◆シンポジウム講演「数m以下の無線通信を対象としたアンテナ・伝搬技術」


日時: 2007年9月10日(月)
    (2007年ソサイエティ大会)

場所: 鳥取大学 鳥取キャンパス

オーガナイザ: 関根秀一、庄木裕樹 ( (株)東芝 )


【提案趣旨】
近年,新たな技術領域として,比較的近距離において通信を行う無線通信システムが注目されています.たとえば,自動改札や流通分野で利用されているRFIDシステム,人体近傍における通信を前提としたBANシステム,また,ミリ波・UWBなどを用いて広帯域な伝送を実現するWPANシステムなどを始めとする種々のシステムがこれにあたります.本シンポジウム講演では,これらシステムの実現におけるキー技術である,最新のアンテナ・伝搬技術の発表およびディスカッションを行います.


【開催報告】
 RFIDシステム,無線PANシステム,無線BANシステムなどの近距離無線システムに関する研究が注目されてきており,それを実現するアンテナおよび電波伝搬技術を対象として今回のシンポジウム「数m以下の無線通信を対象としたアンテナ・伝搬技術」を企画した.ミリ波WPAN用アンテナに関する発表が2件,RFIDシステム用のアンテナおよび電源回路に関する発表が6件,人体近傍における電波伝搬に関する発表が2件の合計10件の講演を実施した.
 ミリ波関係では,ミリ波帯超小型モジュールを低コストに実現するためのALIVH基板を用いた60GHz帯小型モジュール用アンテナ(東北大),ミリ波UWB用に開発された2段駆動パッチを有するミリ波帯広帯域スタック型パッチアンテナ(電通大・NICT・東研)について報告があり,どちらもミリ波PANの実用化の観点での注目が高かった.RFIDシステム関係では,2.45GHz帯無線ICタグ用薄型アンテナ(摂南大・関西RFT),RFIDにおける素子間相互結合と最大読み取り距離に関する検討(茨城大・日立),UHF帯無線タグ用の超小形矩形ノーマルモードヘリカルアンテナ(防衛大),RFIDタグの電源回路におけるダイオードを含めた共振設計(東京理科大),UHF帯RFIDタグの近接時における伝達利得の変化(東京理科大)について報告があった.2.4GHzおよび900MHz帯でのRFIDシステム実用化に向けた様々な研究が紹介され,聴講者からの反響が高かった.また,人体近傍の電波伝搬技術関係では,UWB帯域における人体の電気特性を模擬するための2/3倍スケールモデルファントム(立命館大),人体埋め込み型デバイスへの応用を考慮した人体内外における超広帯域伝送路特性のモデリング(名工大)について報告があり,無線BANや医療応用という新しい分野の研究として注目が高かった.
 本シンポジウムには,100名程度の多く聴講者が集まり,質疑等も活発に行われた.シンポジウムとしての目的は十分達成されたと考えられる.