第22回 回路とシステム軽井沢ワークショップ奨励賞受賞者ならびに受賞理由

An分科会

講演者
朝長 伸吾 (大分大学)
題目
2次元非線形衝突振動系に対する分岐点の追跡法
受賞理由
本論文は2次元非線形衝突振動系に対する分岐曲線の追跡法を提案している.簡単な電気回路モデルでその正当性が示されており,また,機械系その他の様々な分野のダイナミカルシステムに応用可能であると考えられ,その有効性,将来性を高く評価できる.発表に対する質疑応答も的確であった.

As分科会

講演者
高嶋 裕司 (三洋半導体)
題目
製造ばらつきと信頼性を考慮した現実的な冗長ビア挿入方法
受賞理由
微細設計の最近の課題であるビア不良に対して,従来法よりも信頼性の高い方法で冗長ビアを挿入する手段を提案している.従来,EMに対する解析等は多く報告されているが,本発表では,ビアばらつきも考慮して遅延とEMに危険な箇所に,重点的に冗長ビアを挿入する.本手法は現行の設計フローに簡単に組み込み可能であり,実用性が高い.さらに発表と質疑応答もわかりやすく的確であった.

Ba分科会

講演者
Zhangcai Huang (Fukuoka Industry, Science & Technology Foundation)
題目
A 5.26-nW 0.8-V CMOS Current and Voltage Reference Circuit Without Resistors
受賞理由
従来回路の課題を明確にし,その特質の検討のもとに新しい低電力かつ高精度な基準回路を提案している.提案回路は温度特性が良好でかつ低電圧動作可能であり,実測結果においても高精度な結果が得られている.検証および考察もしっかりなされており,実用化が待ち望まれる.

Bd分科会

講演者
高橋 知将 (長岡技科大学)
講演題目
ロボットビジョン・ネットワークのための機能的階層符号化
受賞理由
ロボットビジョン・ネットワークにおいてデータ伝送量低減のための効率的な符号化法を提案している.提案手法は,アイデアや着眼点が斬新であるだけでなく,従来法に比べて大幅な伝送量の削減に成功しており,有効性も充分である.また,質疑への応答も的確であった.

C分科会

講演者
佐方 剛 (富士通マイクロエレクトロニクス)
題目
製造ばらつきに起因するリーク電流変動の低減アプローチ
受賞理由
発表論文では,製造ばらつきがリーク電流と遅延に与える影響を分析・応用し,リーク電流変動を低減する手法を提案している.従来手法で不明瞭であった各種パラメータとリーク電流の関係を本論文では明らかにしており,効率的なリーク電流の削減に向けた道を開いている.また,論文の内容だけではなく,発表の分かりやすさや質疑応答の明快さも優れていた.

D分科会

講演者
上條 裕介 (大阪電気通信大学)
題目
回転型セル迷路のPSPACE完全性
受賞理由
本研究では,回転型セル迷路に対しPSPACE完全性について証明を行っている.この結果は,全ての回転型セル迷路において現実的な時間で解くアルゴリズムを構成することが困難であることを示しており,理論的に優れた結果である.証明手法としては,既知のPSPACE完全問題であるQUANTIFIED 3-SATを用いて多項式時間還元を行っているが,起こりうるあらゆる場合に対し上手く部品を構成しており素晴らしいアイデアである.また,発表も明快であり質疑対応も的確であった.