2.W-CDMA方式のセキュリティ

 W-CDMA方式のセキュリティアーキテクチャは以下の通りである(図1)。


AN: Access Network, HE: Home Enviornment, MT: Mobile Termination, SN: Serving Network
TE: Terminal Equipment, USIM: UMTS Subscriber Identity Module

図1 次世代携帯電話システムのセキュリティアーキテクチャ[3]


特に、この図1での(I)のネットワークアクセスセキュリティは、ユーザが第三世代の サービスに安全にアクセスでき、(エア)アクセスリンクでの盗聴・改ざん等の攻撃を 防ぐために、重要な機能である。以下に、その主な具体的技術を紹介する。

2.1 データ秘匿

 エアリンク上での音声も含むユーザデータや信号情報を暗号化し、盗聴を防止する 技術である。
 このデータ秘匿を実現するために、関数f8を用いて乱数列を生成し、ユーザデータ や信号情報に1ビット毎の排他的論理和を行い、暗号化する(図2)。関数f8に、暗号化/ 復号対象のビット長(LENGTH)、アップ/ダウンリンク(DIRECTION)、カウンタ(COUNT-C)、 論理チャネルの識別子(BEARER)、暗号化/復号鍵(CK)が入力され、乱数列が生成される。 これはISO/IEC10116で定義されたブロック暗号の利用モードのひとつである OFB(Output FeedBack:ブロック暗号の出力を乱数と見なし、平文または暗号文と排他的 論理和を取る方式で、その出力(乱数)が次の乱数を生成するためにフィードバックされる) モードの変形である。OFBモードは伝送路上で発生した暗号文のノイズを復号の結果 拡大することがないため、無線通信とくに無線音声通信では好んで用いられる。ユーザ認証の フェーズで使い捨ての乱数が利用され、これをもとに関数f8に与えられる鍵情報が生成 されるため、鍵は通信ごとに異なり、しかもそれらの間の規則性がない。これは暗号利用の 安全性確保の上で好ましい方式である。関数f8は、ユーザ側ではモバイル装置、ネット ワーク側では無線ネットワーク制御装置(RNC)に実装される。関数f8のコア部分には、 暗号アルゴリズムKASUMI(後述)が用いられている。


UE: User Equipment

図2 エアリンク上での暗号化方法[4]