通信ソサイエティの新たな出発よりよい会員サービスのための独立採算化に向けて 持田 侑宏 会長

 1. 独立採算化元年


 このたび電子情報通信学会通信ソサイエティの会長に就任することになり,大変光栄に思っております。よろしくお願いいたします。

 今年度は私たち全ての通信ソサイエティ会員にとって特別に重要な年となります。本年4月の電子情報通信学会理事会で,通信ソサイエティの独立採算化による自立運営が承認されました。私たちは独立採算化の試行を開始する最初のソサイエティとなりますし,来年度からは,独立採算本格実施の最初のソサイエティとなる予定です。


 2. より良い会員サービスのために


 通信ソサイエティは電子情報通信学会の枠内で組織され,その定款および理事会のもとで活動しますが,ソサイエティがより良い会員サービスを提供し,ソサイエティの財政運営が一層健全なものになるためには,「独立採算」という責任と自由度を増した運営の考え方を導入し,素早い意思決定プロセスを実現する必要があります。このことが今回の新しい体制の目的であり,これまで10年間にわたって議論されてきたことでもあります。

 通信ソサイエティでは,昨年4月に独立採算化への具体的な計画を立案するタスクフォースチームを発足させました。このタスクフォースは,ソサイエティ内に権限委譲によるスリムで効率的な運営体制を導入することにより,独立採算の責任を持つ運営と,よりよい会員サービスをめざした柔軟性を実現する提案をまとめました。この提案は「通信ソサイエティ運営規程改訂案」として通信ソサイエティから理事会に提案して支持を頂きました。私自身もこのタスクフォースチームに係わりましたが,チームメンバーの1年間に渡る献身的な努力に感謝するとともに,通信ソサイエティはこの新体制の下でさらに強固に健全に成長すると確信しています。

 

 3. 通信ソサイエティの新しい運営体制


 通信ソサイエティ全体の協議と意思決定は,会長,次期会長,研究会大会担当副会長,会員サービス・財務担当副会長,ソサイエティ編集長,数名の幹事からなる執行委員会で行われます。

 このように,執行委員会はこれまでの運営委員会(約50名)に比べて大変スリムになっており,研究会や大会については「研専運営会議」に,論文誌については「ソサイエティ編集会議」に権限と責任が委譲されています。このようにして,執行委員会メンバーは,一層アトラクティブな会員サービスや国内・海外での会員増強などの戦略的な課題に力を集中することができるとともに,通信ソサイエティの各活動間の最適なバランスを決定する責任を持ちます。

 本年度にソサイエティ編集会議は,青山友紀ソサイエティ編集長のもとで,論文誌オンライン実施への最終的準備を進め,より便利で経済的な論文誌サービスをめざします。

 また研専運営会議は,笹瀬巖議長(研究会大会担当副会長)のもとで,研究専門委員会のさらなる活性化のための新しいアイデアを検討します。
若原恭会員サービス・財務担当副会長を中心とした会員サービスおよび財務担当幹事はソサイエティの効率的運営と新たな会員サービスの戦略を進めます。

 また,井上友二次期会長は独立採算化に移行するソサイエティ運営全般に参画します。

 

  4. 通信ソサイエティの強み


 通信ソサイエティの活動は,多くのボランティアの努力によって毎年増加しており,例えば論文誌にはより多くの論文が掲載され,研究会の技術研究報告でもより多くの発表が行われています。これらはまさに私たちの強みでありますが,これがソサイエティの財政面でもより健全な方向に働くように運営するのが執行委員会メンバーの責任であると考えています。

 もう一つの通信ソサイエティの強みは,産業界からの会員です。これらの会員の多くは論文誌のようなアカデミックな活動に関心を持っていただいていますが,他の方々はむしろプロフェッショナルなコミュニティとしてのサービスを求めておられることと思います。通信ソサイエティの活動のうち全国大会や,各種の研究会や会誌が,産業界からの会員にとって一層有益な情報源や産学間連携推進のための基盤となるように努めていきます。

 

 5. 会員の力こそが通信ソサイエティの元気の源です


 通信ソサイエティの力の源は多くのボランティアの皆様自身と多様な会員の皆様自身です。このような会員が力をあわせることこそが発展の源です。国内外の通信分野のさまざまな領域で活躍されている会員の皆様が情報交換し,協力する場として通信ソサイエティをますます発展させていきましょう。



 
© 2005-2007, IEICE, All rights reserved.