皆さんは「はやぶさ」を御存じでしょうか．2010 年に小惑星イトカワから表面物質を持ち帰ってきた探査機です．はやぶさは，ミッション遂行中に通信が途絶しましたが，運営チームの必死の努力により通信を復旧させて，見事ミッションを成し遂げました．そのミッションで，はやぶさとの通信を担ったのが宇宙航空研究開発機構（JAXA）臼田宇宙空間観測所（1）（以降，臼田観測所）でした．今回はその臼田観測所を紹介します．

臼田観測所は自然豊かな長野県佐久市に所在しています．高速道路の佐久南インターチェンジから車で40 分ほどの人里離れたところにあります．都市部からの不要な電波が通信の邪魔をしないような場所が選ばれました．

臼田観測所には研究設備やアンテナの制御，相模原管制センター（神奈川県）からのデータを探査機に向けて送信する際の中継変換装置がある研究棟，直径64 m パラボラアンテナ，直径10 m パラボラアンテナ，見学者に宇宙探査について紹介する展示棟，屋外展示，パラボラアンテナを眺められるベンチがあります．

図1 に臼田観測所の入り口から見えるパラボラアンテナ，図2 にパラボラアンテナから見た入り口方向の様子を示します．筆者が見学したのは10 月下旬で，長野県の山深いところにある臼田研究所は，紅葉が見頃の時期でした．

図1　入り口から巨大なパラボラアンテナが姿を表す

臼田観測所の中核となっているのが，直径64 m もあ………

図2　ちょうど紅葉がきれいな時期だったが，あいにくの曇り空だった

図3　広角レンズでも入り切らないほどの大きさのパラボラアンテナと，それを眺めるためのベンチ

全文 PDFはこちらから