◆チュートリアル講演「メタマテリアルの特性とアンテナへの応用」


日時:2006年3月25日(土)13:00〜15:45
   (2006年総合大会)

場所:国士舘大学 世田谷キャンパス 6号館6302教室

発表件数:4件

参加者:120名程度


【提案趣旨】
メタマテリアルとは,新たな電磁波現象を実現する人工構造の総称であり,起源は1968年にVeselagoが理論的存在可能性を指摘した負誘電率・負透磁率を有するDNG(Double Negative)物質とされる.その後2001年,Shelbyらのマイクロ波帯負屈折率媒質の実験的検証に至り一気に注目を浴び,現在,EBG/PBGなどの周期構造をも含めて,「メタマテリアル」として欧米の電波関係者を中心に盛んに研究されている.しかしながら,啓蒙書・専門書が未刊のため一般技術者にとっては「興味はあるが,手が出しにくい」というのが国内の現状と予想される.そこで非専門家向けの,基礎概念,原理,アンテナへの適用例,研究動向などを中心としたチュートリアル講演を企画し,国内研究の活性化を図りたい.


【開催報告】
以下のプログラムで開催した.座長はコーディネータ 宮下裕章(三菱電機)が担当した.

AP研委員長挨拶 安藤 真(東工大)
BT-1-1 メタマテリアルとは何か(60分) 真田篤志(山口大)
BT-1-2 メタマテリアルのアンテナへの応用(30分) 中野久松(法政大)
BT-1-3 メタマテリアルと電磁界解析(30分)宇野 亨(東京農工大)
BT-1-4 メタマテリアルの研究開発動向とアンテナ応用への期待(30分) ○三須幸一郎・井幡光詞(三菱電機)

まず真田氏より広い意味でのメタマテリアルの定義,歴史,基本特性などが紹介された.続いて中野氏よりEBG上のアンテナの特性,左手系媒質による小形アンテナの放射効率改善など,興味を引くアンテナへの応用例が示された.さらに宇野氏よりDNG媒質解析における多価関数の分岐の取り方の初等的説明,波動伝播のFDTDシミュレーションによるアニメーションなどが披露された.最後に三須氏より関連分野論文投稿・特許出願件数等の推移,国際会議における企業からの発表の紹介,今後のアンテナ応用への期待等が述べられた.聴講者も多く、議論も活発に行われ、チュートリアルの目的は十分達成されたと思われる.