Internet2 and Next Generation Internet(NGI)
Kazunori KONISHI
Email: konishi@lab.kdd.co.jp
あらまし 米国の国力を一層強化するための方策として、高速インターネット環境を大学にいち早く提供し、高速アプリケーションの研究開発等を先行させることが重要であるとの理由で、インターネットの研究開発をこれまでリードしてきた大学関係者が団結して、第2世代のインターネット "Internet2" を提唱した。本稿では、このInternet2だけでなく、Internet2と密接に関連するクリントン大統領の提唱した次世代インターネットNGIについても、その推進体制や研究課題を説明し、さらに、両プロジェクトの相互補完関係について論ずる。
キーワード インターネット, NSF, vBNS, NGI, QoS, IPv6Abstract The first generation researchers on the Internet jointly proposed Internet2 to provide the high performance Internet environments for advanced universities, arguing that Internet2 will help the country lead the development of high performance applications on the next generation Internet. This paper describes the organizations and projects of Internet2 as well as Next Generation Internet(NGI) proposed by the President. The complementary relation between Internet2 and NGI is also described.
Keyword Internet, NSF, vBNS, NGI, QoS, IPv6
1.まえがき
異機種コンピュータ間通信を実現するプロトコルとして、1980年代に日欧諸国がOSI(Open Systems Interconnection:開放型システム間相互接続)に注力している間、米国政府は大学や国立研究所等に資金援助して、TCP/IPをベースとするインターネットの研究開発・普及を進めてきた。その資金規模は決して大きなものではなかったが、標準化活動への参加資格を制限しないため優秀な研究者を組織化できたこと、実際に動くソフトウエアをベースに標準化を進めたので互換性が確保されたこと、メールを使って審議を活性化させたこと、米国のコンピュータ業界が実装に励んだこと等により、我が国でも閣議決定されたOSIを社会から忘れさせたかの如く、インターネットは成長を続けてきた[1]。
米国政府や研究者に育成されたインターネットが、ビジネスとして成り立つ規模に成長すると、1990年代初頭から商業インターネットが登場してきた。商業インターネットは、まだ売り上げ額が充分な規模に達していなかったため、大学や国立研究所を自分たちの顧客にしたいと考え、これらの機関を接続していた米国科学財団(National Science Foundation, NSF)のバックボーンNSFNETの社会的使命は終了したと主張し、ついに1995年4月にNSFNETを運用停止に追い込んだ[2]。
この結果、商業インターネットに加入した大学や国立研究所の関係者は、安定運用を重視するあまりネットワーク実験に必ずしも協力的でなく、さらに民間需要の高まりを受けて混雑してきた商業インターネットに程なく失望し、自分たちがコントロールできる高速インターネットを手に入れる努力を開始した。
2.Internet2の起源
Internet2は大学の教職員だけが推進してきたものではない。誰が発案しどのように展開してきたかについては、米国においてもまだ詳述されていないので、ここでは筆者が文献で知り得た情報および関係者から聞いた話をもとに、推定を含めて述べる。事実に反する点、追加すべき事項についてご指摘いただければ、修正を加え、正しい理解を共有できるように本稿を改定したい。
Internet2に関連して、ここ数年間に政府、大学、民間企業が動いた軌跡を表1に示す[3]。