東日本大震災以降,エネルギーをとりまく環境が激変しています。原子力発電の見直し,需給逼迫に対するリスク管理,デマンドレスポンスや分散電源の必要性,市場取引の拡大,再生可能エネルギーの大量導入など,エネルギー供給や利用のあり方に対して疑問が投げかけられ,エネルギー政策の見直しや電力システム改革が進行しています。また,このような社会環境の下,広く電気エネルギーに対する関心が高まっています。
そこで,電気工学に関する学術団体である電気学会において,工学的視点で正確な情報を提示することを目的として,「安全・安心社会の電気エネルギーセキュリティ特別調査専門委員会」が設置されました。現在,電力システムが我が国の極めて重要な社会インフラであるとの認識に基づいて「セキュリティ」をキーワードに課題の整理を試みています。社会インフラとしての電力システムを,安全・安心な社会の実現に向けてどのように次世代に引き継ぐかを真摯に考え,改めて問題の重要性や日本の将来像との関わりについて知見を深めることを目指しています。
本シンポジウムは,特別調査専門委員会の活動の一環として開催されるものです。今回は委員会のメンバーでもある3 名の著名な専門家を講師としてお招きし,エネルギーセキュリティ,電力システムセキュリティ,再生可能エネルギー,デマンドレスポンス,電力システム改革といったキーワードに基づいて,それぞれの立場からご講演いただきます。 |