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情報ネットワーク研究会からのメッセージ

 今回,東日本を未曾有の大災害が襲い,多くの人命が失われ,また多くの行方不明者を出してしまいました.謹んで哀悼の意を捧げるとともに,今でも後遺症に苦しんでいらっしゃる多くの方々にお見舞い申し上げます.
 地震とそれに続く津波で通信網や交通網は機能マヒに陥り,的確に状況を判断し人々を安全な場所に誘導することも,人々の安否を迅速に確認することもできませんでした.我々の持つ情報ネットワーク技術は,今回のような大きな災禍に対しては,未だ誠に非力であり,なすすべもありません.また,風評被害等の震災以後の混乱を鑑みるに,情報を的確に発信受容することがいかに難しいか,また我々がいかに未熟かをこのたびほど切実に感じられたことも少なかったと思います.原子力発電所のリスクや「長野県」の地震被災者の存在に関して日本国民がどこまで等しく共感できているでしょうか.今回の事件は,単なる技術や社会システムの改良に留まらず,そのような情報を処理し的確に把握できる私たち自身の人間としての確立も求めていると思います.
 さて,我々のこれまでの研究スタンスを翻ってみるに,「研究者個人にとって単に面白いだけのシーズ指向に偏っていなかったか?」,「その技術の必要性を自分自身の課題としてどれだけ真摯に受け止めていたのか?」,あるいは「社会の本当に求めていた技術開発だったのか?」,いろいろ反省するところが多いと思います.京都議定書の目標を初めから諦めていたのでは,社会に対する使命感に欠けていると言われても仕方がありません.今回の計画停電は,省エネルギーは研究者自身の問題でもあるとの天の声に聞こえます.近年,安心安全な社会やエコ社会を目指した研究開発が盛んに行われてきました.その際,ゆりかご的社会を実現し,それを享受するだけを期待していなかっただろうか.もっと前向きな,そのような社会を実現した後で我々一人一人が社会に対して何ができるのか積極的に考えていく機会に,計画停電はなるのではないかと思います.
 ここしばらく,引きこもり気味だとか,元気がないとか言われ続けてきた日本ですが,今回の震災では,被災地で少ない食料を分け合い毅然として生活している人たちの忍耐強い姿が,日本人のすばらしい国民性として世界を感動させもしました.これからの社会での社会と個人のあり方がどうあるべきか,身をもって示してくれたといえましょう.
 情報の処理と伝達を研究する本研究会は,今回露呈した様々な問題に関して社会的な責任の一端を担っています.一つ一つを深く反省し,使命感を持ち,その解決法を着実に検討していくことこそが,幸いにも被災を免れた我々の責務と思います.これまでの研究会の活動を見ればシーズはたくさんあります.問題はそれらを吟味し有機的に結び付ける柔軟な思考と,より良い未来社会を築きたいという我々の想いにかかっているのではないでしょうか.そのような観点からの投稿と議論を本研究会で積み重ねていく先に,世界のパイロットとなり得る理想の社会が待っていると期待します.  
2011年4月1日 情報ネットワーク研究専門委員会
 
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最終更新日: 2011年3月31日