MVE賞について

MVE研究会では2007年6月より、各回の研究会で発表された発表論文からベストペーパーを選出し、「M V E 賞」を贈呈することになりました。

MVE賞に選出された方々には、研究会での表彰をはじめとし、HCG賞へのご推薦や論文特集号投稿へのご推薦など様々な特典が用意されております。

皆様におかれましては、今までにも増しての研究会への積極的なご投稿をよろしくお願い申し上げます。

 

MVE賞の概要

この賞は、MVE研究会で発表された研究の中から内容、発表等が優秀なものを表彰することにより、研究会活動の活性化を図ることを目的とします。

原則として毎回の研究会発表から1件を選びます。候補の選出は当該研究会の会場で講演を聴講した者に制限し、幹事団が合議により授賞講演を決定します。

受賞者には後日委員会名で通知を送付します。また発表のあった翌月以降の研究会会場で表彰式を行います。

受賞者(発表者)には表彰状の授与と、表彰式を行う月の研究会へ招くとともに、懇親会に無料で招待します。

MVE賞の授賞論文は、毎年度末にHCG傘下の各研究専門委員会が選出するHCG賞の候補とします。

なお、MVE賞は9月1日〜翌8月末を年度としています。

2016年度受賞者

講演番号:MVE2016-8
題目:タスク処理行動に関するライフログを用いたタスク成否予測の基礎的検討(7月研究会)
著者:三田涼介・竹内俊貴・谷川智洋・鳴海拓志・廣瀬通孝(東大)
タスクの適切な管理は多くの人に関わる重要な課題であるが,これまで「定番ツール」と言えるような普及した解決策はなかった.本研究は,実際のタスク処理に関するライフログを解析し,機械学習を用いてタスクが締め切りまでに完了するかを予測することにより,効果的なタスク管理ツールの構築を目指すものである.学術的なアプローチにとどまらず,ライフログの実データが取得可能で,機能等の修正が随時可能なタスク管理サービスプラットフォームを用いている点が研究の将来性を期待でき,実際にタスク管理に関する知見が得られている点が評価できる.以上より,本研究をMVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2016-4
題目:SNS投稿写真の画像内容に基づく地域間の類似度算出に関する検討(6月研究会)
著者:滝本広樹・川西康友・井手一郎・平山高嗣(名大)・道満恵介(中京大)・出口大輔・村瀬 洋(名大)
本研究では,SNSへ投稿された写真の画像内容に基づいて地域間の類似度を算出する手法の検討結果について述べている.未だに訪れたことがない地域の雰囲気を旅行計画者が把握することは難しいが,既に雰囲気を知っている地域とコンテキストが似ていることが分かれば,知らない地域の雰囲気を想像できる.そこで本研究では,地域間の類似度を算出するために,各地点で撮影されたSNS投稿写真の内容を分析し,その特徴を大勢の人の興味対象に基づいた地域の雰囲気を表すものとして利用することで,旅行計画者に未知の地域の雰囲気の把握を手助けする仕組みの検討を行っている.このSNS投稿写真から撮影場所の雰囲気を推定する手法の着眼点が評価できるものである.以上より,本研究をMVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2015-65
題目:磁性シートの磁力制御に基づく積層させた複数紙面への同時描画システム(3月研究会)
著者:塙 克樹・橋田 朋子(早大)
本研究では,磁力により印字や消去が可能な積層したリライタブルシートに濃淡のある同時描画システムを構築するための基礎実験を行っている.筆者らは磁力を制御することで任意の複数紙面に同時に印字できるシステムを試作し,磁束密度に対する磁性シートの特性を明らかにするため2種類の基礎実験を行い,磁束密度の制御により色濃淡や描画枚数の関係を制御可能であることを示した.現時点では萌芽研究のため用途が明確化されておらず,基礎実験にとどまっているが,柔軟性のある積層シートに同時に描画することや濃淡が変えることができれば様々な応用が考えられ今後の研究の大きな発展が期待できるため萌芽的研究として優れている.以上の理由により本研究をMVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2015-62
題目:電気刺激を用いたバーチャル食感提示手法に関する一検討(3月研究会)
著者:新島有信・小川剛史(東大)
本研究では,電気刺激を咀嚼筋に提示することにより様々な食感をユーザに提示するシステムの提案とその基礎的評価実験を行っている.EMGセンサを用いた食感計測システムにより様々食材の食感を電気信号の最大振幅値とパルス幅によってパラメータ化し,それを医療用電気刺激装置を用いてユーザに提示するシステムを構築している.また,このアプローチの有効性を被験者実験により評価している.システムの評価が被験者1名という問題はあるものの,バーチャルな食感を与えるというシステムの着眼点は大きな新規性と今後の発展が期待できるものであり,ユーザに新たな経験を与えるメディアの研究として評価できるものである.以上より,本研究をMVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2015-58
題目:視線による描画動作を用いた個人認証手法に関する一検討(3月研究会)
著者:向井寛人・小川剛史(東大)
視線による描画動作は,その動作を行っている様子を外から観察することが難しく,個人認証の新しい一方式となりうる力を秘めている.視線で描画を行うという全く新しい作業をユーザに要求することが技術的関門となるが,基礎的な実験によって,その見通しについても議論がしっかり成されている.このような,新しいHI技術で社会をよりよくしていく取り組みを,本研究会として高く評価する.
講演番号:MVE2015-25
題目:力覚提示によるストリートダンス訓練システムの提案と開発(9月研究会)
著者:川崎太雅・赤羽克仁・長谷川晶一・佐藤 誠(東工大)
本研究では,ワイヤ駆動型の力学提示装置を用いて身振りの訓練を行うシステムを提案している.従来のシステムは視覚による訓練情報の提示が主であったのに対し,本研究では発表者らがこれまでに構築してきた力覚提示システムを拡張し全身への提示を行うために必要なシステムを設計している.現時点では縮小スケールでの実験に 留まっているが,学提示による教示により人の体験を拡張させ人の能力向上を実現するものであり,今後の研究の大きな発展が期待できる.以上の理由により本研究をMVE賞に推薦する.

 

2015年度受賞者

講演番号:MVE2015-9
題目:性別印象操作による男性間の遠隔コミュニケーションにおけるソーシャルタッチの効果向上手法に関する研究(7月研究会)
著者:鈴木啓太(東大)・横山正典(NTT)・木下由貴(東大)・望月崇由・山田智広(NTT)・櫻井 翔・鳴海拓志・谷川智洋・廣瀬通孝(東大)
本研究では、遠隔地の状況を正確に伝えることを目指すテレプレゼンスシステムと比べ,伝送情報を拡張することを特徴とし、これを利用した対面を超える遠隔コミュニケーションのあり方を検討している。従来のテレプレゼンスシステムの概念を拡張するものであり、今後の発展を期待させるものである.以上より,本研究をMVE賞に推薦する。
講演番号:MVE2015-3
題目:可視光通信プロジェクタを用いた映像上における群ロボット制御の基礎検討(6月研究会)
著者:平木剛史・高橋一成・福島政期・苗村健(東大)
本研究ではARにおける基本的な問題の一つである,仮想空間と実空間の位置合わせの問題に対して,不可視情報を平面に投影する装置と,それを読み取って行動する群ロボットの組み合わせによる解決を提案している.空間への不可視情報の埋め込みそのものは近年では良く知られた方法であるが,タンジブル・メディアである群ロボット自身にそれを読み取る機能を実装することで,人間にシステムの存在を意識させないシンプルな構成となっている点は高く評価できる.また実装したシステムの輝度特性や空間分解能についてもしっかりとした精度評価がなされており,タンジブル・メディア の一つの形として,今後の発展を期待させるものである.以上より, 本研究をMVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2014-116
題目:空気玉触覚インタフェース『Puff・Puff System』による生理状態制御のための基礎的研究(3月研究会)
著者:山口真美・上岡玲子(九大)
本研究ではオフィスワークにおける眠気や集中力低下状態の緩和を目的とし,空気砲の原理を利用してユーザへの働きかけるインタフェースを 提案している.触覚刺激に敏感であると知られる頬に空気玉をあてるというアイディアは周囲に影響を与えずに個人にのみ働きかけるという意味で優れているだけでなく,空気玉の速さや衝撃をコントロールすることにより,ユーザへの多様な働きかけができる可能 性があり興味深い.これらの多様な可能性や,より複雑な作業に対する反応などについてはさらなる調査が待たれる面があるものの,報告にある実験の中でも特に空気玉を放つ間隔の違いが引き起こす効果の違いなどの結果は示唆に富んでおり,この基礎的なデータは関連する後続の研究に大きく資するものであると考えられる.以上より, 本研究をMVE賞 に推薦する.
講演番号:MVE2014-99
題目:文書特徴と音声特徴を用いたプレゼンテーションの印象推定(3月研究会)
著者:山崎俊彦・福島悠介(東大)・徐 建鋒・酒澤茂之(KDDI研)
本研究ではTED・フプレゼンテーションデータを対象に,そのプレゼンテーションの印象推定を行う手法を提案している.プレゼンテーションの発話文からword2vecによって得られる内容特徴と,内容に左右されない構文特徴,さらにプレゼンターの音声の高低や強弱からなる音声特徴を入力とし,informativeやconfusingなどのような印象をクラス識別により推定している.プレゼンテーション動画についてはまだ分析対象とはされていないものの,マルチメディアを用いた印象推定の手法はMVE関連研究の新たな研究アプローチとして斬新であり,また,プレゼンテーションだけでなく他のアプリケーションへの発展も期待できる.以上の理由によりMVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2014-73
題目:眼球特性と等距離制約を用いたカメラとその視野外に存在する物体の最小構成外部キャリブレーション(1月研究会)
著者:高橋康輔・三上 弾・小島 明(NTT)
スマートフォンのようなディスプレイ・カメラシステムでは、カメラの撮影範囲内にディスプレイが存在しないため、カメラとディスプレイの位置関係のキャリブレーションを行うためには鏡等の器具を用意する必要があるが、本研究は眼球の角膜球を球面鏡として用いることで、追加の装置を用いることなくキャリブレーションを可能とする方法を提案し有効性を示した。多くの不確定なパラメータが存在するが、人の眼球の平均的な大きさを用いた眼球モデルを用いることで、必要なパラメータを算出可能とした。等距離制約が満たされない場合や角膜球の半径の誤差の影響等に対応する必要があるが、これらの影響についても検討結果を示している。ユニークな着想に基づき、しっかりと分析、実装を行い、的確に説明しており、今後のより実用的な評価が期待される興味深く優秀な研究である。よって、MVE賞に推薦する。
講演番号:MVE2014-54
題目:ユーザーの心拍数を利用した恐怖情動増幅システムの構築(1月研究会)
著者:石垣弘哉・上岡玲子(九大)
デジタルコンテンツの中でも広く流通する映像コンテンツの面白さを高める手法として本研究ではバイオフィードバックと同期現象に着目し,ホラー映画を視聴中のユーザーの心拍数に合せて振動を提示する装置による引き込みの影響を検討している.被験者実験を通じて,ユーザーの心拍数に影響を与えるために高い心拍数を提示することで,コンテンツ視聴・・フ被験者の心拍数を高く保てる効果が観察されている.本研究は,今後のデジタルコンテンツの応用の在り方を考える上で,有益な研究であり,将来の発展が期待される.よって,MVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2014-37
題目:特徴量の削減と合成に基づく体感品質に優れた画像修復(9月研究会)
著者:五十川麻理子・三上弾・小島明(NTT)
本研究は、画像中に映り込んだ意図しないオブジェクトを画像から除去し欠損部分を補う補完方法に関するもので、入力画像・映像をグレースケール空間に変換し、グレースケール空間で画像を修復し、修復後に画像を再着色することで、欠損部分を修復した画像を生成する方法を提案している.次元を下げた特徴量空間において欠損部分を補う画像を探索するため、より容易に修復に使用可能な画像片を発見することができる。本研究では、提案手法を実装し画像修復実験を行うことで、提案手法の効果と課題を示しており、内容、発表ともに優秀であった。以上により、本研究をMVE賞に推薦する。

 

2014年度受賞者

講演番号:MVE2014-11
題目: アクティブマーカを用いた注視判別システム(6月研究会)
著者: 加藤大暁・中澤篤志・西田豊明(京大)
本研究は,奥行きが異なったり位置が固定されない対象についても視線が向けられていることを安定して判別可能とすることを目的に,異なるパターンで点滅する赤外線LEDによるアクティブマーカを用いた方法を提案している.今・縺C対象が多い場合の対応方法や,コミュニケーションの文脈で使用しやすい装置形状の設計などが進めば,実空間で行われる動的な活動の中の視線の動きを効果的に観測する方法として,コミュニケーション分析などに効果を発するものと考えられる.また,このようなアプローチを引き出した課題設定も評価できる.これにより,本研究をMVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2013-66
題目: 時空間拘束を利用した車両前照灯の路上反射位置推定(3月研究会)
著者: 小林直樹・北原 格・亀田能成・大田友一(筑波大)
道路監視カメラを利用して夜間の車両位置推定を行う研究である.前照灯の光により車両位置を推定する際,前照灯の高さが未知であるため,前照灯の像単独では正確な位置推定を行うことができない問題が存在した.本研究では,・H面による前照灯の鏡面反射光を利用し正確な位置推定を行う手法を提案しており,さらに本発表では道路標示などによる路面反射係数の相違の影響を避け・驍スめ,探索範囲を絞り込むことにより精度の高い位置推定を実現した.利用環境を考察した上で実用性の高いアイデアが提案されているとともに,実際の画像を用いた検証を通して提案手法の効果が明確に示されており,今後の実用化が期待される.以上により,本研究をMVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2013-68
題目: 料理レシピと特許データベースからの料理オントロジーの構築(3月研究会)
著者: 土居洋子・辻田美穂・難波英嗣・竹澤寿幸(広島市大)・角谷和俊(兵庫県立大)
本研究では,料理コンテンツの解析において必要になる料理オントロジーを構築している.従来,このようなオントロジーは人手で小規模に構築された・烽フがほとんどであったが,著者らは自動的に大量の料理コンテンツを解析することで,大規模なオントロジーを構築した点で高く評価できる.その際に,厳密に記述されていることが期待される特許公開公報からエントリの上位・下位を抽出しておき,その次に,曖昧に記述されることも多い料理レシピから同義語を収集する,というデータの性質をうまく利用した手法は秀逸である.また,構築したオントロジーを一般公開している点でも高く評価でき,今後食メディアの研究分野で広く使われる情報資源となることが予想される.以上より,本研究をMVE賞に推薦する.
講演番号:MVE2013-115
題目: ユーザの仮想カメラ操作を考慮した位置姿勢補正による自由視点映像の生成(3月研究会)
著者: 大川原友樹・北原 格・亀田能成・大田友一(筑波大)
本研究では,自由視点映像視聴での体感品質向上に重要な要素のひとつである視聴インタフェースの研究に取り組んでいる.従来より,仮想カメラの位置姿勢を操作することで直感的に自由視点映像の視点を制御することが行われてきた.しかし,映像撮影技術を持た・ネい視聴者が仮想カメラ操作を行う場合,適切な構図で撮影されず,映像として見やすいものにならない可能性がある.本研究ではこの点に着目し,撮影される映像を,被写体同士の重なり,撮影対象の移動,そして,前提とする自由視点合成手法における解像度の変化までを考慮に入れ,ユーザの入力視点を見やすい仮想カメラ視点へと自動補・ウする.この映像としての見やすさに注目した仮想カメラ視点補正は高い新規性と有用性を兼ね備えたものであり,今後さらなる発展が期待される.以上より,本研究をMVE賞に推・Eする.
講演番号:MVE2013-23
題目: 可視光プロジェクタの多重化に関する基礎検討(9月研究会)
著者: 田中恭太郎・福嶋政期・苗村 健(東大)
本研究では,プロジェクタの投影光を比較的高周波に点滅させることで情報を埋め込んだ画像を投影する「可視光通信プロジェクタ」に関する技術と,複数のプロジェクタの投影画像をつなぎ合わせる「マルチプロジェクション」に関する技術を組み合わせる方法を提案している.このような技術はこれまでになく,さまざまな応用可能性を秘めた面白い挑戦である.また,本研究ではそのために必要な受光方式の比較検討を行っている.これは本技術を実現するために必須の基礎的になると考える.以上の点から,本研究をMVE賞に推薦する.

 

2013年度受賞者

講演番号: MVE2013-7
題目: ビデオチャットを用いたブレインストーミングにおける表情変形の効果(6月研究会)
著者: 中里直人・吉田成朗・櫻井 翔・鳴海拓志・谷川智洋・廣瀬通孝(東大)
本研究ではビデオチャットの対話者の容貌を笑顔に変化させブレインストーミングの能力を向上する手法を研究していた。これまでの研究では、実際のFace To Faceのコミュニケーションにより近づくことを目的とし様々な技術を導入していた。しかしながら、本論文はVR・AR技術を適用することで、実際のFace To Faceでのコミュニケーションを超えた効果的・効率的なコミュニケーションの実現の可能性を探る挑戦的な論文であり、この点を受賞理由とする。
講演番号: MVE2013-5
題目: 雑音抑圧法を用いたステレオ型自動カラオケアプリの開発(5月研究会)
著者: 武田 駿(諏訪東京理科大)・名取隆廣(東京理科大)・田邉 造(諏訪東京理科・蛛j・古川利博(東京理科大)
本研究は,ボーカル入りのステレオ楽曲から,ボーカル信号を抑圧してBGM(カラオケ用)信号を生成する手法の提案と実装に関するものである.従来手法におけるステレオ楽曲の臨場感損失という問題を解消し,高品質なステレオBGM信号の抽出を可能にした.提案手法の効果は,信号のスペクトル・析およびユーザによる主観評価により確認されている.さらに,提案手法をスマートフォン上に実装して公開し,一般ユーザが手軽に利用できる形で提供している.提案された手法の有効性が高く評価されるだけでなく,開発したソフトウェアを積極的に世の中に送り出し普及に努める姿勢は,工学的な見地からも特に高く評価される.
講演番号: MVE2012-144
題目: 名札を用いた来館者の鑑賞方向センシングにおける展示物の配置間隔の影響(3月研究会)
著者: ソ ミギョン・苗村 健(東大)
来館者へのフィードバックのために非常に有効である。本研究では、UHF帯のパッシブRFIDを埋め込んだ紙メディアの名札を各来館者に首から下げてもらい、ミュージアム館内に横並びに設置した複数のアンテナで、その名札(来館者)の位置と方向に関する情報を取得する手法を開発し、性能評価を進めている。タイトル・ナは、方向センシングとしているが、位置と方向は分離できないため、アテンションをセンシングしていると言うべきであろうが、来館者側の装置コストを低く抑えつつ、リッチな情報を取得できる本手法の将来性は高く評価できる。以上のことから、本研究をMVE賞に推薦する次第である。
講演番号: MVE2012-137
題目: スポーツハイライト映像作成のためのTwitter熱狂度に基づいたイベント検出(3月研究会)
著者: 富田大志(名大)・道満恵介(中京大)・井手一郎・出口大輔・村瀬 洋(名大)
本研究では、ツイッターの投稿より、スポーツにおける“Twitter熱狂度”を算出し、これに基づきスポーツハイライト映像を作成するためのイベント検出手法を提案している。この手法では、視聴者の熱狂した瞬間に発せられる興奮を表す文字列特徴を検出に用いるために、言語やスポーツ種目に依存しないハイライト場面の抽出を可能にした。このように、スポーツだけでなく様々な状況に適用可能な本手法のスケーラビリティの高さは目を見張る。これにより、本研究をMVE賞に推薦する。
講演番号: MVE2012-53
題目: オープンスペース内における複数人・物間の偶発的インタラクションの参与者グループ認識(1月研究会)
著者: 喜住祐紀・角所 考(関西学院大)・舩冨卓哉・飯山将晃(京大)
本研究では、オープンスペースに複数人の人物や物が存在している場合に、空間の排他性を考慮して偶発的インタラクションの参与者グループを認識する試みがなされている。より現実的な状況での精度評価は今後の課題であるが、空間の意味は、人と人、さらに物と配置で動的に変化するため、それに応じてアンビエント環境やロボットを制御し・トいく必要があることを考えただけでも、本アプローチの適用範囲は広い。これは、MVE研究会で扱うべき課題の開拓にもつながる。以上のことから、本研究をMVE賞に推薦する次第である。

 

2012年度受賞者

講演番号:MVE2012-20
題目:拡張現実感を利用した物体の明度操作による重量知覚および作業疲労の 操作手法の基礎検討(6月研究会)
著者:藤井達也・伴 祐樹・井村 純・鳴海拓志・谷川智洋・廣瀬通孝(東大)
本研究は、物体の見かけを加工して提示することにより、その見かけ上の重みを操作しようとする面白い試みである。このような操作が可能になれば、実世界の様々な用途におけるインタフェースへの適用が期待され、将来性が期待される研究である。また、将来、本発表において実験がなされた明度のみではなく、他の画像特徴や形状も加工することで、多彩な提示方法の実現が期待される。以上の点から、本研究をMVE賞に推薦する次第である。
講演番号:MVE2012-6
題目:快適な飲酒を支援するコースター型飲酒検知デバイスの開発(5月研究会)
著者:植田将基・久原政彦・伊藤 誠・遠藤 守・山田雅之・宮崎慎也(中京大)
心身が健康的でいられないほどの飲酒を防ぐために、飲酒量を検知するコースター型デバイスを提案し実装した萌芽研究である。組み込み技術を用いたコースター型デバイスに飲酒量を表示することで、飲酒者自身はもとより周囲の人々にその飲酒量を的確に認識させられる。さらにスマートフォンなどを用いて、その飲酒量に応じたケアを提示することで、心身を健康な状態に保つことを提案している。これら新規性とその独特の着眼点によりMVE賞に推薦する。
講・鉛ヤ号:MVE2011-103
題目:電気味覚の応用による食メディア開発(3月研究会)
著者:中村裕美(明大)・宮下芳明(明大/JST)
本研究は、電気刺激により舌上に仮想的に味覚を生じさせる技術を用いて、飲食物に味を添加する方法及びその応用例を提案している。これまで、五感のうち、視覚・聴覚の再現については広く普及しており、また触覚・嗅覚についても様々な研究事例がある。しかし、味覚の再現についてはほとんど取り組まれておらず、今後本研究が発展すれば、マルチメディア・仮想環境技術の発展に及ぼす影響は大きいと思われる。また、食メディアの分野においても、新たに応用分野が広がる可能性がある。以上の点から、本研究をMVE賞に推薦する次第である。
講演番号:MVE2011-129
題目:環境変化に適応する映像投影手法“Adaptive Image Projection”に関する研究(3月研究会)
著者:渡邉 暁・橋本直己(電通大)
本研究は,映像投影用に用意された専用スクリーン以外のさまざまな投影対象に対して,環境の動的変化に対してリアルタイムに適応しながら,幾何的整合性および光学的整合性を確保しつつ映像投影を行う研究である.幾何補正,輝度補正は,これまでにそれぞれ先行研究が存在するが,多くは静的な環境を対象とした,もしくは変化への対応に時間を要するものであった.これに対し,本研究では幾何補正と輝度補正を同時に実時間で高速に(0.5秒程度以内で)行っており,動的な投影環境変化が生じる状況における有用性は大きい.本研究における手法の基本原理自体は過去に提案された手法を基礎としてはいるが,幾何補正用の形状計測にKinectを導入し,GPUを利用した高速実装を行うなどのさまざまな工夫を行い,リアルタイムシステムを構築して検証を行ったことは,システム化技術の観点で高く評価される.
講演番号:MVE2011-80
題目:無人飛 行船に搭載された2台の全方位カメラを用いた不可視領域のない全天球HDR画像の生成(1月研究会)
著者:大倉史生・神原誠之・横矢直和(奈良先端大)
本発表は、無人飛行船で空撮した動画像を、高品質なテレプレゼンス用全天球映 像コンテンツに変換するために、撮影機器の映り込み等による不可視領域や,ダ イナミックレンジ不足による白とびに関する課題について論じたものである。飛 行船の上下に搭載した全方位カメラを用いた、ハイダイナミックレンジ(HDR) 撮影、NDフィルタの利用と色補正、2台の全方位カメラ画像の位置合わせや合成 等、各技術の新規性が高いとは言えないが、今回の条件に対して効果的に各技術 を適用し、システム研究としてレベルの高いものとなっている。さらに、実際に 無人飛行船で空撮を行い不可視領域のない全天球HDR映像の生成をしているが、 そのコンテンツとしての品質はアプリケーションによってはすでに実用に耐えう るレベルであり、その点も評価できる。

 

2011年度受賞者

講演番号:MVE2011-46
題目:リンク機構を構成するリール式アクチュエータ群による動的3次元形状表・サ(10月研究会)
著者:武井祥平・飯田誠・苗村健(東京大)
本研究では、リール、具体的には金属製の巻尺を用いてコンパクトに格納できるようにしつつ、従来と比較して大幅に伸長距離を延ばした機構を提案し、様々な利用方法を検討している。本発表では、この機構を用いる際の力学的限界を測定するとともに、駆動部を移動できるようにすることで、様々な3次元形状を動的に表現できるようにしたことが報告された。リールを用いた機構という発想が斬新であるだけでなく、物理的限界もふまえたうえで、様々な応用可・\性を検討している点で評価できる。また、今後はブレーキ機能の導入により、装置全体を移動することもできるようになると考えられ、メディアアートに限らず、様々な応用への発展が期待される研究である。
講演番号:MVE2011-24
題目:頭部前面における風覚の水平角分解能の測定(6月研究会)
著者:中野拓哉・佐治翔太・柳田康幸(名城大)
嗅覚を対象としたバーチャルリアリティにおいて,匂い源の方向定位のために,香りの媒介となる風に着目し,鼻先における風覚の水平分解能に着目した研究である。計測のためのシステムを構築し・C80cm離れた位置に10度間隔で左右に60度ずつ合計13地点からの風を識別する実験を行っている。風覚のみによる判断を促すために,視覚や聴覚による手掛かりを排する工夫がよく凝らされている。頭部を固定した場合の方が,自由に動かしてよい場合に比べて高い正答率が得られている点が興味深い。これは,側面に比べて正面の方が風を感じ難いためであると考察されており,風覚の特徴をよく表している。まだまだ未開拓の分野であり,意欲的なテー・}に正攻法で臨んでいる点が高く評価される。
講演番号:MVE2011-4
題目:ソラ・カラ −太陽光を活用した発色による空間演出−(5月研究会)
著者:橋田朋子(東大)・筧 康明(慶大)・苗村 健(東大)
太陽を紫外光及び可視光の光源として用い,フォトクロミック材料と組み合わせて光・w設計を工夫することで,発色を制御して場を演出する仕組み”ソラ・カラ”を提案している大変興味深い研究である.太陽の動きや空の様子を反映した演出を行い,可視光でそれを確認できることと,発色に要する時間と消色に要する時間のバランスの取れた材料設計を行うことで,場に入ると直ちに人の影が現れ、しばらくそれが残るような演出を実現することの2つを目標として設計され,ミニチュアサイズの模型を用いた実証実験によってその高い有効性が示された.これは太陽や空といった自然環境と,その場の様子を利用して演出を行う新しい概念に基づいた情報提示手法であり,発色材料のさらなる検討や発色制御の多様化に加えて,パブリックスペース等への実装及びその評価が大いに期待される.
講演番号:MVE2010-166
題目:色盲者支援のための混同線理論に基づく認識困難領域検出(3月研究会)
著者:藤井裕士・小川剛史(東大)
日常生活において,色覚異常を持つ人にとって認識困難な色遣いを検出し,その領域を提示することにより色覚異常者に対する支援を行う研究である.提案方式では,情報発信者側に色覚異常を考慮したコンテンツ制作を強いることなく,情報受信者側での対応によって色覚異常者を支援するアプローチをとっており,情報発信者,受信者双方にとって負担が少なくなると予想される.開発されたツールは,混同色線に基づいて抽出した認識困難箇所を絞り込んで提示するものである.色めがねなど色変換を行う従来方式と比較したところ,異なる使われ方をされることが明らかになり,より広い範囲での支援が可能になると考えられる. 社会におけるニーズを的確に把握し問題の解決を試みる研究であり,今後のさらなる進展と実用化が大いに期待される.
講演番号:MVE2010-162
題目:Twitterの実況書き込みを利用したスポーツ映像の要約(3月研究会)
著者:小林尊志・野田雅文・出口大輔(名大)・高橋友和(岐阜聖徳学園大) ・井手一郎・村瀬 洋(名大)
Twitterの即時性と投稿情報数の大量さを利用し,ユーザの属性に近い集団の投稿数の推移を参考にしながら,それぞれの属性に合わせてスポーツ映像を自動的に要約して提示する興味深いシステムである.実験には例として野球中継が取り上げられ,各投稿をどちらのチームを応援しているものかに自動的に分類する手法が示され,テレビ局が制作したハ・Cライト映像との比較によって提案システムによる要約映像の有用性が示された.本手法によれば,Twitterの投稿という自動的に用意されるデータベースを基にして,ユーザごとに多種多様な好みの視点が存在するスポーツ映像を,様々な切り口で即興的に自動要約できる可能性がある点が評価できる.情報として価値の低い投稿の排除など,システムとしての品質を向上させるためには取り組むべき課題が幾つかあるとは考えられるが,今後のさらなる発展を期待したい研究である.
講演番号:MVE2010-111
題目:織物のデジタル文化財のリアルタイムかつ直接的視触覚提示システム(1月研究会)
著者:脇田 航・野村和義(立命館大)・赤羽克人(東工大)・一色正晴(愛媛大) ・田中弘美(立命館大)
上記講演では,直接触れて計測することのできない文化財を高精度にモデル化し,視覚と触覚の両面から実時間処理によって再現するシステムが提案されている.レーザレンジスキャナやマルチバンドカメラを用いた文化財の高精度モデル化手法は,従来提案された技術を具体的な対象に応用した実例として貴重な報告であり,その他多くの対象への応用も期待される。また,それらのデータに対する触覚インタラクションは,高精度なモデル化とリアルタイム処理を両立したデザインとなっており,デジタルアーカイブの新しい提示方法を提案するものであるといえる.今後は,等身大システムへの拡張や,実現された触覚情報の再現性評価等にも期待される.

 

2010年度受賞者

講演番号:MVE2010-73
題目:スマートフォンを用いた強化現実型コミュニケーションシステム(10月研究会)
著者:田中秀明・廣野大地・富澤勇介・高井昌彰(北大)・野本義弘(NTT)
本発表は、携帯端末のカメラで撮影された画像に対して特徴量抽出と高速なマッチング処理を行い、建造物や看板等の現実世界のオブジェクトにメッセージを貼り付け、モノを契機とするコミュニケーションを支援する・coイルARシステムのための技術開発に関するものである。本発表に含まれる概念や個々の技術モジュールは従来から存在するものであるが、スマートフォン、サーバ(SURF特徴量やLSHハッシュ値を用いた画像処理・検索部、データベース部)を含むプロトタイプシステムを実際に構築して動作実験を行っている点は評価できる。また、この分野は近年非常に注目されており、国際会議での非常に多くの発表がなされている。その意味においても、本研究の今後の発展が期待される。
講演番号:MVE2010-25
題目:聴覚提示を用いた靴型デバイスによる歩行リハビリ活動支援システムの提案と試作(6月研究会)
著者:久原 政彦・山本 恭大・遠藤 守・伊藤 誠(中京大)
歩行リハビリの回復進捗を患者・ヨ実時間でフィードバックするための聴覚提示システムが提案されている.提案システムは,回復進捗を定量化するための靴型デバイスと歩行評価を実時間フィードバックするための聴覚提示デバイスから構成されている.靴型デバイスは,圧力センサを靴の中敷きに配置した構成になっており,患者が普段利用する靴に容易に装着できるように工夫されている.さらに,靴型デバイスを利用することで,患者の歩行運動を無拘束で計測でき,さらにリハビリ場所を制限しなくてよい利点が得られる.また,映像ではなく音声による回復進捗の提示により,患者の注視点を奪うことなくリハビ リに専念できる環境も提供できる.以上,提案システムは,実際の歩行リハビリ活動を支援する視点からさまざまな工夫が施され点が評価でき,今後の展開が期待できる.
講演番号:MVE2010-20
題目:無数の画像群の構図に着目したモノクロ画像の自動Colorization(5月研究会)
著者:森本 悠嗣,苗村 健(東大)
モノクロ画像のカラー彩色という,ユーザによる多くの手動操作が必要とされる作業に対し,完全な自動化を実現し・ス有用性の高い手法が提案されている.提案手法では,入手が容易かつ日々更新・増加し続けるWeb上の画像群の特徴に着目し,これらの中から類似した構図,及び輝度情報を持つ参照画像の適切な選択・決定を実現している.また,彩色の過程で必要不可欠な,参照画像からの適切な色情報の転送,及び色ムラの除去に ついても,高汎用性,及び完全自動化という観点からの工夫がなされている.これら一連の手順により,モノクロ画像の自然な彩色を・ゥ動化できた点は評価に値する.今後はモノクロ動画等への応用も期待され,将来性の点も併せて評価できる.
講演番号:MVE2009-132
題目:インタラクティブなデジタル展示ケースに関する基礎的研究(3月研究会)
著者:梶波 崇・林 織部・鳴海 拓志・谷川 智洋・廣瀬 通孝(東大)
博物館・ナの独立型展示ケースの展示手法・形式を踏襲しながら,デジタル展示の特性を活かしたインタラクティブな情報提示を行う基礎的な技術を構築し,実際の博物館展示を通じて,検証・評価した興味深い研究である.両眼視差と運動視差の組み合わせによる3次元表示や,操作用オブジェクトを用いた操作インタフェースなど,技術的な観点での取り組みに加え,博物館が培ってきた展示に関するノウハウを尊重しながら,これまで・フ博物館展示では実現が難しかった展示物の背景情報を効果的に伝えるための技術要素を開発した点が高く評価できる.多人数向けへの展示など,コンテンツの提示方法も含めたさらなる研究の発展が期待できる.
講演番号:MVE2009-150
題目:FTIR テーブルによる圧力センシングのためのフレームワークの構築とアートシミュレーションへの応用(3月研究会)
著者:原 健輔(中京大)・浦 正広(名大)・山田 雅之・遠藤 守・宮崎 慎也(中京・蛛j・安田 孝美(名大)
アートシミュレーションへの応用を想定した,テーブルトップでの圧力センシングのためのフレームワークを構築した興味深い研究事例である.本フレームワークを利用して,手で表面を直接操作する「サンドアニメーション」と,器具を用いて表面を操作する「レインボーアート」という異なる性質を持ったアートシミュレーションを実現しており,フレームワークの汎用性・有効性が高い.また,従来手法と異なり,接地面の形状を保持しながらその移動を追跡しポインタとして扱えるようにしているが,そのための処理時間が十分短く・Cインタフェースとしての操作性が高い点も評価できる.他のアートシミュレーションや卓上インタフェース一般への応用など,今後も研究の発展が期待できる.
講演番号:MVE2009-113
題目:ウィンドシールドディスプレイを用いた道路鏡像提示に於ける幾何整合性と見易さの関係(1月研究会)
著者:川俣 貴也,北原 格,亀田 能成,大田 友一(筑波大)
自動車のフロントガラス上に運転支援情報を提示するための・ュb研究として,興味深い実験結果を示している.従来研究では,現実世界と仮想世界を継ぎ目なく融合するために,CG映像と現実風景の幾何整合性が重視されてきた.しかし,本研究の主観評価実験では,幾何整合性を厳密に持たせるよりも,ある種のずれを認めて提示したほうが,運転支援にとっては効果的であることを示唆している・D多様な運転シーンに対して有効な知見を得るには,まだ多くの課題が残されているものの,複合現実感の運転支援への応用という文脈のなかで,新しい観点を生み出した点が高く評価でき,今後の研究展開も期待される.

 

2009年度受賞者

講演番号:MVE2009-71
題目:panavi − センサ・アクチュエータ・無線通信機能を内蔵するフライパンを中心とした、
   料理スキルの習得を支援するシ・Xテム −(11月研究会)
著者:生井 みづき,瓜生 大輔,徳久 悟,柏樹 良,稲見 昌彦,奥出 直人 (慶大)
料理初心者にとって習得が困難とされる、フライパンを用いた加熱調理に着目した新しい支援システムが提案されている。専用フライパン、及びタッチパネルディスプレイからなる本システムでは、調理全体の進行状況や個別の工程の詳細、フライパンの温度変化や調理動作の指示をインタラクティブ・ノ選択・提示可能とするための工夫がなされており、これに、フライパン上への温度のプロジェクション表示、ハンドル部のLED表示色と振動パターン変化、並びに警告音を組み合わせることで、加熱調理における適切な温度管理動作への円滑な誘導が期待できる。また本システムは、瓜生らの発表「デザイン思考とxtelプラットホームを統合的に活用する「Smart Kitchen Utensil」の開発―panaviシステムの着想から製作・展示までの開発過程―」で述べられている通り、いくつかのユーザスタディにおける知見に基いて試作されていることから、有効性や実環境への親和性の点も評・ソできる。今後は、調理の楽しさの体験とスキル習得を同時に実現するシステムへの発展も期待され、将来性の点も高く評価できる。
講演番号:MVE2009-32
題目:ホームヘルスケアシステムにおける遠赤外線画像を用いた鼻呼吸検出法の検討(7月研究会)
著者:小出 泰介,山川 真悟,鈴木 慧,塙 大,小口 喜美夫(成蹊大)
在宅医療向けに,遠赤外線カメラを用いて非侵襲・遠隔観測により鼻呼吸を検・oするという興味深い取り組みである.呼気と吸気に現れる温度差に着眼することで,周囲環境にそれほど依存せず,正確に呼吸を検出できている.評価実験に際しては,カメラと顔との角度の影響についても検討しており,実用面からの考察も含んだ信頼性のある発表であった.実用化に向けては,より広範な場面を想定したさらなる評価実験や,ホームヘルスケアシステムとしての全体の設計と実装など,まだ,多くの課題が残されているが,遠赤外線カメラによる患者見守りの可能性を示した点が,高く評価できる研究であった.
講演番号:MVE2009-18
題目:匂い情報を手掛かりにしたライフログシステムにおけるイベント検出手法の基礎検討(6月研究会)
著者:ソン ヨンア(東大),筧 康明(慶大),高橋 桂太,ドロネー ジャン・ジャック,苗村 健(東大)
ライフログの検索に、匂いを手掛りとして用いるという着眼点が非常にユニークであり、将来的に発展する可能性のある研究として評価できる。本発表では、基礎的検討として、人間が主観的に感じる匂いの感覚と匂いセンサからの出力との相関について調査し、センサ出力の時間変化量との相関が高いこと、匂いセンサの種類により相関の現れる特徴が異なることを明らかにしている。匂いを扱う際は、風向や時間遅れ,人間側の刺激への慣れ等、扱いが難しい面があるが,このような基礎的な検討を積み重ねることで、今後の着実な研究の進展が期待できる発表であった。
講演番号:MVE2008-119
題目:3Dマウスのためのクラッチ機構の設計(3月研究会)
著者:一色 正晴,馬場 次郎,赤羽 克仁,佐藤 誠(東工大)
通常のマウスなどの2Dポインタでは、操作範囲を拡大するためにデバイスの物理位置とポインタ座標との連動・非連動を切り替える「クラッチ操作」が一般的に行われているが、3Dポインタでこれに相当する操作は殆ど考慮されていなかった。本研究では、直感的なクラッチ操作を3Dインタフェースで実現するためのグリップ機構を提案し、実装している。小さなギャップを介して2つの半球を組み合わせた球形グリップとして構成されており、グリップを握り込むと、2段階のスイッチ機構によりクラッチ動作とクリック動作が行える。通常のコンピュータ操作に慣れたユーザならば違和感なく操作でき、3D操作に特有な位置・姿勢の複合操作に対しても効率的な操作が可能と期待され・驍スめ、従来インタフェースとの親和性、有用性、将来性などの点で高く評価できる。
講演番号:MVE2008-103
題目:EMGUI:筋電ユーザインタフェースのための動作認識手法(1月研究会)
著者:伊藤 大司,尾関 基行,中村 裕一(京大), 櫻沢 繁,戸田 真志(はこだて未来大),秋田 純一(金沢大)
筋電を用いたユーザインタフェースにおける動作認識精度の問題に着目し、ユーザインタフェースの基本的な操作と利用者の直感的な動作を対応付けて動作認識を行うことにより、良好な認識精度を実現した点が高く評価される。また、研究の位置付けや方向性が明確であり、発表においては、エンターテイメントシステムへの適用事例を交えて、提案手法の新規性や効果が分かりやすい形で説明されていた。適用範囲について更なる検討の必要があるが、筋電インタフェースの将来性を示す発表であった。

 

2008年度受賞者

講演番号:MVE2008-68
題目:多人数会話シーン分析に向けた実時間マルチモーダルシステムの構築〜マルチモーダル
   全方位センサを用いた顔方向追跡と話者ダイアリゼーションの統合〜(11月研究会)
著者:大塚 和弘,荒木 章子,石塚 健太郎,藤本 雅清,大和 淳司(NTTコ ミュニケーション科学基礎研究所)
多人数対面会話シーンにおける「話者同定」と「参加者の注視方向推定」を実時間で行う本システムは、会議等の対話記録・解析を行う際の基盤的ツールとなるもので、コミュニケーション解析研究の発展に大きく寄与することが期待できる将来性の高い研究である。機器をコンパクトに設置可能な点、汎用的な機器で実時間処理を実現している点、評価実験により4〜8名程度の小規模な会議に適用可能であることが示されている点から、システムの完成度、有効性も高く評価できる。会議支援システムへの応用など、本システムを利用して、更に研究を発展させることを期待する。
講演番号:MVE2008-55
題目:区分・分散オフィスを仮想的に大部屋化する軽量なコミュニケーションメディア(10月研究会)
著者:西本一志(北陸先端大)
文字ベースの軽量なプロトコル/ソフトウェアにより、物理的に隔絶された作業従事者間に大部屋で作業しているような一体感を醸成することを目指しており、実用性のあ・骼タ践事例として興味深い取り組みである。仮想的な大部屋化に必要なアウェアネス情報を、意図的-非意図的、静的-動的の2軸で分類し、それぞれの情報共有を支援するという分析的なアプローチは合理的である。また、1年以上にわたる運用を通じて得られた、「ブロードキャスト的な1対1通信」という利用事例には、仮想的な大部屋化に必要な自然な情報共有の本質が現れており、システムの有効性を高く評価できる。
講演番号:MVE2008-5
題目:香りプロジェクタのための距離画像カメラを用いた軌道予測の検討(6月研究会)
著者:増田 雄一(名城大),北野 啓一(名城大/リンナイ),柳田 康幸(名城大)
従来は立ち止まっている人および着座している人に対象が限定されていた局所的香り提示技術に関して、対象を歩行者へ拡張し、歩行者のトラッキング結果を用いて香り提示装置を制御するシステムを実現した点が高く評価できる。非接触の位置検出が可能な距離画像カメラを用いて、システム全体としての非装着性が確保されており、将来、公共空間での五感広告等に応用できる可能性が期待できる。香り提示の精度向上等、まだ検討の余地は残されているものの、香り研究の新たな領域を切り拓いた点、および、新たな応用の可能性を示した点は評価に値する。よって、MVE賞の授賞に相応しい。
講演番号:MVE2007-86
題目:可視光通信プロジェクタを用いた3次元形状ディスプレイの基礎検討(3月研究会)
著者:大口 諒,谷田 英生(東大),筧 康明(JSTさきがけ),高橋 桂太,苗村 健(東大)
可視光通信プロジェクタを用いた3次元形状の表現という独自の技術提案において、ピンの駆動部に用いる形状記憶合金を分割・積層し、個々に伸張・収縮の制御を行う手法を考案した点、プロトタイプの試作により、一定の精度でピン高の階調表現を実現した点が高く評価される。ピンアレイの多数化、及・ム高密度化等については更なる検討の必要があるが、プロトタイプの簡便な実装により、3次元形状ディスプレイにおける可搬性向上の可能性が示された点も併せて高く評価される。よって、MVE賞の授賞に相応しい。
講演番号:MVE2007-80
題目:いろどりん−食卓の彩り支援システム(1月研究会)
著者:森 麻紀(お茶の水女子大),栗原 一貴(産総研),塚田 浩二(産総研),椎尾 一郎(お茶の水女子大)
日常生活に欠かせない食卓という環境に着目し、プロジェクタ、カメラ、画像処理という簡易システム構成ながら、食卓の彩りという新しい技術適用領域を切り拓いた点を評価する。プロジェクション内容の決定方法、視覚的に感じるおいしさの評価等、更なる検討の必要性はあるが、プロジェクションの内容、対・ロ等に関する多様な適用可能性を示し、今後の発展性を感じさせる発表であった。よって、MVE賞の授賞に相応しい。

 

2007年度受賞者

講演番号:MVE2007-5
題目:仮想物体の変形に対する視触覚間同時性知覚の順応(6月研究会)
著者:高橋 康介(JST),齋木 潤(京大),渡邊 克己(東大)
知覚心理学的な見地から異種感覚間の同時性知覚の順応に焦点を当て、視触覚間では視聴覚間と同様に主観的な同時点が10-20ミリ秒移動すること、聴覚とは異なり受容器間では順応の転・レが起きないこと、などを示した点が評価される。また研究の目的が明確であり新たな結果を導いていることや、発表も要を得ており明快であったことも併せて高く評価される。
講演番号:MVE2007-28
題目:ゲーム木に基づくカーリングの戦略分析(7月研究会)
著者:浦 正広(名大),山田 雅之,遠藤 守,宮・・慎也(中京大),安田 孝美,横井 茂樹(名大)
高度な戦略とショット時の難しさを要因として持つ不確定ゲーム「カーリング」を題材に、ゲーム局面とショットをそれぞれゲーム木のノード、枝と捉え、さらに、物理シミュレーションと組み合わせることで、ショットの難しさも考慮した戦略探索手法を実現した点が高く評価される。また、オリンピックの具体的事例への適用において効果も示されており、有効性、信頼性の点でも評価できる。
講演番号:MVE2007-37
題目:多重解像度ファジーグリッドスナッピング法によるファジー平面曲・・フ三次元姿勢スナッピング(10月研究会)
著者:栗田 英皇(室蘭工大),佐賀 聡人(室蘭工大)
VR環境で3次元的に手書き入力された軌跡から3次元モデリングを行うBlueGrotto システムに対して、軌跡の大きさや描画の早さに応じて適切な解像度を自動選択する MFGS法を導入することで、多様な幾何形状をもつ物体を容易に作成可能とした点が評価できる。特に、提案手法を導入したシステムでは、様々な大きさの物体を短時間に生成できており、その操作性の高さから、有効性が高く評価できる。また、発表においても、従来手法の問題点とそれに対する解決法を実例を交えて分かりやすく説明するなど、適切な説明のための工夫がなされていた。

 

※ 著者の敬称は省略させて頂いております。