EMC'97 Beijing参加報告
(通信ソサイエティ ニューズレター第10号より転載)

(1)主催:中国電子学会
(2)日時:1997年5月21日〜23日
(3)会場:梅地亜賓館(Media Center)
(4)主要参加国: 中国,日本,米国,ロシア,ドイツ,イタリア, 韓国,インド,カナダ、他(19ヵ国)
(5)論文掲載数:132件
(6)概要と主なトピックス

 中国北京の梅地亜賓館(Media Center)で「環境電磁工学に関する国際会議(International Symposium on Electromagnetic Compatibility,略称 EMC'97/Beijing)」が1997年5月21日から23日の3日間に亘って開催された。以下に同シンポジウムの概要と主なトピックスを述べる。

 本会議は、中国電子学会が5年毎に主催するEMC国際会議(初回は1992年開催)であり、今回は第2回目である。実行委員長は北京郵電大学の高(Gao Yougang)教授、テクニカルプログラム委員長は北方交通大学の張(Zhang Linchang)教授であった。

 今回の発表論文の総数は132件で、これが16セッションに分けられ、3会場並列で3日間にわたって発表・討議された.主な参加国を発表論文数の順にあげると、中国(53件)、日本(22件)、米国(7件)、ロシア(6件)、ドイツ(6件)、イタリア(6件)、韓国(4件)、インド(4件)、カナダ(4件)、他の19ヵ国であり、中国以外の外国からの参加者は90名に及んだという(総参加者数は、登録者名簿が配布されなかったので詳細は不明であるが、200名程度と筆者は推定する)。

 論文数を内容別にあげると、EMC測定技術と通信EMCに関連する論文がそれぞれ15件で最も多く、その他は、電磁界センサ・プローブ関連11件、線路の結合クロストーク関連11件、電磁干渉の予測・解析と低減技術10件、電磁界数値計算法9件、電磁シールド関連8件、コンピュータ・プリント基板関連8件、放電関連7件、フィルタ・電波吸収材7件、EMC標準化6件、マイクロエレクトロニクス関連5件、地震による電磁現象5件、電磁界の生体効果5件、パワーエンジニアリングのEMC4件、スペクトルマネジメント4件、EMC教育2件の順であった。今回の会議では(何処の開催国でもそうであるが)EMC測定技術の関連論文が目立ったが、プリント基板やディジタルICにおけるEMC研究の関心が着実に高まっていることを実感した。

 なお、論文発表の他に技術展示会も並列開催されたことを付記しておく。(同展示会は会場から車で5分程度離れた中国科学会堂に設置され、会場から専用バスが運行されていた。出展内容は、欧米の現地企業からのものが多く、EMC測定装置の展示が目立った。)

(執筆者:藤原修、名古屋工業大学)