より楽しくおもしろい大会企画をめざして

間瀬 憲一 会長


Kenichi MASE

 1. はじめに


 通信ソサイエティの独立採算制も3年目に入り、通ソマガジンの発行、研究室ホームページの運用などの新たなサービスもスタートしています。昨年度のアンケートでは貴重なご意見を多数いただきありがとうございました。いただいたご意見、ご要望などを参考に、各種事業の改善、会員サービス向上などの検討を進めております。論文誌の電子化・オンライン化は導入から3年目を迎えています。アンケートでは賛否両論ありますが、コスト削減効果が大きく学会の財政改善に大きく貢献しております。論文誌に続き技術研究報告(技報)の電子化・オンライン化の検討も学会本部で開始しました。これには、財政面への影響なども慎重に評価する必要がありますが、通ソでは先行して技報ダウンロードシステムの開発を進めてきたところであり、技報アクセスの利便性向上も期待し上記の検討に積極的に参加しています。



 2. 大会の魅力


 学会の中心的な活動のひとつとして、総合大会、ソサイエティ大会があります。大会は最新の研究成果を発表、討議できる場として毎回多くの発表者、参加者を集め、財政面も含め成功しているイベントです。大会ではいろいろな組織、世代の研究者、技術者が集い、会社の肩書きなど関係なく、組織の壁を越えてフランクな技術討議を行えるのが大きな魅力です。

 大会に参加すると旧知の研究者とたまたま出会ったり、新たな面識を得ることがあり、その中で、思わぬ貴重な情報交換(インフォーマルコミュニケーション)ができることもあります。単に、自分の研究発表を終えて、さっさと帰ってしまうとしたら大変もったいない話です。ただ、広い会場で多くの部屋に分散して技術プログラムが並行開催されるため、ちょっと分野の違う人とは確率的にしか遭遇チャンスがありません。そこでインフォーマルコミュニケーションの機会をより積極的に提供する仕掛けを用意することにより、大会の魅力向上が可能ではないでしょうか?具体的な施策として、大会1日目の夕刻に気楽なウェルカムパーティを設定するのも一案でしょう。

 

 3. いくつかの提案


 大会会場で、定例的に各研究専門委員会を開催すれば、たまたま大会に参加した人が興味のある委員会に飛び入り参加することが可能になります。このように、興味のある会員が誰でも参加できるオープンな委員会実施は会員のニーズ吸い上げ、委員会活動の活性化に有効な施策になると思います。また、より多くの専門委員が大会に参加することになり、大会の活性化にもつながります。

 企業の技術者やマネージャー、非専門家からみた大会参加の魅力を高めるため、ビジネス・マーケット戦略、企業の開発戦略、標準化などをテーマとするパネル、チュートリアルを戦略的・継続的に開催することも有効と思います。また、パネルやチュートリアルの講師を日本人に限定せず、韓国、中国など近隣諸国の第一人者にもどんどん依頼するようにしてはいかがでしょう。近隣諸国の大学の先生にセッションオーガナイザを依頼すれば弟子や学生を発表させようという方もいらっしゃるかもしれません。そうやってIEICEの認知度が高まれば、海外会員増加、留学生増加につながる効果も期待できます。また、アジア諸国との情報通信技術分野での国際協調や連携を深める布石としても意義があると思います。

 

 4. おわりに


 このような通信ソサイエティ独自の大会企画・運営をまずは通信ソサイエティ大会で実現すべく、昨年度、通信ソサイエティ大会の魅力、意義の向上に向けて新たな検討がスタートしました。今年度以降、いくつかの施策を実現すべく進めていく所存です。最後に、学会は会員サービスだけを考えていたのでは発展はないと思います。次世代の人材育成への貢献、本分野の技術開発に対する社会への説明責任なども重要です。今後はこのような社会に対しての使命をより強く意識し行動する必要があるのではないでしょうか。まずは、通信ソサイエティの理念・使命を文書化し共有することから始めたいと思っています。会員諸氏のご理解、ご協力をいただければ幸いです。