通信がみえる一枚の写真 
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65 通信がみえる一枚の写真 リレー式科学技術用計算機FACOM138A

山ヶ城尚志(正員)

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写真は神奈川県川崎市の富士通テクノロジーホールに展示されているリレー式科学技術用計算機FACOM138Aです.科学技術及び工業といった分野における研究,調査を行うための汎用計算機として1957 年(昭和32 年)に完成しました.

現在のコンピュータでは演算に半導体スイッチを使用しますが,FACOM138A は電話交換機などに搭載されていたリレー(電磁石を使ったスイッチ)のオンオフ動作により演算を実行する仕組みとなっており,約3,000 個のリレーが並んだ姿は圧巻です.また入出力方法も大きく異なります.パソコンをはじめとする現在の計算機では命令をキーボードから入力し,計算結果をディスプレイに表示するといった利用方法が一般的です.一方FACOM138A が作られた当時の計算機は,カードやテープ状の紙に穴を開けることでプログラムを記述し,これをカード読取り装置及びテープ読取り装置に読み込ませることで演算を実行し,計算結果をプリンタで出力する方式でした.(年配の方には懐かしいかもしれません.)

展示されている計算機は1960 年製ですが,驚くことに製造から60 年以上が経過した現在でも技術者の方々によるメンテナンスが続けられており,正常に動作します.写真撮影のために訪れた際には実際に円周率の計算を見せて頂きました.本機は日本におけるコンピュータの発展史上重要な製品として,実物の保存努力が認められ,2017 年に情報処理技術遺産に認定されています.

写真を募集致します

マガジン編集委員会では,「通信がみえる一枚の写真」をテーマに写真(電子ファイル(jpeg)あるいはプリント),タイトル,説明文(約300 字)を募集致します.詳細は,通信ソサイエティマガジンHP(http://www.ieice.org/~cs-edit/magazine/ieice/photo.html)を御参照下さい.

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