第2回 コミュニティネットワーク ワークショップメモ

1 日時 : 平成12年6月29日(木)13:00〜16:40

2 場所 : NTT本社ビル(逓信ビル)4F 401会議室

3 参加者(敬称略、順不同)
  山口治男(東京工科大学)
  宮澤正幸(長野県工科短大)
  藤原 洋(インターネット総研)
  三木哲也(電通大)
  福田 豊(電通大)
  佐野浩一(NTT)
  中嶋信生(NTT移動通信網)
  竹内義晴(日本テレコム)
  小倉博行(三菱電機)
  辻 久雄(NTT-AT)
  坂巻資浩(NTTデータ)
  大庭有二(通信放送機構)
  館石将利(電通大)
  打橋知孝(NTT)
  佐藤武信(富士通)
  浦田昌和(NTT)
  坂口勝章(長野県工科短大)

4 講演・主な議論等

4.1 コミュニティネットワークの現状(浦田幹事)
 【要旨】
  ・インターネットの利用者層は、研究者→マニア、ハッカー→オフィス→
   家庭と変化してきている。即ち情報スキルの壁が顕著になってきている。
  ・研究の分野については低位レイヤ(アクセス網)中心から高位レイヤへ
   とその幅が広がると共に、中心がシフトしてきている
  ・扱う情報の質(主にセキュリティ)にも変化がみられていきている。即
   ち、暗号化→なりすまし対策としてのディジタル署名等→電子認証→電
   子公証等
 【議論等】
  ・インターネットとコミュニティネットワークの関係は?
  ・ほぼイコールであろう。今後の情報通信ネットワークはインターネット
   しか無いという共通認識がほぼ出来ていると考えていいのではないか
  ・コミュニティネットワークはどこまでオープンなものなのかという課題
   もある
   ・コミュニティネットワークの担い手は(メンバ/構築する人)という
   観点も必要 
  ・情報スキルの壁即ちディジタルデバイドの克服というのが今後の大きな
   テーマであろう
  ・同じように情報リテラシーというテーマもある

4.2 ネットワーク社会の更なる発展において、ローカルコミュニティネットワー
   ク展開はどのような効果を持ち得るか(山口委員長)
 【要旨】 
  ・ネットワークの方向性:広帯域化、低価格化、普遍化、距離感の喪失  
  ・発展のバリア:UI、価格、興味/利益、安全/安心
  ・アクセスラインは常時接続の方向、光ファイバの可能性大
  ・低価格化という観点からは地域シェアメディア(設備共用)が重要
  ・パソコンを中心とする困難なUIから標準的で多様なUI、Plug & Playの
   発展での簡単/快適UIへ
  ・競争の促進による低価格化への期待
  ・コンテンツ/メディアの多様化、ビジネス化はまだまだ不足
  ・生活必需情報、趣味情報、損をしない(得をする)情報等、実感として
   感じられる形、ものにしていくことが重要
  ・利用者からみて違和感がないシームレス/バリアフリー
 【議論等】
  ・都市内でのシェアメディアとしては既にCATV等がある。光ファイバによ
   る地域共通基盤整備が望まれる
  ・地域から世界が見える/世界につながるという流れは既にある。その中
   でコミュニティネットワークは局所的なものであるという事は意識して
   おく必要がある
  ・運用でコミュニティネットワークとしての特徴/他との差異が出てくる
   /なにかあるはず

4.3 地域コミュニティにおけるエコマネー(ローカルマネー)の役割と効果
  (福田WG主査)
 【要旨】
  ・ここでいうエコマネーは一般的にはLETS(Local Exchange Trading
   System)と言われている
  ・コミュニティの現実についてカナダで行われた興味深い調査がある。そ
   の概要は以下の通りである。
  ・調査は社会学者により1968年に第1回目が、1978年に第2回目が行われ
   た
  ・コミュニティ的靭帯のパラドックスの解決に、家庭という空間、電話の
   役割が大きい
  ・パーソナルネットワークとしてのコミュニティ
  ・生活の断片化(多面化、多様化)、マクドナルド化(サービスの市場経
   済原理への適用/商品化)
  ・コミュニティの機能として、個人を社会構造(制度)に組み込むための
   媒介環(地域性や血縁は一つの要素に過ぎない)、非公式組織(ヒュー
   マンリレーションズ)にような役割(意欲 or 活力の源)、問題解決の
   ためのネットワークなどがある
  ・今までは資源としてあまり意識されていなかった新たな資源の調達と開
   発にコミュニティが大きくかかわっている
  ・パーソナルネットワークはその資源を運ぶ(援助、支援、思いやり、役
   務等)
  ・貨幣価値換算できない物の存在と活用へ
  ・そこでLETS(地域交換・交易システム)の組み込みという話が出てくる
  ・LETSは1983年に実験が始まった。グリーンドルという地域貨幣を決め、
   財やサービスの提供を受ける人が発行した。赤字は負債でなくコミット
   メントとした。
  ・1990年代にはオーストラリア、ニュージーランド、イギリスで普及した。
   自治体が導入したものである。
 【議論等】
  ・LETSは大きくならない方がよい/外へは出ない方がよい/地域に閉じて
   いた方がよいという特徴がある
  ・広がるにはグローバルスタンダードが必要となる
  ・現在の貨幣経済システムとLETSはリンクはしない。NPOとの連携はある
   かもしれない
  ・接触回数の多少と靭帯の強さは関係しない
  ・なにかしらの利益がないと発展は難しいかもしれない
  ・ボランティア的側面があるように見える。ボランティアにも日本型(献
   身型、自己犠牲型)と米国型(ビジネス型、対価要求型)がある。ボラ
   ンティアにも何かしらの評価がないと息切れする
  ・最近はムラ、地域が嫌い(慣習、縛られることがいろいろある等)とい
   う人が多くなってきている。地域性による失敗/成功があるかもしれな
   い
  ・近代化の先(ポストモダン?)にあるコミュニティネットワークという
   観点があるかもしれない
  ・どこから始まるという観点もあるだろう(例えばいわゆる共通教育は都
   会から生涯学習は地域からなど)
  ・ビジネスは貨幣換算できるもので動いているがLETSは?
  ・価値についても地域に閉じて価値があるものともっと広い範囲で価値が
   あるものがあるだろう
  ・都会に住んでふるさとがない人にどこかの地域をふるさとにしてあげそ
   のネットワーク作りをする等も考えられている

4.4 ハイクオリティ・コミュニティの展開(三木委員)(スライド)
 【要旨】
  ・ポイントは、ネットワーク環境が生活社会そのものになっていく、ユー
   ザ、グループに適合した環境であるべき、高安全/高品位ネットワーク
   が必要。CNによってそれらを実現する、ハイクオリティネットワークの
   展開方法
  ・日本人の特質として、繊細/緻密、均質、平均的能力の高さ、少ない犯
   罪率、勤勉、好奇心旺盛等がある。これらに合った環境が必要。すなわ
   ちクオリティが高いものが求められている
  ・次世代の情報通信ネットワークはインターネットというのがほぼ共通認
   識
  ・ハイクオリティネットワークの実現が必要である
 【議論等】
  ・日本的なものとは本当に日本的か?
  ・日本人に適合するネットワークは居心地がいいだろうという発想
  ・日本人的というのがハイクオリティということであれば共通であろう 
  ・コンテンツの嗜好が違うということはあるだろう(アニメ、Audio Visual
   等)また、Non-PC、Non-KBの分野が日本ではMajorityになるだろう。カー
   ナビも日本はトップ
  ・他と比較することができるかどうかも重要
  ・サービス価値の多様化、選択の幅を広げるという論旨であればわかる 
  ・ここでいうクオリティとは値段も含めた概念である。そうであれば
   Satisfactionといったほうがいいかもしれない

4.5 コミュニティネットワークがネットワーク経済の進展に与える影響につ
   いて(藤原副委員長)
 【要旨】
  ・沖縄国際情報特区の戦略を例に、電子政府、沖縄などコミュニティを取
   り巻く通信環境、沖縄国際情報特区構想への提言を紹介
  ・技術革新:インターネット+光ファイバ+ディジタル信号処理
  ・バックボーンの高速IP化(広帯域化)、ワイヤレスの普及 
  ・ポータル、EC、コンテンツなどが中心になってきている
  ・ラストマイルの問題がある。FTTH、ADSLなど各種の方策はある
  ・次世代モバイルとしては IMT2000
 【議論等】
  ・地域振興という側面は重要。各地域の特徴があり、沖縄型、岐阜型など
   あるかもしれない
  ・マーケットセグメントをどう考えるかという観点も重要
  ・現在の状況は一種の産業革命で、トレンド予測不可というものもでてき
   ている
  ・ネットワーク経済の進展にはプラス要因のものとマイナス要因のものが
   あり、あわせて考えていく必要がある
  ・固定取り引き/系列取り引きという形態は破壊している
  ・ボトムアップ型の未来を作ることが重要。人工的でない自然発生的な流
   れを作っていく必要がある
  ・ディジタル放送の問題はコンテンツがないということ。放送と移動通信
   との電波帯域の融合が起こり得るだろう
  ・過去のもののディジタル化は著作権問題で困難が付きまとう。従って新
   しいコンテンツのディジタル化という進め方にならざるをえない

4.6 クオリティ・オブ・ライフの向上に果たすコミュニティネットワークの
   役割(宮澤副委員長)
 【要旨】
  ・情報力、システム力、人間力、およびそれらを結びつけるネットワーク
   の強化が重要
  ・地域の情報力の強化施策が重要。地域生涯学習システムというのが1つ
   の有効な手段
  ・地域での知的欲求は強い
  ・教育システムでも都市型、地域型があるだろう。地域型というのはいわ
   ゆる社会教育/生涯教育的なもの。インセンティブを持たせること、成
   果の発表の場としての位置づけも重要 
  ・地域独自の情報/文献/知識/技能等の蓄積/流通/利用促進のための
   しかけが重要。いってみれば一地域一情報データベースの構築である  
  ・その構築に学会は協力できるだろう
 【議論等】
  ・地域からのボトムアップでないと続かない
  ・このような動きに国として補助するような体制もほしい
  ・イントラネットで実現するのか? 他の地域との比較/他地域を参照す
   る等広がりはいくらでも出てくるだろう。また要求も次々でてくる。
  ・いずれにしろボトムアップ型で、補助等も色付でない形ですすめること
   ができないと長続きはしなだろう

4.7 ネットワーク化の進展はローカルコミュニティとグローバルコミュニティ
   にどのような変化をもたらすか(坂巻委員)(スライド)
 【要旨】
  ・ネットワークの急速は進展に伴う各種サービスの拡充、各種ネットワー
   クサービスの動向とコミュニティの軸(コミュニケーション←→情報、
   不特定多数←→限定少数)との関係、今後の動向、ローカルコミュニティ
   とグローバルコミュニティの上記軸との関係等を整理
  ・今後コミュニティという観点から見ると、地域ポータルテレワークセン
   タがキーワードとして重要と考える
  ・関連する具体的な動きのいくつかを紹介
 【議論等】
  ・地域(ローカル)とグローバルの定義/明確化が重要ではないか
  ・地域/ローカルの一つの考え方として、近所の商店街のようにすぐ行け
   る距離範 囲というのはある
  ・情報のコンテンツが意味がある範囲(有効情報距離)の概念もあると考
   えられる
  ・それにより、情報/サービスを提供する主体がだれかというのも変って
   くる
  ・いずれにしろ、ローカルコミュニティとグローバルコミュニティの概念
   の明確化が必要である

5 今後のスケジュール等について
(1) プレゼンテーション資料は電子的な媒体で幹事まで送付してもらう
(2) 本日の議論をふまえ、ドラフトを7/7までに幹事まで送付してもらう
(3) それらの論理展開等チェックして改訂等依頼する
  ワークショップホームページ