◆シンポジウム企画「MIMO・協調通信におけるアンテナ・伝播・信号処理の最新技術」


日時: 2008年9月17日(水)

場所: 明治大学 生田キャンパス(川崎市)

オーガナイザ:西森 健太郎 (NTT)


【提案趣旨】
限られた帯域で周波数利用効率を向上させる技術として,MIMO技術が注目されています.MIMO伝送では,複数の送信アンテナから同一周波数で並列にデータを送信し,受信側ではそれらを復号処理技術で分離することで,無線区間の伝送速度を向上することができます.また,最近ではさらなる周波数利用効率向上の観点からマルチユーザMIMO通信に関する検討や,通信の信頼性を向上させる観点から,MIMO技術を用いた協調伝送に関する検討などが行われています.本シンポジウムでは,このような背景を踏まえて,MIMO技術を用いた最新技術(アンテナ,伝搬,信号処理など)について広く論文の投稿を公募し,現状の技術課題及び今後の技術展望についてディスカッションを行います.


【開催報告】
近年,協調通信などのMIMO技術を利用した新たな流れがあり,今回,シンポジウム「MIMO・協調通信におけるアンテナ・伝播・信号処理の最新技術」を企画し,幅広い分野からの投稿を募集した.その結果,9件の発表が集まった.信号処理に関する発表が4件,伝搬と実験に関する発表が3件,アンテナ構成法に関する発表が2件と,タイトルどおり各分野からバランスよく投稿が集まり,表記に関する最新動向が活発に議論できたと思われる. 信号処理に関しては,東芝より非線形プリコーディングの具体的な実現方法が提案され,注目を集めていた.また,3GPP-LTEで採用される予定のcodebookを用いたMIMO技術に関して,北海道大学と東京工業大学からの報告があった.伝搬と実験に関しては,MIMOで直交偏波を使用する有効性が横浜国立大学より示された.NTTからは,屋外実環境における中継局MIMOの効果が示された.KDDIからは,複数局協調通信に関する基礎実験データが示された.こういった実験データはあまり他では開示されておらず,貴重なデータであると思われる. アンテナ構成法に関しては,アンテナの素子相互結合までを考慮したMIMOアンテナの設計法が近年注目を集めており,PanasonicとNTTよりこの内容に関する発表が行われ,セッション後も活発に議論が行われた. 会場のキャパシティである60名程度の聴講者が常に集まり,活発な討議か交わされた.シンポジウムとしての目的は十分達成されたと思われる.