通信ソサイエティ会員に相応しいサービスの実現に向けて

井上 友二 会長


 1. 独立採算化がスタート


 今年度の通信ソサイエティ会長を勤めさせていただくことになりました。どうぞよろしくお願いします。

 私たち通信ソサイエティでは、今年、他のソサイエティに先立ち独立採算化による自立運営を本格的にスタートさせました。独立採算化の目的は、論文誌や研究会などがソサイエティの貴重な財産であるとの認識に基づき、論文編集委員会や研究会などの活動のインセンティブをより高め、ソサイエティ独自の施策を機動的に実施していくことで一層の会員サービス向上を実現することにあります。



 2. 今年から新しく始めること


 独立採算運営の本格実施となる今年度は、新会員サービス、研究専門委員会活性化、編集関連活性化のための予算を新たに計上し、財務の基盤の強化を図りながらも慎重にかつ大胆に会員サービスの質的向上を図っていきます。

 今年度は、いよいよ論文誌のオンライン化が始まります。これにより、より便利で経済的な論文誌サービスが実現できると期待しております。
 また、新サービスとして、通信分野に関するタイムリーかつホットな話題を特集記事として構成する新しいマガジンの発刊、会員情報データベースの整備ならびに企業会員やOBなどの会員交流を活性化するための会員コミュニティサービスの実施などを進めていきます。
 通信ソサイエティは、通常研究会や大会参加、論文投稿などの活動は行わないけれども通信分野の専門家として日常業務を行っている企業の技術者など、産業界にも広い裾野をもっており、それが産学間連携など幅広い活動の基盤となっています。これらの新サービスは、会員の専門性の向上や、個々の会員が持つ技術・技能・ノウハウ・個人的魅力・組織的魅力などの蓄積と伝承を目的としており、アカデミックだけでなく、プロフェッショナルなコミュニティとしてのソサイエティ活動を活性化しようというものです。

 

 3. 更なる充実を図ること


 通信ソサイエティでは昨年度より、ソサイエティ全体の協議と意思決定を行う「執行委員会」、論文誌を担当する「ソサイエティ編集会議」、研究会や大会を運営する「研専運営会議」からなる運営体制に移行しました。この体制は、執行委員会メンバーの活動を戦略的な課題に集中するとともに、論文誌や研究会の運営主体に責任と権限を委譲することにより、柔軟かつタイムリーな質の高い会員サービスの実現を目指すものです。
 これにより、先に述べました新サービスの展開や、IEEE ComSoc、独VDE/ITG、アジア諸国の学会との連携や国際会議への協賛等、国際的なソサイエティ活動の活性化をはじめ、研究専門委員会の柔軟な新設による新たな技術分野への取り組みの強化、各種コミュニティとの連携による学際的な研究機会の拡大など、通信を取り巻く様々な環境の変化にも即応していける体制を確立していきます。

 また、独立採算化に伴い、ソサイエティ内での会計の明確化など財務管理の徹底を図っています。今年度は収支の流れを把握するとともにソサイエティ運営にフィードバックさせながら、より効率的な運営を図っていきます。

 

  4. 通信ソサイエティ会員に相応しいサービスの実現に向けて


 通信ソサイエティでは、会員に相応しいサービスの実現を目指し、これまで二年間にわたり独立採算化に向けた具体的な課題の検討とその結果に基づく諸々の改革を進めてきました。私も検討タスクフォースに参加しておりましたが、各検討メンバーの献身的な努力と熱意を強く感じてきました。
 まだまだ、不十分な点も多く残っているかと思いますが、新サービスのご利用とともにご意見をいただき、厚みのあるサービス基盤に育てていくようご協力をお願いします。

 

 
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