私の研究者歴 My Frontier Journey
セレンディピティと準備―光ファイバ通信の研究開発を通して―

私の研究者

My Frontier Journey

セレンディピティと準備―光ファイバ通信研究開発して

萩本和男(名誉員:フェロー)

1978東工大・工・電気電子卒.1980同大学院修士課程了.同年日本電信電話公社(現NTT)入社.2005NTT未来ねっと研究所長.2009NTT先端技術総合研究所長.
2013NTTエレクトロニクス株式会社社長.2021-12から現職.大容量光ファイバ通信の研究開発及び関連技術の育成に関し,平28年度紫綬褒章.令5年度日本国際賞受賞.IEEEフェロー,NTTエレクトロニクスフェロー.

NICT 主席研究員 萩本和男

NICT 主席研究員萩本和男Kazuo Hagimoto

1. 要約

この原稿を依頼されたとき,人様に研究者歴を語れるような,ずいぶんと遠いところまで,よく無事に来られたものだ,人と運に恵まれたと思いました.子供の頃は内向的で,人前で話をするのは苦手という性格でしたが,大学に入り,研究開発の世界に踏み込んで以来,65 歳でNTT グループを退職するまで,ほぼ半世紀近く光通信に関連する分野で,社内外の議決会議や国際会議で発表するだけでなく,実行委員長や組織長などを務め,緊張で腹をこわしながら,よくも乗り切れたものだと思います.心配しながら支えてくれた多くの先輩や同僚から受けたサポートを回想してみようと思います.図1 は,入社以来の大容量システムの歩みですが,私が直接関わった,前半を中心に振り返ってみます.なお,傾向線が2 本平行しているのは,先端研究と実用化の時間差を示していて6,7 年掛かっている感覚です.………

図1 超大容量光通信システムの研究と実用化(★印が実験,その後7-8 年で実用化)

図1 超大容量光通信システムの研究と実用化(★印が実験,その後7-8 年で実用化)