◆シンポジウム講演「メタマテリアルアンテナ」


日時: 2007年3月20日(火)〜23日(金)
    (2007年総合大会)

場所: 名城大学 天白キャンパス

オーガナイザ: 佐藤 和夫 ( (株)豊田中央研究所 )


【提案趣旨】
メタマテリアルは,自然界にはない優れた特性を示す人工材料である.特に,近年,負の誘電率と透磁率を有する左手系材料が注目されている.最近の研究では,物理現象の解明だけではなく,メタマテリアルを応用した新しい小形アンテナ,ビーム走査アンテナ,広帯域カップラー,電波吸収体などのマイクロ波,ミリ波帯デバイスの開発が積極的に進められている.これら新しい技術により,無線通信の飛躍的な性能向上が期待されている.本シンポジウムは,このような背景を踏まえて,メタマテリアルアンテナの最新技術について広く論文の投稿を公募し,現状の技術課題及び今後の技術展望について多角的な討論を行う.


【開催報告】
 近年,メタマテリアルに関する研究が注目されてきており,今回,シンポジウム「メタマテリアルアンテナ」として企画した.メタマテリアル応用の漏れ波アンテナに関する発表が6件,小形アンテナに関する発表が2件,合計8件の講演を実施した.
 メタマテリアル応用の漏れ波アンテナに関しては,ストリップ線路タイプが3件,誘電体共振器と導波路を組み合わせタイプが1件,導波管タイプが2件報告された.メタマテリアルを応用することで,指向性を広角にスキャンできることから,自動車レーダ,通信などへの応用が期待されている.しなしながら,克服しなければならない課題として,装荷LC素子による損失の低減,開口面の振幅分布制御などが,このシンポジウムで明らかになった.この対策として,スロット素子と組み合わせること(山口大)や,損失の少ない導波管(山口大,名工大)や誘電体共振器を利用するといった報告(京都工繊大/UCLA)が,新鮮な情報として注目された.
 小形アンテナでは,同軸線路(横国大/日本無線)やダイポールアンテナ(豊田中研/バーミンガム大)の中に,右手系/左手系線路を組み込み,アンテナを小形化するとともに,アンテナ上の電流分布を制御し,従来手法では困難な新たな放射特性を実現できることが示され,注目をされた.
 常時100名程度の聴講者があり活発な討議か交わされた.シンポジウムとしての目的は十分達成されたと思われる.