解析法を提案する. 提案手法ではまず,区分的線形回路を記述する方程式を等価な“線形式に近い式”に変換し,これを制約条件とする“線形計画問題に近い問題”を考える.このような準線形計画問題は,通常のシンプレックス法にrestricted-basis entry ruleと呼ばれる特殊な基底の選択法を導入した修正シンプレックス法で解くことができる. 提案手法は素子特性に依存することなく大域的収束性をもつ.また簡単な拡張によりすべての解を求めることも可能である.また数理計画法のアルゴリズムをメインフレームとして非線形回路の解析を行う研究はこれまでほとんどなく,今後数理計画法の分野の様々な手法を導入することにより,いろいろな方向に発展させることが可能であると期待される.


セッション A2-3 非線形回路解析
日時: 2011年8月2日(火) 13:30-14:45
部屋: 405室
座長: 坪根 正 (長岡技術科学大学)

A2-3-1 (時間: 13:30 - 13:55)
題名最適状態外におけるE級増幅器の動作
著者 ◎永島 和治, 関屋 大雄 (千葉大学大学院融合科学研究科)
Pagepp. 242 - 247
Keyword E級増幅器
Abstract本論文では,最適状態外におけるE級増幅器の動作解析を行う.様々な設計仕様に対応したE級増幅器の動作解析を行うために,区分線形で表現された常微分方程式を解くことにより出力電力,電力変換効率を解析的に表現する.回路実験を行うことにより,解析結果の妥当性を示す.

A2-3-2 (時間: 13:55 - 14:20)
題名Error Evaluation of Circuit Analysis Method using Haar Wavelet Transform
著者 ○Seiichiro Moro, Tatsuyuki Shoji (University of Fukui)
Pagepp. 248 - 253
Keyword 回路解析, ウェーブレット変換, 誤差, 多重解像度解析
AbstractRecently, much attention have been paid to the methods for circuit analysis using wavelet transform. In particular, we have proposed the method which can choose the resolution of the wavelet adaptively. This method can fully bring out the orthogonal and the multiresolution properties of the wavelet, and the efficiency of the calculation can be improved. In this paper, we precisely evaluate the accuracy of the adaptive resolution method to analyze the circuit using wavelet transform by comparing the conventional time marching methods. From the results, we show that the proposed method is suitable for analyses of the power electronics circuits and the hybrid dynamical systems.

A2-3-3 (時間: 14:20 - 14:45)
題名Push-Pull Class-EM Power Amplifier
著者 ◎Xiuqin Wei, Hiroo Sekiya, Shingo Kuroiwa (Graduate School of Advanced Integration Science, Chiba University)
Pagepp. 254 - 259
Keyword Class-E_M power amplifier, push-pull
AbstractThis paper presents a novel class-E_M power amplifier for low harmonic contents and high output power. In the proposed class-E_M power amplifier, two class-E_M power amplifiers are connected in parallel at the output filter. By applying the push-pull configuration, the proposed class-E_M power amplifier obtains the extremely low total harmonic distortion (THD) and four times higher output power than the conventional single class-E_M power amplifier. Moreover, design curves of the proposed class E_M power amplifier are given for achieving the smooth switching conditions. For obtaining the design curves, we consider the MOSFET drain-tosource nonlinear parasitic capacitances. It shows that the PSpice-simulation waveforms agree with numerical predictions quantitatively which validates the effectiveness of the proposed class-E_M power amplifier and accuracy of the design curves given in this paper.


セッション A2-4 [特別セッション]結合力学系のダイナミクスと応用
日時: 2011年8月2日(火) 15:00-16:45
部屋: 405室
座長: 藤本 憲市 (徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)

A2-4-1 (時間: 15:00 - 15:45)
題名(招待) 結合硬発振回路における不変閉曲線の分岐について
著者 ○小室 元政 (帝京科学大学)
Pagepp. 260 - 265
Keyword 準周期振動, 不変閉曲線, 結合硬発振回路
Abstract無理数比の周波数の合成である準周期振動は、離散力学系では相空間上の不変閉曲線(ICC)として存在する。ICCは、“サドルノード”、“周期倍”、“ニイマルク・サッカー”など、連続力学系の周期軌道と、一見よく似た分岐を起こすが、周期軌道が局所分岐であるのに対して、ICCの分岐は安定/不安定多様体のコネクシ ョン変化を伴う大域分岐である。講演では、結合硬発振回路を例に、ICCの発生・消滅機構を大域分岐の視点から説明する。

A2-4-2 (時間: 15:45 - 16:05)
題名3個の硬発振器の環状結合系における 包絡線が3相同期した進行波解の一考察
著者 ◎神山 恭平 (明治大学理工学部), 小室 元政 (帝京科学大学医療科学部), 遠藤 哲郎 (明治大学理工学部)
Pagepp. 266 - 269
Keyword 環状結合系, 進行波解, 硬発振器, ヘテロクリニック分岐
Abstract発振器の結合系におけるパルス波動伝搬現象は,近年注目されている研究テーマの1つである.筆者らは6個の硬発振器の環状結合系における定在波(周期)解や進行波(準周期)解の分岐を研究してきた. 本研究では系をより単純化した3個の硬発振器の環状結合系における発振器の発振状態が右回りまたは左回りに伝搬していく進行波解の発生消滅のメカニズムを明らかにしていく.

A2-4-3 (時間: 16:05 - 16:25)
題名リング型CAを用いた音声データの合成について
著者 ◎鈴木 崇義, 斎藤 利通 (法政大学)
Pagepp. 270 - 273
Keyword リング型CA, 音声データ
Abstractリング型CAを用いた音声データの合成について考察する。CAのセルの結合方法を従来のラダー型からリング型に変更する。この手法により音声データを圧縮することが可能となる。数値実験を行い、初期値の決定とルール対の探索を行う。

A2-4-4 (時間: 16:25 - 16:45)
題名動的画像領域分割のための可塑的結合を有する離散時間ニューロン結合系
著者 ○藤本 憲市 (徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部), 小林 美緒 (阿南工業高等専門学校 制御情報工学科), 吉永 哲哉 (徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
Pagepp. 274 - 278
Keyword ニューロン結合系, 可塑的結合, 動的画像領域分割, 振動応答, 離散時間力学系
Abstract著者らは,静止画像における連結画像領域を動的に分割するためのニューロン結合系を提案している.ニューロン間の結合などを入力画像に応じて適切に設定することで動的画像領域分割が実行されるが,従来の提案システムは,不均一な濃度値を持つ画像領域の分割には未対応であった.本論文では,不均一な濃度値を持つ画像領域にも対応できる動的画像領域分割システムを提案した.提案システムは,可塑的結合を有するニューロンからなる結合系であり,ニューロン間の結合はポスタリゼーションシステムの離散時間ダイナミクスに基づいて可塑的に形成される.また,人工的に作成した白黒濃淡画像に対する数値実験により提案システムの動作を検証した.


セッション Ba2-1 ミックストシグナル
日時: 2011年8月2日(火) 9:15-10:30
部屋: 311A室
座長: 寺田 晋也 (熊本高等専門学校 制御情報システム工学科)

Ba2-1-1 (時間: 9:15 - 9:40)
題名任意波形発生器を用いた低歪み2トーン信号発生技術
著者 ◎加藤 啓介, 若林 和行, 山田 貴文, 小林 春夫 (群馬大学), 小林 修 (STARC), 新津 葵一 (群馬大学)
Pagepp. 279 - 284
Keyword LSI試験, 2トーン信号, 低歪み, IMD3, 通信用デバイス
Abstract通信用デバイスのテストのために任意波形発生器を用いて低歪み2トーン信号を発生するアルゴリズムを開発し、実測で検証した。

Ba2-1-2 (時間: 9:40 - 10:05)
題名多段増幅を用いた広ダイナミックレンジ光飛行時間距離計測回路
著者 ◎小川 広記 (静岡大学 創造科学技術大学院), 川人 祥二 (静岡大学 電子工学研究所)
Pagepp. 285 - 288
Keyword 光飛行時間距離計測, 多段増幅, 多点計測
Abstract多段増幅回路は,複数の増幅器を多段に接続して計測信号を同相増幅させる回路である.これにより,1個の増幅器では検出することが難しい微弱な計測信号でも高段増幅器になるにしたがってより大きく増幅させることができるため,計測信号に対して広Dレンジ化を図ることができる。また,多段増幅回路の各増幅器の出力に比較器を置くと,計測信号を多点計測することができる.これを光飛行時間距離計測回路に用いると,1度の計測で複数の計測時間を取得することが可能である.さらに,取得した複数の計測時間から計測回路内で発生する遅延時間を推定して時間補正処理をすることで,広Dレンジかつ高精度な光飛行時間距離計測が可能である.

Ba2-1-3 (時間: 10:05 - 10:30)
題名電束密度と磁束密度に結合があるメタマテリアル線路の等価回路表現
著者 ◎川崎 佳裕, 関根 敏和, 高橋 康宏 (岐阜大学)
Pagepp. 289 - 293
Keyword メタマテリアル, 伝送線路, マクスウェルの方程式, 等価回路
Abstractマクスウェルの方程式の構成方程式において,電束密度と磁束密度の間に結合があり,かつ,線形,等方,非分散の場合の1次元の伝搬について,伝送線路に類推し,その微小区間の等価回路表現を求めている.更に,このような構成がメタマテリアルを媒質とする伝送線路で実現可能かを検討するため,等価回路を基に,その相反性,受動性,無損失性を調べている.その結果,等価回路は一般には非相反回路となること,電界と磁界の結合に対称性がある場合には相反回路になること,その結合の強さを表す結合係数が虚数の場合には無損失回路となることを示している.


セッション Ba2-2 低電圧・低消費電力回路
日時: 2011年8月2日(火) 10:45-11:55
部屋: 311A室
座長: 寺田 崇秀 (日立製作所中央研究所)

Ba2-2-1 (時間: 10:45 - 11:10)
題名デューティ比制御によるキャパシタの高効率断熱充電
著者 ◎本田 良太 (金沢大学大学院自然科学研究科), 中田 俊司 (NTTマイクロシステムインテグレーション研究所), 牧野 博之 (大阪工業大学情報科学部), 森村 浩季, 武藤 伸一郎 (NTTマイクロシステムインテグレーション研究所), 深山 正幸, 松田 吉雄 (金沢大学大学院自然科学研究科)
Pagepp. 294 - 299
Keyword 低消費電力化, 断熱動作, デューティ制御, DC-DCコンバータ
Abstract近年風力発電や太陽光発電のエネルギーをキャパシタへと蓄電する 技術が注目されている.キャパシタへの充電技術としてステップ電 圧を利用する断熱充電が,エネルギーの削減に有効なことが知られ ている.本論文では,DC-DC降圧回路においてスイッチのデューティ 比を制御し,キャパシタを段階的に充電するステップ電圧断熱充電 回路技術を提案する.提案技術では、Nステップ充電することで、 消費電力を通常の充電と比べて1/Nに削減することができる.SPICE シミュレーションおよびブレッドボードの実験で、消費電力が理論 通り削減できる事を実証し,提案する回路技術の有効性を示した.

Ba2-2-2 (時間: 11:10 - 11:35)
題名センサネットワークのための極低消費電力ウェイクアップ受信器
著者 ◎高萩 和宏 (北海道大学/量子集積エレクトロニクス研究センター), 松下 拓道 (北海道大学/大学院情報科学研究科), 飯田 智貴 (北海道大学/量子集積エレクトロニクス研究センター), 池辺 将之, 雨宮 好仁 (北海道大学/大学院情報科学研究科), 佐野 栄一 (北海道大学/量子集積エレクトロニクス研究センター)
Pagepp. 300 - 304
Keyword 低消費電力, 検波器, サブスレッショルド
Abstract我々はサブスレッショルドCMOS回路で構成されたウェイクアップ受信器を開発した。提案した受信器は、直接検波器、高利得ベースバンド増幅器、クロック・データ・リカバリ(CDR)回路及びウェイクアップ信号認識回路を含んでいる。サブスレッショルド領域におけるドレイン電流の非線形性を利用して、RFキャリアを用いたベースバンド信号を効果的に検波する。また、オフセットキャンセルの方法としてサブスレッショルド領域によるバイアス回路を用いて、100dB以上の利得を持つ高利得ベースバンド増幅器を設計した。PWM CDRは受信器の消費電力を大きく削減した。これら検波器と増幅器を0.18umCMOSプロセスにより設計・試作し、感度-47.2dBm及び1.5Vでの消費電力6.8uWを達成した。

Ba2-2-3 (時間: 11:35 - 11:55)
題名A Basic Study of Digital Control Power Supply with Communication Ability
著者 ◎Alsuwailem Naif (Graduate School of Electrical & Electronic Engineering, Kanagawa Institute of Technology), 斎藤 靖弘 (神奈川工科大学 電気電子工学専攻), 小室 貴紀 (神奈川工科大学 電気電子情報工学科)
Pagepp. 305 - 310
Keyword power supply, digital control, sigma-delta modulation, communication
AbstractIn this paper, we propose the new digital control power supply technology, the cost of which is comparable with that of Analog PWM technology, widely used in current power supply market. Since the new technology is based on delta-sigma modulation, we discuss about the problem caused by Limit Cycle Oscillation to avoid the undesirable effect of EMI. In addition, we point out the possibility of digital communication between power supply and load such as CPU with this technology. This communication ability must justify using digital controlled technologies in power supply.


セッション Ba2-3 [招待講演]スイッチング電源システムの基礎と応用
日時: 2011年8月2日(火) 13:30-14:45
部屋: 311A室
座長: 堀田 正生 (東京都市大学)

Ba2-3-1 (時間: 13:30 - 14:45)
題名(招待) スイッチング電源システムの基礎と応用
著者 二宮 保 (長崎大学)
Keyword パワーエレクトロニクス, スイッチング電源
Abstract省エネルギー化や低炭素化社会が叫ばれている昨今、パワーエレクトロニクスによる効果が期待されている。なかでも大部分の電気電子情報機器の駆動電力供給を支えているスイッチング電源への高効率化の期待が大きい。本講演では、スイッチング電源について、回路方式、回路解析(状態平均化法)、動特性(不安定現象)などの基本特性をまとめて示す。次いで、各種応用事例、新しい応用の話題紹介(高電圧直流給電、ワンチップ電源)を行う。


セッション Ba2-4 電源
日時: 2011年8月2日(火) 15:00-16:15
部屋: 311A室
座長: 傘 昊 (東京都市大学 知識工学部 情報ネットワーク工学科)

Ba2-4-1 (時間: 15:00 - 15:25)
題名チャージポンプを用いた単一インダクタ正負2出力DC-DCコンバータの制御回路の提案
著者 高橋 健司, 横尾 甫, 美和 俊介 (群馬大学), ◎岩瀬 浩之, 高井 伸和, 小林 春夫 (群馬大学大学院), 小田口 貴宏, 高山 茂樹, 大森 武志, 中西 功, 根本 謙治 (AKMテクノロジー), 松田 順一 (旭化成パワーデバイス)
Pagepp. 311 - 316
Keyword DC-DC converter, charge pump, free wheel, SIDO, PCCM
Abstract本論文では1つのインダクタで正負多出力(SIMO)を実現するDC-DC Converterの構成方法とその制御回路を提案している。 SIMOの実現にはチャージポンプ方式とfree wheel スイッチングを応用している。 クロスレギュレーションの改善のためみ疑似連続モードを用いている。 電圧制御回路を提案し、シミュレーションにより動作を確認している。 シミュレーションの結果、収束性、クロスレギュレーションなど良い結果を得ている。

Ba2-4-2 (時間: 15:25 - 15:50)
題名スイッチングパワーコンバータの非線形動作と安定化
著者 ◎松本 貴暁, 斎藤 利通 (法政大学)
Pagepp. 317 - 321
Keyword スイッチング電源, 安定化
Abstract並列化DC/DCブーストコンバータの非線形動作のシミュレーションを行った。 このとき、リアクタンスの抵抗を考慮し、区分定数近似を用いないモデルを使用した。 回路実装を行い現象を確認した。 また、所望の動作の安定化をおこなった。 しきい値制御を時間制御に変更して、安定化をおこなった。

Ba2-4-3 (時間: 15:50 - 16:15)
題名降圧比を可変できるスイッチトキャパシタプログラマブルコンバータ
著者 ◎寺田 晋也 (熊本高等専門学校), 平湯 宗人 (崇城大学), 江口 啓 (静岡大学), 大田 一郎 (熊本高等専門学校)
Pagepp. 322 - 327
Keyword スイッチトキャパシタ回路, DC-DCコンバータ, プログラマブル
Abstractスイッチトキャパシタ(SC)コンバータは,スイッチとキャパシタを使用して,接続を変更することにより電圧変換を行う回路である.SCコンバータは,磁性材料を使用しない,IC化が実現可能などの長所をもつ. 本論文では,今まで提案されている直並列形SC,フィボナッチ形SC,デジタル選択方式SCおよび今回新しく提案するトリボナッチ形SCを同一回路で構成し,クロックパターンの変更のみで,降圧比をプログラマブルに可変できるSC DC-DCコンバータを提案する.提案する回路は,直並列形SCと同じ素子数で構成し,従来SCより広範囲に出力電圧をプログラマブルに可変することができる.提案回路の有効性はSPICEシミュレーションによって確認する.


セッション Bd2-1 基礎信号処理
日時: 2011年8月2日(火) 9:10-10:30
部屋: 311B室
座長: 相川 直幸 (東京理科大学)

Bd2-1-1 (時間: 9:10 - 9:30)
題名微分フィルタを用いた同定における入力信号に対する条件
著者 ○立花 康夫 (神奈川工科大学 情報メディア学科)
Pagepp. 328 - 331
Keyword 微分フィルタ, FIRフィルタ, 同定, 伝達関数, 線形位相
Abstractこの論文は微分フィルタを用いた伝達関数の同定法における対象系への試験入力信号が満たすべき条件を与える。この論文では、対象系をrMax次の伝達関数で表現されるとしてそのパラメータを推定するためには入力信号に2*rMax個以上の相異なる周波数成分が含まれることが必要条件であることを示す。また、十分条件が満たされる場合についても検討している。提案する条件につき、数値例によりその妥当性を示す。

Bd2-1-2 (時間: 9:30 - 9:50)
題名2段階のPSO探索によるCSD係数FIRフィルタの設計
著者 ◎小中原 孝, 陶山 健仁 (東京電機大学工学部電気電子工学科)
Pagepp. 332 - 337
Keyword FIRフィルタ, CSD表現, 2段階PSO
Abstract本研究では,2段階のPSO探索によるCSD係数FIRフィルタ設計について提案する.FIRフィルタを論理回路に実装する場合,回路規模削減にはCSD表現が有効であるが,厳密解法ではその設計は膨大な設計時間を要する.一方,近年,高速に解の候補を列挙可能であるPSOが注目されている.しかし,高次数フィルタ設計の場合,PSOでは初期値付近に解が停留する傾向がみられる.そこで,本研究では,解の停留を回避するために2段階のPSO探索による設計を行う.設計例によりその有効性を示す.

Bd2-1-3 (時間: 9:50 - 10:10)
題名任意の周波数ゲインをもつくし型フィルタ
著者 ◎杉浦 陽介, 川村 新, 飯國 洋二 (大阪大学大学院基礎工学研究科)
Pagepp. 338 - 343
Keyword くし型フィルタ, 調波信号, IIR, 周波数ゲイン
Abstract本論文では,従来のくし型フィルタのノッチゲインを解析し,その結果から,任意のノッチゲインを与える方法を導出する.まず,従来のくし型フィルタの周波数特性が,1と別のくし型フィルタの周波数特性に分解できることを示す.次に,分解したフィルタに乗算器を一つ追加し,ノッチゲインを一様に調整できるくし型フィルタを導出する.次いで,乗算器を線形位相FIRフィルタで置き換えることにより,ノッチゲインを各周波数で個別に設定する方法を導出する.最後に,提案するくし型フィルタの設計例とその性能評価から,提案法の有効性を確認する.

Bd2-1-4 (時間: 10:10 - 10:30)
題名PSOによる極と零点をパラメータとしてもつIIRフィルタの設計
著者 ◎松本 拓也, 陶山 健仁 (東京電機大学工学部電気電子工学科)
Pagepp. 344 - 349
Keyword IIRフィルタ, 安定性, Particle Swarm Optimization
Abstract本論文では,PSO(Particle Swarm Optimization)を用いて,IIRフィルタの伝達関数の極と零点をパラメータとして直接設計する手法を提案する.提案法は,フィルタ係数から極位置を算出することなく,IIRフィルタの安定性を必要十分条件で保証し,かつ,最大極半径を指定した設計を行う.さらに,PSOに摂動を付加した初期値を与えることで ,最良解への収束速度の向上と,最適解近傍値の取得を目指す.設計例より,提案法の有効性を示す.


セッション Bd2-2 [招待講演]学生向け信号処理チュートリアル
日時: 2011年8月2日(火) 10:45-12:00
部屋: 311B室
座長: 川村 新 (大阪大学 大学院基礎工学研究科 システム創成専攻)

Bd2-2-1 (時間: 10:45 - 12:00)
題名(招待) 学生向け信号処理チュートリアル
著者 ○池原 雅章 (慶応義塾大学)
Pagepp. 350 - 355
Keyword 信号処理, Z変換, フーリエ, マルチレート
Abstract学生向けに信号処理の基礎から最新技術まで平易に解説します。原稿はマルチレートシステムについて記述しましたが、畳み込み、Z変換とフーリエ変換からマルチレートシステムの基本演算子について説明し、理解度に合わせて様々な最新の応用技術についてお話しします。「信号処理って簡単で面白いんだ」と思って頂けるような内容にします。


セッション Bd2-3 画像処理II
日時: 2011年8月2日(火) 13:25-14:45
部屋: 311B室
座長: 伊藤 康一 (東北大学大学院情報科学研究科)

Bd2-3-1 (時間: 13:25 - 13:45)
題名ブロックマッチングを用いた画像修復法の動画像への適用
著者 ◎関 雅弘, 市毛 弘一 (横浜国立大学)
Pagepp. 356 - 360
Keyword 画像処理, 画像修復, ブロックマッチング
Abstract近年では,通常画像に含まれている人やオブジェクトなどの不要な物体を除去し,まるで存在しなかったかのように修復を行う画像修復法が注目されている. しかし,この技術は画像のみに行われ,動画像のついての検討は従来行われていない.画像処理の技術を動画像へと単純に適用しただけでは非常に手間がかかり,またフレーム間によるちらつきが生じてしまう. そこで,本稿ではブロックマッチング法を応用して画像修復法の動画像への適用を行い,シミュレーションによって自然な修復を行うことを確認した.

Bd2-3-2 (時間: 13:45 - 14:05)
題名劣化画像のみを用いた木構造表現されたスタックフィルタの山登り法による設計
著者 ◎鈴木 達也 (関西大学大学院理工学研究科), 花田 良子, 棟安 実治 (関西大学システム理工学部)
Pagepp. 361 - 366
Keyword スタックフィルタ, 山登り法, インパルス性雑音, ROLD統計量

Bd2-3-3 (時間: 14:05 - 14:25)
題名多数決機械の人工画像拡大への適用に関する検討
著者 ◎神田 真宏 (東京都市大学大学院環境情報学研究科), 石井 聡 (神奈川工科大学大学院工学研究科), 木村 誠聡 (神奈川工科大学情報学部情報工学科), 大谷 紀子 (東京都市大学環境情報学部情報メディア学科)
Pagepp. 367 - 370
Keyword 画像補間, 多数決機械, 最近隣補間法
Abstract本論文では,CG等の人工画像に対して鮮明な拡大画像を生成することを目的とした拡大手法を新たに提案する. 新たに提案する方法は,複数の線形機械からなる非線形パターン識別機を用い, その出力の多数決により非線形パターンを認識させる方法であり,これを多数決機械と表記する. 多数決機械により拡大画像の一つ一つの画素に対して適切な値を定め,人工画像の拡大を行う. 多数決機械のパラメータは拡大前の原画像と拡大後の理想画像の組を用い,拡大部の特徴を学習することで決定した. 様々な人工画像で実験し,最近隣補間法と比較を行った結果,MSEの値が最大で1185改善された.

Bd2-3-4 (時間: 14:25 - 14:45)
題名デジタル放送向け DCT に基づく原画解像度推定手法
著者 ◎米原 明男, 福住 哲平, 藤田 玄 (大阪電気通信大学 大学院工学研究科)
Pagepp. 371 - 376
Keyword DCT, 原画解像度, 符号化効率
Abstract近年,デジタル放送の普及に伴い,既存コンテンツの本来持つ解像度(以下原画解像度)が放送や録画で使用される解像度を下回る場合が増えている.このような場合,一般的に既存コンテンツはHD解像度にアップコンバートし,使用する. 原画解像度からアップコンバートした画像のまま符号化を行うと,元の画像にはない冗長な情報も符号化するため,符号化効率の低下を招く恐れがある.またこの冗長な情報の符号・復号処理時間も必要となる. 本稿では,このような原画解像度と放送や録画で使用される解像度に乖離が見られる動画像に対して,DCTに基づいた原画解像度を推定する手法を提案する.


セッション Bd2-4 画像処理III
日時: 2011年8月2日(火) 15:00-16:00
部屋: 311B室
座長: 棟安 実治 (関西大学)

Bd2-4-1 (時間: 15:00 - 15:20)
題名改良した形状情報を用いた混合雑音重畳画像からのエッジ抽出法
著者 ◎石井 聡, 辻 裕之 (神奈川工科大学), 田口 亮 (東京都市大学), 木村 誠聡 (神奈川工科大学)
Pagepp. 377 - 382
Keyword エッジ抽出, 混合雑音, ファジー推論
Abstract画像処理の重要な処理の一つとして,エッジ抽出処理がある.しかしながら,カメラやビデオ等から取得した画像には一般的に撮像素子の熱雑音や伝送経路の影響などでガウス雑音やインパルス雑音が重畳する.雑音が重畳した画像からエッジ情報を抽出した場合,エッジ情報だけでなく雑音成分も抽出してしまい,出力画像は良好であるとは言い難い.この問題を解決する方法として局所領域内を並び替え,並び替えた情報と局所領域の情報を用いて雑音情報と形状情報を取得し,雑音の影響のないエッジを得る方法がある.しかしながら,パラメータは任意の固定値であるため,雑音毎の最適な値であるとは言えない.そこで本稿では画像に重畳したガウス雑音を推測し,形状情報のパラメータを変化させる事で画像内の雑音と形状に合わせたパラメータ設定方法を提案する.提案法は従来法と比べ,画像毎の形状,雑音の変化に対応したエッジ抽出が可能になった事を明らかにする.

Bd2-4-2 (時間: 15:20 - 15:40)
題名構造要素型動的輪郭モデルにおける輪郭抽出精度改善に関する一検討
著者 ◎浦田 悟志, 安川 博 (愛知県立大学大学院情報科学研究科)
Pagepp. 383 - 388
Keyword 輪郭抽出, 動的輪郭モデル, 構造要素, 画像処理
Abstract画像認識・理解技術の実現には,前処理として入力画像から認識対象の輪郭抽出処理が必要である.代表的な輪郭抽出法である動的輪郭モデル(Snakes) は,対象物体の形状に適したパラメータを与えなければならない.さらに,それらのパラメータを物体形状から推測することが困難である.そこで,パラメータ決定が容易である構造要素型動的輪郭モデルが提案された.しかし,自然画像のような背景に濃度値変化がある画像に適していない.本稿では,ソーベルフィルタとヒステリシス閾値を用いた輪郭抽出の改善法を示す.

Bd2-4-3 (時間: 15:40 - 16:00)
題名Haar-Like特徴を用いたクレータ検出器の性能評価について
著者 ◎田名網 敬大, 水見 翔人, 青山 典史, 武田 好明, 鎌田 弘之 (明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻)
Pagepp. 389 - 394
Keyword Haar-Like特徴, AdaBoost, カスケード型検出器
Abstract自律的な画像航行によって月面へのピンポイント着陸を実現するためには,高速かつ高精度な画像処理によりクレータ検出を行い,それに基づく自己位置推定を実現する必要がある.しかし,現在想定している月面探査機は小型であり,高性能なコンピュータは利用できない.そこで,並列処理に優れ,処理自体が簡潔である検出法が必要である. 本研究は,顔検出等で実用化されている,Haar-like特徴を用いたカスケード型AdaBoostベースの検出器について注目し,クレータ検出に対する適性を検討している.これまでの研究では,同検出器によりクレータ検出に成功してきたが,検出器作成に用いた画像は,特定の探査機から得られた画像のみを使用している.そこで本稿では,学習時に「Apollo」の画像と特徴が異なる「かぐや」の画像を用いて検出器を作成し,検出率の検証を行う.


セッション C2-1 低消費電力設計
日時: 2011年8月2日(火) 9:15-10:30
部屋: 301A室
座長: 橋本 浩二 (福岡大学)

C2-1-1 (時間: 9:15 - 9:40)
題名Power Gating技術を搭載したシステムLSIにおける電源起動時間短縮手法
著者 ◎田辺 聡, 中山 耕一, 川崎 健一, 藤澤 久典 (富士通研究所)
Pagepp. 395 - 400
Keyword 電源遮断技術, パワーゲーティング, 電源復帰時間, 電源スイッチ分割段階駆動
Abstract携帯機器向けLSIでは、待機時の電力を削減することを目的として、パワーゲーティング技術が注目を集めている。パワーゲーティング技術では、一度電源遮断された回路の電源を復帰する際、電源ノイズが許容値以下に収まるように電源を復帰させなければならない。本報告では、電源復帰方法として電源スイッチ分割段階駆動方式を挙げ、電源ノイズを許容値に抑える一方で電源復帰時間を最短にする最適設計手法を提案する。65nm CMOSプロセスを使ったシミュレーション結果から、電源ノイズを許容値に抑えた上で、単純な分割段階駆動方式に比べて電源復帰時間を20分の1に短縮できることを示した。実測においても同様の結果が得られることを確認した。

C2-1-2 (時間: 9:40 - 10:05)
題名エネルギー最小化と動作保証を考慮したサブスレッショルド回路の設計指針の検討
著者 ◎川島 潤也, 越智 裕之, 筒井 弘, 佐藤 高史 (京都大学大学院情報学研究科)
Pagepp. 401 - 406
Keyword 低消費電力, サブスレッショルド, 低電圧
Abstract本稿では、サブスレッショルド回路の設計手法の確立を目的として、消費エネルギーと動作の安定性の面からDCT回路を例とした設計指針の検討を行う。安定した動作を実現するためには、正常な動作を保証出来る範囲内で電源電圧を下げる必要がある。この下限の電圧値である最小動作電圧を簡単な回路によって予測し、DCT回路のシミュレーション結果と比較して有用であることを示す。さらに、消費エネルギーの面では、最小動作電圧と消費エネルギーの比較をしながら設計を行うことで、正常な動作を保証しつつエネルギーが最小となる設計を行う方法を提案する。

C2-1-3 (時間: 10:05 - 10:30)
題名領域別回帰分析に基づく高精度・高効率RTL電力マクロモデリング手法
著者 ○谷口 一徹, 森川 敏雄, 冨山 宏之, 福井 正博 (立命館大学)
Pagepp. 407 - 412
Keyword RTL電力マクロモデリング, 電力見積もり, 領域別回帰分析
Abstract本研究では,領域別回帰分析に基づく高精度・高効率RTL電力マクロモデリング手法を提案する.本研究のベースとなる推定式ベースRTL電力マクロモデリングは,あらかじめ与えられたRTL回路への入力信号群とそれぞれの消費電力値から,与えられた電力推定式のパラメタを回帰分析により求め,その推定式を元に新たに与えられた入力信号に対する消費電力を推定する手法であり,効率的な電力推定が可能である.提案する領域別回帰分析に基づくRTL電力マクロモデリングでは,あらかじめ与えられた全ての実験データに対して回帰分析を行わず,入力信号特性で指定した領域別に回帰分析を行うことで推定精度の向上を実現している.


セッション C2-2 物理設計
日時: 2011年8月2日(火) 10:45-12:00
部屋: 301A室
座長: 児玉 親亮 (東芝メモリシステムズ)

C2-2-1 (時間: 10:45 - 11:10)
題名3D-LSIフロアプランの表現方法:Merged FT Squeeze
著者 ◎林 龍太朗 (東京農工大学 工学府 電気電子工学専攻), 太田 秀典 (東京農工大学 工学部 情報工学科), 藤吉 邦洋 (東京農工大学 工学府 電気電子工学専攻)
Pagepp. 413 - 418
Keyword FT Squeeze, 矩形分割, 3D-LSI, フロアプラン, 重矩形分割

C2-2-2 (時間: 11:10 - 11:35)
題名解析的配置を用いた高速対称配置手法
著者 大屋 佑介, ○高島 康裕 (北九州市立大学)
Pagepp. 419 - 424
Keyword 対称配置, 解析的配置, Stable-LSE
Abstract本稿では,解析的配置を利用した高速対称配置手法を提案する.アナログLSI配置設計時に考慮しなければならない制約の一つに対称配置制約がある.これに対し,既存手法では矩形配置表現を利用し,SAによって最適化を実現していた.既存手法は,重なりの無い配置が得られる反面,最適化に多大な時間を必要としていた.そこで本稿では,解析的配置を利用した高速配置手法を提案する.実験により,300素子程度を5秒程度で実現でき,提案手法の有効性を確認した.

C2-2-3 (時間: 11:35 - 12:00)
題名準ニュートン法を用いた自由角度配線手法
著者 ○小平 行秀 (会津大学), 高橋 篤司 (大阪大学)
Pagepp. 425 - 430
Keyword PCB配線, パッケージ配線, 自由角度配線, 準ニュートン法
Abstract近年,回路素子の入出力ピン数の増加によるネット数の増大,回路の動作周波数の増大による設計制約の複雑化などにより,設計規模が人手設計の限界に近付いており,設計期間の短縮のため自動配線ツールの性能向上が求められている.本稿では,自由角度配線問題を非線形計画問題に定式化し,準ニュートン法により,配線を得る手法を提案する.提案手法は,初期配線が与えられたとき,配線と障害物間の間隔制約,2配線間の間隔制約,折れ曲がり角度の上限に関する制約,配線が交差しないための制約を満たしつつ,総配線長や,各配線に与えられた指定長との誤差の総和を最小化する.計算機実験により,提案手法の性能を評価する.


セッション C2-3 システム設計
日時: 2011年8月2日(火) 13:30-14:20
部屋: 301A室
座長: 瀬戸 謙修 (東京都市大学)

C2-3-1 (時間: 13:30 - 13:55)
題名超解像技術におけるセレクタ論理帰着型重み付き加算による再構築処理ハードウェア設計
著者 ◎吉原 弘峰, 柳澤 政生, 戸川 望 (早稲田大学)
Pagepp. 431 - 436
Keyword セレクタ, 再構築, 超解像処理, 重み付き加算
Abstract低コストで 低解像度の画像を高解像度の画像に変換する技術として,注目されている技術が超解像処理である. その中でも,被写体本来の輝度を再現できる再 構築型超解像が注目されている.再構築型超 解像処理では複数の画像を利用するため,再構築処理の計算コストが大きい.一方,扱う画像情報の増加や組み込む機器 の小型・薄型化により,超解像処理を行う専用演算器の小面積化・高速化が求められている.そこで,本稿では再構築型 超解像処理の再構築処理が重み付き加算に帰結できることを利用し,再構築処理にセレクタ論理を組み込むことで,桁上 げ伝搬遅延を削減,超解像処理を効率化する手法を提案する. 算術演算子を用いて設計した従来の重み付き加算器に比べ, 遅延時間は最大23% ,回路面積は最大49% 削減された.

C2-3-2 (時間: 13:55 - 14:20)
題名使用者瞳認識によるディスプレイ電力管理システムのFPGA実装
著者 ◎安藤 智晃, 橋本 浩二, Vasily G. Moshnyaga (福岡大学大学院工学研究科電子情報工学専攻)
Pagepp. 437 - 442
Keyword 瞳認識, 画像処理, FPGA実装, ディスプレイ電力管理
Abstract現在、PC使用による電力エネルギー消費量は世界規模で増加し続けている。本発表では、使用者瞳認識によるPCディスプレイ電力管理システムを提案する。本システムは、使用者の顔および瞳領域検出を行う機能を実現したハードウェア・ロジック、その検出結果によるディスプレイのバックライト照度制御機構とで構成されており、将来的に超低消費電力システムLSI化を目標とするFPGAベースのプロトタイプ・システムを開発した。その際、顔および瞳領域検出にかかる演算量を削減するための新たな七分割矩形フィルタ手法に基づく瞳領域検出処理を検討・実装し、低回路コストかつリアルタイム時間での使用者瞳領域検出をFPGAボード上で実現した。


セッション D2-1 アルゴリズム
日時: 2011年8月2日(火) 9:30-10:30
部屋: 301B室
座長: 中山 慎一 (徳島大学 総合科学部 自然システム学科 数理科学)

D2-1-1 (時間: 9:30 - 10:00)
題名Rectilinear Steiner Arborescence問題の厳密解法における枝刈り規則についてIII
著者 ◎長瀬 将行, 高橋 俊彦 (新潟大学)
Pagepp. 443 - 448
Keyword rectilinear Steiner arborescence, 厳密解法, 分枝限定法
Abstract平面上に原点を含むn個の点集合Sが与えられたとき, 原点を根とし, 原点から各点への経路が最短となるように水平線分,垂直線分で構成された根付木をRectilinear Steiner arborescence(RSA)と呼ぶ.与えられた点集合が第一象限のみにある場合, 総線分長が最小となるRSA(MRSA)を求める効率的な厳密解法RSA/DPがLeung and Congによって提案された.本報告では以前に著者らが提案したRSA/DPの改良版(RSA/DP++)に, 新たな2つの枝刈り規則を導入したアルゴRSA/DP+++提案する. 計算機実験により, n=120の場合, RSA/DP+++の生成部分問題数はRSA/DPの1/3000分の1以下であり, 枝刈りの効果が十分に大きいこと, およびn=400の場合, 2時間程でMRSAを求めることができることを確認した.

D2-1-2 (時間: 10:00 - 10:30)
題名カーネルセットによるセンサー位置特定の一手法
著者 ◎池田 雄紀 (山口大学大学院教育学研究科), 葛 崎偉, 中田 充 (山口大学教育学部)
Pagepp. 449 - 454
Keyword カーネルセット, 疑似カーネルセット, 同形グラフ, 対応節点ペア, 位置特定
Abstractセンサーネットワークはユビキタスネットワーク社会を実現するためのコア技術と言われ,既に医療や防犯等の様々な分野に応用されている.その中でも災害などで既設の通信系が使えない状況で,救助隊員の位置の特定が可能な通信系を確保する技術は重要である.本論文では,閉鎖空間を対象としたセンサー間の通信プロトコルを設計し,それに基づいて得られた通信記録から相対位置グラフを生成する手法を提案する.次に,救助隊員の位置を特定する為に地図のグラフと相対位置グラフとの照合を行うためにカーネルセットという概念を定義し,その近似値である疑似カーネルセットを求めるアルゴリズムを提案する.最後に,疑似カーネルセットに基づいた救助隊員の位置特定の例を示し,提案手法の有効性を確認する.


セッション D2-2 グラフ理論とソフトウェア開発
日時: 2011年8月2日(火) 10:45-12:15
部屋: 301B室
座長: 山中 克久 (岩手大学 工学部 電気電子・情報システム工学科)

D2-2-1 (時間: 10:45 - 11:15)
題名Degree Sequences Related to Degree Set (Extended Abstract)
著者 ○大澤 新吾, 柴田 幸夫 (群馬大学大学院 工学研究科 情報工学専攻)
Pagepp. 455 - 460
Keyword degree set, degree sequence, Diophantine equation, enumeration
AbstractThe degree set of a graph G is the set D consisting of the distinct degrees of vertices in G. The question which sets of positive integers are the degree sets of graphs has been investigated. We propose a basic ploblem. If a degree sequence is given, we immediately obtain a unique degree set. Conversely, if a degree set is given, we wonder whether there is a procedure to obtain graphical degree sequences with the given degree set. In general, there are infinitely many graphs with the given degree set. Even if the order is restricted to the least one, we might find several graphs with the given degree set. Problem: For a given degree set, how many degree sequences with the least order are there?

D2-2-2 (時間: 11:15 - 11:45)
題名2部グラフの細分のキューレイアウトの簡潔な証明法
著者 ○宮内 美樹 (NTT コミュニケーション科学基礎研究所)
Pagepp. 461 - 464
Keyword 2部グラフ, キューレイアウト, 細分点の個数, グラフレイアウト
Abstract2部グラフの細分のキューレイアウトについては,以前に著者が,m頂点,n頂点(m> n)からなる2個の部集合を持つ任意の2部グラフGm,nに対して,各辺が logq n -1個の細分点を持つGm,n の細分のq-キューレイアウトが存在することを示した.本論文では,数字列集合に対する幅優先順序を新たにリカーシブに定義して,さらに簡潔な証明法を示す.

D2-2-3 (時間: 11:45 - 12:15)
題名設計原則に基づくソフトウェア再構成・階層化支援手法
著者 市川 友介, ○相田 慎 (豊橋技術科学大学情報・知能工学系)
Pagepp. 465 - 470
Keyword オブジェクト指向, 設計原則, リファクタリング, グラフクラスタリング
Abstractオブジェクト指向ソフトウェアのクラス群を再構成しついでそれらを階層化することにより、設計原理に基づくソフトウェア構造を実現する手法を提案する。この手法は2 段階からなる。第1 段階では、ソフトウェアをクラス要素(属性、メソッド) をノード、それらのアクセス関係をエッジとするグラフで表現する。さらに、そのグラフにグラフクラスタリングを適用しクラス要素を高凝集・低結合なまとまり(クラス) に再構成する。第2 段階では、再構成されたクラス群を上位層と下位層に分け、上位層から直接利用されるクラスに対し、インタフェースと実装の分離を適用し、階層構造を導入する。提案手法の妥当性を検証する為に、中規模のJava ソースコードに本手法を適用し、手法適用前、適用後のソフトウェアメトリクスを測定した。結果として、改善効果を確認した。


セッション Bd2_2-3 音声処理I
日時: 2011年8月2日(火) 13:30-14:30
部屋: 301B室
座長: 舟木 慶一 (琉球大学)

Bd2_2-3-1 (時間: 13:30 - 13:50)
題名ヒストグラムの逐次更新による複数音源定位の検討
著者 ◎前田 繰一朗, 増田 央, 陶山 健仁 (東京電機大学工学部電気電子工学科)
Pagepp. 471 - 476
Keyword マイクロホンアレー, 音源定位, スパース性
Abstract本研究では,ヒストグラムの逐次更新による複数音源定位について検討する.これまで,「時間−周波数」平面上の音声の局在性を考慮した,2マイクロホンによる音声のスパース性に基づく複数音源定位について検討してきた.本稿では,スパース性を使う手法が音源数が少ない場合,推定精度が高いことに注目し,同時発話者数が少ない短時間区間の推定結果を蓄積して,ヒストグラムを作成する手法について検討する.その際,逐次更新したヒストグラムに基づきフレーム毎の音源方向推定も行う.実環境実験により,提案法による音源方向の逐次推定が有効であることを示す.

Bd2_2-3-2 (時間: 13:50 - 14:10)
題名「時間─周波数」平面上のアクティブな音声エネルギーに追従する複数音源定位
著者 ◎梅津 浩史, 陶山 健仁 (東京電機大学工学部電気電子工学科)
Pagepp. 477 - 482
Keyword スパース性, 複数音源定位, 音源追尾
Abstract本研究では,「時間─周波数」平面上のアクティブな音声エネルギー に追従する複数音源定位法を提案する.音声のスパース性,局在性 に注目し,「時間─周波数」平面上の各周波数におけるアクティブ な音声エネルギーの変動を空間中でアクティブな音源が移動してい るとみなし,各周波数で音源追尾法を適用する.さらに,音源追尾 に必要な安定性と速応性を同時に満すことを目的とし,適用する音 源追尾法のパラメータの調整法について検討する.実環境実験によ り,提案法の有効性を示す.

Bd2_2-3-3 (時間: 14:10 - 14:30)
題名単一話者区間を利用したDUET音源分離に関する検討
著者 足苅 昇平, ○川村 新, 飯國 洋二 (大阪大学)
Pagepp. 483 - 488
Keyword 音源分離, DUET, 単一話者区間
Abstract本論文では,音声には無音区間が多く存在するという特徴を利用して,ヒストグラム作成,ピークサーチ,クラスタリングが不要なDUET音源分離について検討する.本研究では,混合信号中に,一人の話者だけが発話している区間(単一話者区間)が存在すると仮定する.そして,単一話者区間から,音源の方向に関する情報を取得する.音源方向は音源の数だけ存在するので,各方向へスペクトルを振り分ければ音源分離が可能となる.提案法によれば,ヒストグラム作成,ピークサーチ,クラスタリングを行わず,より効率的にDUETを実行できる.


セッション Bd2_2-4 音声処理II
日時: 2011年8月2日(火) 15:00-16:00
部屋: 301B室
座長: 陶山 健仁 (東京電機大学)

Bd2_2-4-1 (時間: 15:00 - 15:20)
題名時変複素音声分析に基づくF0推定の演算量低減に関する検討
著者 ○舟木 慶一 (琉球大学/総合情報処理センター), 比嘉 健人 (琉球大学/理工学研究科情報工学専攻)
Pagepp. 489 - 494
Keyword 音声のF0推定, 複素分析, 時変分析, ロバスト分析
Abstract音声認識、音声符号化などは周囲雑音が存在する雑音環境下で活用される。それらの音声処理において音声のF0推定はその性能を左右する重要な技術であり、雑音下でも正確な推定を行なうロバストF0推定は、音声処理における重要な課題の1つである。我々は、解析信号に対する時変複素AR 音声分析に基づくロバストF0 推定方式の提案を行っている。方式(1)は、時変複素AR 分析で得られる複素残差信号の重み付け自己相関関数を算出し、そのピーク探索により、フレームに1 つのF0推定を行うフレームベース方式である。それに対し、方式(2)は、時変複素AR 分析で得られる各サンプルのスペクトルの極推定により、サンプル毎にF0推定を行うサンプルベース方式である。フレームベース方式は高精度だが、演算量がやや多い問題点がある。一方、サンプルベース方式は、各サンプルでのF0 推定だけでなく、フォルマント推定も可能であるが、男性音での推定精度が低いという問題がある。本稿では、サンプルベース方式を予備選択とし、本選択をフレームベース方式で行う二段推定方式を構築し、その性能評価を行う。

Bd2_2-4-2 (時間: 15:20 - 15:40)
題名非音声区間の拡張とマルチコンディション学習による区間検出誤りに頑健な単語モデルの実験的考察
著者 ◎早坂 昇 (大阪大学), 兵藤 一峰 (株式会社レイトロン), 宮永 喜一 (北海道大学)
Pagepp. 495 - 500
Keyword 単語モデル, マルチコンディション学習, 区間検出
Abstract音声認識システムの更なる普及のために認識性能の向上は大きな課題となっている.現在,その汎用性の高さなどから音素単位でのモデルがしばしば用いられるが,音素のような短い単位ではトライフォンモデルを使用しても調音結合を表現するには限界があり,特に雑音下では十分な性能が得られない.そのため,汎用性よりも性能を優先すべき利用シーンでは,より長い単語単位でのモデルが使用される.単語単位で認識を行う場合,区間検出の精度が重要となるが未だ完全な検出方式は提案されていない.本論文では,非音声区間を拡張した単語モデルとマルチコンディション学習による区間検出誤りに頑健な単語モデルについて報告する.単語モデルによる孤立単語認識の枠組みにおいて検出誤りがどの程度認識性能に影響を与えるかを述べ,区間検出誤りに頑健な単語モデルの構築とその性能について報告する.

Bd2_2-4-3 (時間: 15:40 - 16:00)
題名RBFネットワークとGAを用いた自然音声の再現に関する検討
著者 ◎近藤 孝明, 浪花 祐貴, 神山 恭平 (明治大学大学院理工学研究科電気工学専攻), 鎌田 弘之 (明治大学理工学部電気電子生命学科)
Pagepp. 501 - 505
Keyword RBFネットワーク, 遺伝的アルゴリズム, 音声合成, 声帯ゆらぎ
Abstract本研究では,ニューラルネットワークであるRBF(動径基底関数)ネットワークを用い,そのパラメータを遺伝的アルゴリズム(GA)で推定し,実音声に含まれている声帯ゆらぎを再現することによって,より実音声に近い人工音声を作り出すことを目標とする.従来では,最良な再現データを作る内部パラメータの算出は膨大のデータ中から手作業で選択してきた.それは非常に時間のかかる困難な作業であった.そこで本稿では,生物の進化の過程を模倣した遺伝的アルゴリズムを用いて,RBFネットワークの内部パラメータの最適値を推定し,音声に含まれる声帯ゆらぎを忠実に再現できるか検証を行う.